[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


生産面―国内総生産(GDP)


国内総生産とは 【Gross Domestic Product

国内総生産の定義・意味など

国内総生産(こくいないそうせいさん)とは、国内で1年間で新たに生産されたサービス粗付加価値の合計をいう。

企業で言えば、売上総利益粗利)に相当するものである。

1.国民(National)か国内(Domestic)か―国民総生産と国内総生産との違い

国民総生産GNP)と国内総生産(GDP)との違いは、国民(National)が生産したのか国内(Domestic)で生産したのか、の違いである。

つまり、「国民」総生産(GNP)は、国内であれ、海外であれ、その国の国民が生産した付加価値をすべて計上する。

これに対して、「国内」総生産(GDP)は、国民であれ、外国人であれ、その国の国内で生産された付加価値をすべて計上する。

2.「総(Gross)」(粗付加価値)か「純(Net)」(純付加価値)か

国内総生産(GDP)は、国内「総」生産、すなわち「粗」付加価値最終生産物中間生産物固定資本減耗分は控除しない)の合計である。

3.生産・分配(所得)・支出のどの側面でとらえるか

経済循環の過程では、生産されたサービス粗付加価値の合計(→生産面)は、すべて賃金・利潤・利子配当地代などの所得のかたちで分配され(→分配面)、そして消費または投資というかたちで支出されていく(→支出面)ということが繰り返し行われる。

この経済循環において生産面からとらえて定義したものが国内総「生産」である。

国内総生産の別名・別称・通称など

GDP

Gross Domestic Product の頭文字をとって、一般にGDPと呼ばれる。

国内総生産に関する原則・原理

三面等価の原則

国内総生産は、生産のほか、分配・支出の側面からもとらえることができる。

ただし、これらは同じ付加価値マネーの流れを異なる3つの局面からとらえたものにすぎないので、理論的には等価とされる。

これを三面等価の原則という。

ただし、統計実務上、生産面では確実な数字が把握できるが、分配面では「営業余剰」という項目があるため、確実な数字があがってくるとは限らない。

参考元:「内閣府 経済社会総合研究所 国民経済計算部」に電話で問い合わせ

国内総生産の注意点・注意事項

通常、国内総生産は上述のように生産面から定義される。

しかし、生産面から定義される国内総生産の統計データは国内総生産(生産側)ではなく、経済活動別国内総生産である。

また、一般に(テレビ新聞等で)国内総生産またはGDPという場合は、支出面からとらえた国内総生産=国内総生産(支出側)を指していることにも注意。

国内総生産の算定・算出・計算方法

国内総生産は、国内で1年間で生産されたサービス粗付加価値の合計をいう。

これは、産出額=国全体の売上高=国全体の最終生産物の総額から原材料半製品などの中間生産物の総額を控除して算出する(控除法)。

国レベルの付加価値の計算方法

国内総生産(GDP) = 最終生産物の総額(産出額・国全体の売上高) - 中間生産物の総額(中間投入額

賃金等の経費付加価値を構成するので、差し引かない。

なお、従来の国民総生産GNP)は国内総生産(GNP)に海外からの純所得を加えることで得られる。

国内総生産(GDP)は国民総生産GNP)から海外からの純所得(海外からの所得-海外に対する所得)を差し引いて算出する、といった説明がなされていることがよくあるが、実際の計算過程は逆である。

国民総生産GNP) = 国内総生産(GDP) + 海外からの純所得(海外からの所得※1-海外に対する所得※2

※1海外からの所得とは、その国の国民が海外で稼いだ賃金利子配当などの所得をいう。

※2海外に対する所得とは、外国人が国内で稼いだ賃金利子配当などの所得をいう。

国内総生産の目的・役割・意義・機能・作用など

重要な経済指標
1国の経済活動の規模

国内総生産(GDP)は、1国の経済活動の規模を示す。

経済成長の指標

経済成長」という場合の「経済」は国内総生産(GDP)を指す。

つまり、国内総生産(GDP)は経済成長を計るモノサシとして、経済の成長は国内総生産(GDP)の伸び率(=経済成長率)で計る。

国民経済全体の総需要

実質国内総生産実質GDPは、国民経済全体の総需要(簡単にいえば、買いたい量)をあらわす統計上の指標となる(→需給ギャップ)。

ただし、ここにいう国内総生産は支出面からとらえた国内総生産=国内総生産(支出側)である。

経済成長

景気をよくする、ということは、経済成長する、ということである。

この「経済」成長の「経済」は国内総生産(GDP)を指す。

したがって、経済成長する、ということは、国内総生産(GDP)を増やす、ということと同じ意味である。

そして、国内総生産(GDP)を支出(つまり、需要)の面からみると、その項目・構成内容・内訳は次のとおりとなっている。

国内総生産(支出側) = 消費(民間消費+政府消費)+投資(民間投資+政府投資在庫品)+純輸出(輸出ー輸入)

従来は、国内総支出GDE)と呼ばれており、国内総生産=国内で生産されたものに対する支出、つまり総需要(簡単にいえば、買いたい量)を示す。

したがって、有効需要の原理にもとづけば、国内総生産(GDP)を増やす=経済成長する=景気をよくするためには、基本的には次のいずれかが増えればよいことになる。

  1. 内需の増加
    1. 個人消費の増加
    2. 民間設備投資の増加
    3. 政府支出の増加
  2. 外需の増加
    1. 純輸出の増加

なお、国内総生産(支出側)の項目をみればわかるように、「輸入」は国内総生産(GDP)の控除項目となっている。

これは貿易赤字が国内総生産(GDP)にマイナスの影響を与えることを意味している。

国内総生産の分類・種類

  1. 名目国内総生産名目GDP
  2. 実質国内総生産実質GDP

国内総生産の歴史・沿革・由来・起源・経緯など

国民総生産GNP

経済は、グローバル化・ボーダレス化が進んでいる。

そのため、国民総生産には、たとえば、企業が海外の工場で生産したものや、海外から稼いだ利子なども多く含まれることになる。

しかし、そうなると、国民総生産と国内経済の実体とのズレが生じてくる。

そこで、日本でも、欧米諸国にならい、国民総生産に代わり、国内経済の動向をより正確に示す国内総生産を統計指標の中心として採用するようになった。

GDPは国内で一定期間内に生産されたモノサービス付加価値の合計額。 “国内”のため、日本企業が海外支店等で生産したモノサービス付加価値は含まない。
一方GNPは“国民”のため、国内に限らず、日本企業の海外支店等の所得も含んでいる。

以前は日本の景気を測る指標として、主としてGNPが用いられていたが、現在は国内の景気をより正確に反映する指標としてGDPが重視されている。

引用元:内閣府サイト「GDPとGNI(GNP)の違いについて - 内閣府」 http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/otoiawase/faq/qa14.html

なお、2000年(平成12年)に、国民総生産GNP)の概念はなくなり、これに相当するものとして国民総所得GNI)の概念が新たに導入されている。

国内総生産の統計

生産面からとらえた国内総生産―経済活動別国内総生産

前述したように、生産面からとらえた国内総生産は、国民経済計算では「経済活動別国内総生産」としてあらわされる。

分配面からとらえた国内総生産―国内総生産(生産側)

同様に分配面からとらえた国内総生産は「国内総生産(生産側)」としてあらわされる。

支出面からとらえた国内総生産―国内総生産(支出側)

同様に支出面からとらえた国内総生産は「国内総生産(支出側)」としてあらわされる。

なお、前述したように、一般に、国内総生産またはGDPという場合は、この支出面からとらえた国内総生産を指す。

従来は、国内総支出GDE)という用語が用いられていた。

国内総生産の位置づけ・体系(上位概念等)

国民所得(広義)

国内総生産は、国民所得(広義)の計算方法のひとつである。

国民所得(広義)には、国内総生産も含め、次のような種類がある。



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