合成の誤謬
合成の誤謬とは
合成の誤謬の定義・意味など
合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)とは、個人や企業などのミクロのレベルで妥当することが全体のマクロのレベルでは妥当しないことをいう。
参考:岩波書店 『広辞苑 第六版』。中野 剛志 『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』 ベストセラーズ、2019年、38-39項など
合成の誤謬の具体例
デフレ
たとえば、個人が所得のうち貯蓄する割合を2倍にしても有効需要が減少して国民所得で示された総生産額も縮小し、所得の減少が貯蓄の減少につながるため、社会全体の貯蓄額は2倍にならないなど。
岩波書店 『広辞苑 第六版』
デフレで不景気の時に個人や企業が消費や投資を手控え、貯蓄や内部留保に励むのは経済合理的な行動である。
しかし、個人や企業が支出を減らすと需要が縮小して景気はますます悪くなる。
節約という合理的な行動が経済全体で見ると需要の縮小を招き、人々をさらに苦しめるという結果を招く。
つまり、個々の正しい行動でもそれが積み重なった結果、全体として好ましくない事態がもたらされるという現象を経済学の用語で合成の誤謬という。個人や企業の個々(ミクロ)の行動が正しいと全体(マクロ)として間違ってしまうというのが合成の誤謬である。
中野 剛志 『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』 ベストセラーズ、2019年、37-39項。
世代間格差
少子化による世代間格差にも合成の誤謬が当てはまる。
「年金がもらえない」など社会保障の受益と負担について、世代間の格差が強調されすぎると、これから生まれてくる世代はかわいそうだということになる。その結果、人々が子供を作るのをためらうと少子化はさらに進み、現実に生まれた子供1人当たりの負担がもっと大きくなる。
世代間格差と合成の誤謬 |ニッセイ基礎研究所 https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=42412?site=nli
世界経済
国民経済の枠組みにおいて財政は割合が大きいが、世界経済の枠組みにおいては、一国の財政はミクロの客体となる。このため、通貨切り下げなどで自国経済を活性化させることで財政構造を改善することができる。しかし、この政策も結局、世界中の国で行われれば、合成の誤謬が発生する。
合成の誤謬 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/合成の誤謬
合成の誤謬の対策・対応
財政政策・金融政策
財政政策
合成の誤謬は、マクロ経済全体の運営をつかさどる政府が直すしかない。
中野 剛志 『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』 ベストセラーズ、2019年、39項。
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