[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


減価償却費の計算―③減価償却の方法(償却方法)―普通償却―例外―一括償却資産の3年均等償却


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一括償却資産の3年均等償却とは

一括償却資産の3年均等償却の定義・意味など

一括償却資産の3年均等償却(いっかつしょうきゃくしさんの3ねんきんとうしょうきゃく)とは、一括償却資産については、その全部または特定の一部を一括し、この一括した減価償却資産取得価額の全額を3年間で均等償却できる(つまり、取得価額の1/3を必要経費損金に算入できる)とする所得法上または法人税法上の償却方法をいう。

所得法上の規定

所得法施行令
(一括償却資産の必要経費算入)
第百三十九条 居住者が不動産所得事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供した減価償却資産取得価額が二十万円未満であるもの(第百二十条第一項第六号及び第百二十条の二第一項第六号(減価償却資産の償却の方法)に掲げるもの並びに前条の規定の適用があるものを除く。)については、その居住者が当該減価償却資産の全部又は特定の一部を一括し、その一括した減価償却資産(以下この条において「一括償却資産」という。)の取得価額の合計額をその業務の用に供した年以後三年間の各年の費用の額とする方法を選択したときは、第四款(減価償却資産の償却)の規定にかかわらず、当該一括償却資産につき当該各年分の不動産所得額、事業所得額、山林所得額又は雑所得額の計算上必要経費に算入する額は、当該一括償却資産取得価額の合計額(以下この条において「一括償却対象額」という。)を三で除して計算した額とする。

法人税法上の規定

法人税法施行令
(一括償却資産の損金算入)
第百三十三条の二  内国法人が各事業年度において減価償却資産取得価額が二十万円未満であるもの(第四十八条第一項第六号及び第四十八条の二第一項第六号(減価償却資産の償却の方法)に掲げるもの並びに前条の規定の適用を受けるものを除く。)を事業の用に供した場合において、その内国法人がその全部又は特定の一部を一括したもの(適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この条において「適格組織再編成」という。)により被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(以下この項において「被合併法人等」という。)から引継ぎを受けた当該被合併法人等の各事業年度において生じた当該一括したものを含むものとし、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(適格現物分配にあつては、残余産の全部の分配を除く。以下この条において「適格分割等」という。)により分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人(以下この条において「分割承継法人等」という。)に引き継いだ当該一括したものを除く。以下この条において「一括償却資産」という。)の取得価額(適格組織再編成により被合併法人等から引継ぎを受けた一括償却資産にあつては、当該被合併法人等におけるその取得価額)の合計額(以下この項及び第十二項において「一括償却対象額」という。)を当該事業年度以後の各事業年度費用の額又は損失の額とする方法を選定したときは、当該一括償却資産につき当該事業年度以後の各事業年度所得額の計算上損金の額に算入する額は、その内国法人が当該一括償却資産の全部又は一部につき損金経理をした額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、当該一括償却資産に係る一括償却対象額を三十六で除しこれに当該事業年度の月数を乗じて計算した額(適格組織再編成により被合併法人等から引継ぎを受けた当該被合併法人等の各事業年度において生じた一括償却資産につき当該適格組織再編成の日の属する事業年度において当該額を計算する場合にあつては、当該一括償却資産に係る一括償却対象額を三十六で除し、これにその日から当該事業年度終了の日までの期間の月数を乗じて計算した額。次項において「損金算入限度額」という。)に達するまでの額とする。

一括償却資産の3年均等償却の別名・別称・通称など

一括償却資産の必要経費算入・一括償却資産の損金算入

法上の正式名称は、所得法では「一括償却資産の必要経費算入」、法人税法では「一括償却資産の損金算入」である。

一括償却資産の3年均等償却の目的・役割・意義・機能・作用など

重要性の原則

取得価額が少額で重要性に乏しい資産についてまで、本格的な減価償却の方法を求めることはあまり意味がない。
そこで、重要性の原則の見地から、一括償却資産については3年均等償却が認められている。

一括償却資産の3年均等償却のメリットとデメリット

一括償却資産の3年均等償却は、少額減価償却資産の即時償却等の制度ほどではないが、3年間で必要経費算入または損金算入できるため、通常の法定耐用年数より短期間で費用計上できることになる。
ただし、一括償却を選択した場合には、たとえその資産を譲渡あるいは除却しても、3年間均等償却を継続しなければならない。

メリット

一括償却資産として計上するメリットとしては、次のようなものがある。

  1. 3年間で費用が全額損金算入できるので、耐用年数が4年以上の資産の場合、早期に費用化できる
  2. 償却資産課税対象外となる
  3. 個別の資産管理が不要となるので、減価償却費の計算が簡易になる

デメリット

一括償却資産として計上するデメリットとしては、個々の資産除却処理ができないことがあげられる。

一括償却資産の3年均等償却の位置づけ・体系(上位概念等)

減価償却の方法の例外

減価償却資産については、原則として、取得時に資産計上したうえ、その後耐用年数にわたって毎決算期に定額法定率法などの償却方法による減価償却により費用処理をする必要がある。

しかし、少額減価償却資産一括償却資産については、例外的に即時償却一時償却)や3年均等償却が認められている。

こうした例外は一括償却資産の3年均等償却も含めて、次の3つがある。

  1. 少額減価償却資産の即時償却
  2. 少額減価償却資産の即時償却の特例
  3. 一括償却資産の3年均等償却

一括償却資産の3年均等償却の要件

適用対象
適用対象者

適用対象者に関する要件はない。

青色申告者・白色申告者を問わず適用可能である。

適用対象資産

一括償却資産の3年均等償却の適用対象資産は、取得価額が20万円未満である減価償却資産一括償却資産である。

手続要件
個人事業主(自営業)の場合

個人事業主が一括償却資産の3年均等償却の適用を受けるには、一括償却資産を業務の用に供した年分の確定申告書に一括償却対象額を記載した書類を添付し、かつ、その計算に関する書類を保存していることが必要である。

所得法施行令
(一括償却資産の必要経費算入)
第百三十九条
2  前項の規定は、一括償却資産を業務の用に供した日の属する年分の確定申告書に一括償却対象額を記載した書類を添付し、かつ、その計算に関する書類を保存している場合に限り、適用する。

会社・法人の場合

会社・法人が一括償却資産の3年均等償却の適用を受けるには、事業の用に供した事業年度において、少額減価償却資産取得価額に相当する額につき損金経理するとともに、確定申告書等に「一括償却資産の損金算入に関する明細書」(別表十六(六))を添付して申告することが必要である。

法人税法施行令
(一括償却資産の損金算入)
第百三十三条の二 …
13 内国法人は、各事業年度において一括償却資産につき損金経理をした額がある場合には、第一項の規定により損金の額に算入される額の計算に関する明細書を当該事業年度の確定申告書に添付しなければならない。

別表十六(六) 「一括償却資産の損金算入に関する明細書」|法人税申告書の記載の手引|国税庁 https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/tebiki2002/02/16_6.htm



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