[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


引当金―分類―評価性引当金―貸倒引当金


(" 貸倒引当金 "から複製)

貸倒引当金とは 【allowance for bad debts

貸倒引当金の定義・意味など

貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)とは、売上債権売掛金受取手形)などの将来の金銭債権貸倒れに備えて、決算において次期以降における回収不能の見込み額(貸倒見積額。過去の経験などから貸倒れると予測される額)を費用計上するための評価勘定評価性引当金資産のマイナス勘定評価勘定で一種の負債勘定)をいう。

法人・個人の別

法人・個人

貸倒引当金は法人・個人で使用する勘定科目である。

貸倒引当金の性質

評価性引当金

貸倒引当金貸倒れに備えて用意する引当金である。

ただし、貸倒引当金は、現時点では債権が貸し倒れておらず債権自体を減少させることはできないので、債権を減少させる代わりに使用される勘定である(評価勘定)。

つまり、他の引当金と異なり、債権の回収不能部分を資産額から間接的に控除する機能をもつ。

したがって、貸倒引当金評価性引当金である。

貸倒引当金の目的・役割・意義・機能・作用など

費用収益対応の原則

回収不能と見込まれる債権(不良債権)は資産とはいえない。

ただし、不良債権にも、もしかしたら回収できるかもしれないものや、一部は回収できそうなものなど、さまざまな状態のものがある。

そこで、決算整理において、債権の評価をやり直し、貸倒引当金勘定を使用して帳簿価額と回収可能額との差額を繰り入れ、費用または損失として処理をすることになる。

評価勘定

たとえば、売上債権決算時点ではまだ貸倒れていないので、貸倒れが予想されるにしても売上債権自体を減少することはできない。

そこで、本来の勘定である売上債権を減少させる代わりに、本来の勘定からマイナスするという性質を有する評価勘定である貸倒引当金勘定を使用する。

貸倒引当金の位置づけ・体系(上位概念等)

決算整理事項決算整理仕訳
貸倒引当金の設定

貸倒引当金決算整理事項のひとつとしての貸倒引当金の設定で使用される勘定科目である。

評価勘定

貸倒引当金評価勘定のひとつである。

評価勘定には次のようなものがある。

貸倒引当金の範囲・具体例

貸倒引当金設定の対象となる金銭債権

貸倒引当金の対象となる金銭債権としては、たとえば、次のようなものがある。

貸倒引当金設定の対象とならない金銭債権

貸倒引当金の対象とならない債権としては、たとえば、次のようなものがある。

貸倒引当金決算等における位置づけ等

貸倒引当金財務諸表における区分表示表示科目

次のページを参照。

貸倒引当金の区分表示と表示科目

貸倒引当金会計簿記経理上の取り扱い

会計処理方法

使用する勘定科目・記帳の仕方等
期中

貸倒損失の計上

当期に発生した債権が期中貸し倒れた場合は、貸倒損失勘定で処理をするが、前期以前に発生した債権が期中貸し倒れた場合、貸倒引当金残高があるときは、貸倒引当金を取り崩す。

詳細については次のページを参照。

貸倒れ―期中―貸倒損失の計上

期末決算時)

貸倒引当金の設定

決算において、債権の期末残高に対して貸倒引当金を設定する場合は、貸倒引当金設定額=貸倒見積額貸倒引当金繰入額(または貸倒引当金繰入勘定費用)の借方に記帳して費用計上するとともに、貸倒引当金勘定貸方に記帳する。

貸倒見積額の算定方法など詳細については次のページを参照。

貸倒れ―期末―貸倒引当金の設定

取引の具体例と仕訳の仕方

期中
前期以前に発生した債権が貸し倒れた場合で貸倒引当金残高があるとき

貸倒引当金残高 >= 売上債権の貸倒額)

取引

前期以前に貸倒引当金を設定していた売掛金が貸し倒れたが、その残高が貸倒額を上回っている。

仕訳

借方科目
貸方科目
貸倒引当金 ×××× 売掛金 ××××

貸倒引当金残高売上債権の貸倒額)

取引

前期以前に貸倒引当金を設定していた売掛金が貸し倒れたが、貸倒額がその残高を上回った。

仕訳

借方科目
貸方科目
貸倒引当金 ✕✕✕✕ 売掛金 ✕✕✕✕
貸倒損失 ✕✕✕✕

期末決算時)
決算整理仕訳

貸倒引当金の設定

取引

決算において、期末売上債権残高に対して貸倒引当金を設定する。

仕訳

借方科目
貸方科目
貸倒引当金繰入額 ✕✕✕✕ 貸倒引当金 ✕✕✕✕

貸倒引当金務・法・制上の取り扱い

必要経費算入(所得法)・損金算入法人税法)の可否

法上は、貸倒引当金の繰り入れを個別評価によるものと、一括評価によるものとに分類し、それぞれに繰入限度額を決めている。

貸倒引当金繰入限度額

法上認められている繰入限度額までは経費として計上できるが、それを超える場合には、必要経費損金としては認められない。

そのため、前述したように、実務では法上の限度額の額を設定することが多い。

しかし、法にのみしたがっていたのでは健全な企業会計は実現できない。

したがって、法上認められている繰入限度額を上回る取立不能額が実際にある場合には、法上の規定に関わりなく、必要な額を設定すべきである。

ただし、会計上の貸倒引当金法上の限度額を超過する場合は、その額について確定申告時に別表4で加算調整を行う必要がある。

消費税の課・非課・免・不課(対象外)の区分

不課税取引課税対象外)

消費税法上、貸倒引当金不課税取引として消費税の課税対象外である。



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