[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


買掛金


(" 買掛金 "から複製)

買掛金とは

買掛金の定義・意味など

買掛金(かいかけきん)とは、掛買いによる仕入など、通常の営業取引により発生したツケ)=債務(未払金)を処理する負債勘定をいう。

法人・個人の別

法人・個人

買掛金は法人・個人で使用される勘定科目である。

買掛金科目属性

買掛金は、後日、代を支払わなければならない義務(債務)を表すので、負債勘定である。

買掛金の目的・役割・意義・機能・作用など

資金調達機能

買掛金負債)があるということは、わずかな期間であっても借をしていることと同じことを意味する。

ただし、買掛金には利息がつかない。

したがって、買掛金があるということは、無利子で借をしていることと同じこととなる。

買掛金と関係する概念

反対概念・対概念
売掛金

売掛金は、買掛金とは反対に、商品などを掛けで販売した場合に得意先等から代を受け取ることができる権利(債権)である。

類似概念・類義語
未払金

未払金勘定は、原則として、固定資産の購入など通常の営業取引以外の取引により発生した1年以内に支払われる債務を処理する場合に使用する。

ただし、通常の営業活動に基づく営業上の債務であっても、電気ガス水道料金、広告料、販売手数料などの未払い額については、通常、未払金で処理をする。

他の勘定科目との関係

工事未払金

営業上の債務については一般的には買掛金勘定が用いられるが、業種によっては専用の勘定科目を使用する場合もある。

たとえば、建設業では工事未払金勘定が用いられる。

買掛金決算等における位置づけ等

買掛金財務諸表における区分表示表示科目

貸借対照表負債流動負債買掛金

区分表示
流動負債

営業上の債務である買掛金は、正常営業循環基準により、原則として短期・長期に関係なく無条件に流動負債に属するものとして表示する。

ただし、買掛金が正常な営業循環を外れた場合は1年基準により処理をされる。

企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債固定資産又は固定負債とを区別する基準について
 受取手形売掛金前払金支払手形買掛金前受金等の当該企業の主目的たる営業取引により発生した債権及び債務は、流動資産又は流動負債に属するものとする。…

会社計算規則
負債の部の区分)
第七十五条  …
 次の各号に掲げる負債は、当該各号に定めるものに属するものとする。
 次に掲げる負債 流動負債

 買掛金(通常の取引に基づいて発生した事業上の未払金をいう。)

買掛金の表示方法

総額表示の原則の適用

ある会社仕入先であると同時に得意先であるという場合は少なくない。

この場合、決算日時点では、同一の会社に対して売掛金という債権が発生していると同時に、買掛金という債務が発生していることになる。

しかし、貸借対照表上は、両者を相殺することなく、売掛金買掛金ともに総額をもって記載しなければならない。

総額表示の原則

買掛金会計簿記経理上の取り扱い

会計処理方法

使用する勘定科目・記帳の仕方等
商品仕入れたとき

商品仕入れたときは買掛金勘定貸方に記帳して負債計上するとともに、仕入勘定借方に記帳する。

商品を支払ったとき

後日、商品を支払ったときは、買掛金勘定借方に記帳して買掛金を減少させる。

値引仕入値引)・返品仕入戻し仕入返品

値引を受けたときは、商品等の仕入時の反対仕訳をして値引分の仕入を取り消す(純額主義)。

具体的には、商品仕入れていた場合に値引を受けたときは買掛金勘定借方に記帳して買掛金を減少させる。

値引の額を帳簿上で明らかにするために仕入値引勘定を用いて処理する方法もある(総額主義)。

また、返品をしたときも値引の場合と同様に商品等の仕入時の反対仕訳をして値引分の仕入を取り消す(純額主義)。

返品の額を帳簿上で明らかにするために仕入戻し(または仕入返品勘定を用いて処理する方法もある(総額主義)。

買掛金の管理

補助科目の作成等

買掛金取引件数は多数になるため、毎月一定日に締め切って取引先別に集計し、取引先からの請求書と照合したうえ、所定の支払日に支払いを行うのが一般的である。

したがって、売掛金の場合と同様に、取引先が複数ある場合には取引先別に補助科目を作成して管理したほうがよい。

帳簿管理等
買掛金元帳仕入先元帳

得意先・仕入れ先ごとの買掛金の増減・残高と支払期日を記録するため、買掛金元帳仕入先元帳)を作成したほうがよい。

そして、毎月買掛金残高を確認し、支払いのための資計画を立てるなどする。

定期的照合

仕入先元帳は、総勘定元帳買掛金勘定の内訳明細書となる。

したがって、仕入先元帳残高合計と総勘定元帳買掛金残高とは、必ず一致していなければならない。

そこで、月末などの定時に、両者を照合する必要がある。

異常残高の定期的チェック

買掛金元帳仕入買掛金残高(口座別残高)に、長期滞留残高やマイナス残高仕入計上もれ、代過払いなどの理由により発生する)などの異常残高が発生していないか、定期的にチェックする必要がある。

なお、長期滞留残高については、務調査で、買掛金確定債務としての性格に疑義があるものとして、「買掛金」の取り消しが求められ(損金不算入とされ)、追徴課を受ける場合があるので注意を要する。

会計資料証憑・証拠)
伝票

仕入先に、自社の所定の納品書を統一的に使用させることにより、書類整理などの事務処理を簡素化し、効率化できる。

なお、伝票の書式・様式は、次のページからダウンロードできます。

ビジネス文書・手紙・はがきテンプレート(書式・様式・書き方)の無料ダウンロード: 納品書・受領書アーカイブ

取引の具体例と仕訳の仕方

商品仕入れたとき

取引

仕入先から商品仕入れ、代ツケとした。

仕訳

借方科目
貸方科目
仕入 ✕✕✕✕ 買掛金 ✕✕✕✕

商品を支払ったとき

取引

仕入先にツケ現金で支払った。

仕訳

借方科目
貸方科目
買掛金 ✕✕✕✕ 現金 ✕✕✕✕

値引仕入値引)・返品仕入戻し仕入返品

取引

で購入した商品1万円に傷があったので、2千円の値引きを受けた。

仕訳

借方科目
貸方科目
買掛金 2千 仕入 2千

取引

で購入した商品1万円のうち一部2千円分に品質不良があったので、返品をした。

仕訳

借方科目
貸方科目
買掛金 2千 仕入 2千

買掛金務・法・制上の取り扱い

消費税の課・非課・免・不課(対象外)の区分

不課税取引課税対象外)

消費税法上、買掛金不課税取引として消費税の課税対象外である。

法人税の確定申告

添付書類
買掛金の内訳書

法人税申告書の添付書類である「買掛金の内訳書」には、原則として期末残高50万円以上のものを各別に記入し、その他は一括して記入することとなっている。



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