資本―法律上の資本―資本の三原則―資本確定の原則
資本確定の原則とは
資本確定の原則の定義・意味・意義
資本確定の原則とは、会社の設立または資本の増加には、定款所定の資本額にあたる株式が引き受けられ、それにつき出資者が確定することを要するとする原則をいう。
資本確定の原則の趣旨・目的・機能
資本確定の原則は、無責任な設立または増資を防止しようとする趣旨から、政策的に要請される原則である。
資本確定の原則の位置づけ
昭和25年の商法改正前までは、資本確定の原則は、資本の三原則のひとつとして位置づけられていた。
ただし、上述のとおり、他の資本原則が資本制度の本質的要請であるのに対して、資本確定の原則は、設立と増資(新株発行)の健全性を確保するための政策的に要請される原則であって、資本制度に本質的なものではない。
資本確定の原則の経緯・沿革・歴史など
昭和25年の商法改正で、授権資本制度が採用され、設立または増資にあたり授権資本の一部の発行を認められたため、資本額は定款の記載事項ではなくなった。
また、新株発行時については、資金調達の円滑化という要請から、引受・払込があった一部の株式だけで新株発行の効力が認められるようになったので、資本確定の原則は放棄された。
これは、次の理由からである。
すなわち、新株発行は会社の規模の人的・物的拡大現象(一部設立)として組織法上の行為であり、設立に類似する。
しかし、会社はすでに設立され、一応の人的・物的基盤(基礎)が確立しているので、設立の場合のような厳格な規制は必ずしも必要ではない。
そこで、機動的な資金調達という要請を重視して、新株発行時における資本確定の原則は放棄されることとなった。
ただし、会社設立時における資本確定の原則は、会社設立の容易性という要請から一部修正されたうえ、維持されている。
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