総需要と総供給の不一致―需給ギャップ
需給ギャップとは
需給ギャップの定義・意味・意義
需給ギャップの分類・種類
需給ギャップには需要が供給を上回る超過需要(供給不足)と供給が需要を上回る超過供給(需要不足)とがあることになる。
需給ギャップの指標等
需給ギャップ=「総需要と総供給の差」のうち、総需要については実際の実質国内総生産(実質GDP)※、そして、総供給については潜在GDPで表される。
※ここにいう国内総生産(GDP)は支出面からとらえた国内総生産=国内総生産(支出側)を指す。
需給ギャップの注意事項・注意点
産業構造が大きく変化している場合
このように総供給については潜在GDPで表されるが、これは前期の実績から推計されるので、現存する供給構造を前提にしている。
そのため、産業構造が大きく変化しているときは、現存の供給構造に対する需要不足についてはとらえられる(つまり、統計に表れる)が、新たな潜在需要に対する供給不足についてはとらえることができないということに注意を要する。
以下は、2012年11月12日に日本銀行の白川総裁が講演(「物価安定のもとでの持続的成長に向けて」)で需給ギャップの意味について述べたものの引用である。
次に、デフレ脱却を巡る第3の論点、すなわち需給ギャップの意味についてお話しします。内閣府の試算によると、足もとの需給ギャップは、GDPの2%程度、実額の年率換算で約10兆円とされています。日本銀行による試算もほぼ同様です。リーマン・ショック直後の試算では、需給ギャップは約40兆円とされていましたので、その頃よりはかなり縮小していますが、それでもまだ相応のギャップが存在します。需給ギャップは、一般に「需要不足額」として認識されているため、これを埋めるだけの需要を政策的に付ければ、ギャップが直ちに解消してデフレから脱却できるはずだ、という議論がなされることがあります。確かに、需要不足が純粋に一時的なものである場合には、そうした議論に妥当性はありますが、注意しなければならないのは、需給ギャップというのは、あくまで現存する供給構造を前提に、それらに対応する需要不足を捉えたものに過ぎない、という点です。社会や経済は常に変化するものであり、日本でも、高齢化や女性の社会進出、価値観の多様化などによって、新しいタイプの需要が潜在的にはどんどん生まれていると考えられます。例えば、医療・福祉産業では、高齢化により潜在需要が急拡大しているにもかかわらず、各種の規制や現場の人手不足などから、需要に見合うサービスが提供できていないとの声が多く聞かれています。また最近注目が集まっている高齢者の消費についても、所得、健康状態、嗜好の違いなどから若年層の消費よりも個別性が強く、供給者サイドの工夫如何でさらに拡大する余地があることが指摘されています。いずれにせよ、こうした未充足の需要、すなわち成長分野における「供給不足」は、需給ギャップにカウントされていません。つまり、変化の激しい経済にあっては、需給ギャップは、既存の財・サービス供給に対する需要不足のみを捉え、新たな潜在需要に対する供給不足を捉えていないという意味で、非対称な概念となっています。言い換えると、本来「需給のミスマッチ」と認識すべき部分まで、「需要不足」という形で示されているということです。
そう考えると、持続的に需給ギャップを改善していくためには、潜在需要を顕在化させるように、経済の変化に合わせて供給構造を作り変えていくことが必要です。そのようにして掘り起こされた需要は、人々が自発的に求めていた需要ですから、その後も支出増加と収益・所得増加の好循環につながる性格のものです。このように、需給ギャップの改善についても、短期的なマクロ経済政策に加えて、新陳代謝の活性化を含め、新たなビジネスが生まれやすい経済構造に変えていく、という取り組みが重要な役割を担うと考えられます。
需給ギャップと関係・関連する概念
GDPギャップ
需給ギャップと関係・関連する概念としてGDPギャップがあるが、両者は同義に用いられている場合もある。
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