マクロ経済学―修正資本主義―有効需要の原理
有効需要の原理とは
有効需要の原理の定義・意味など
有効需要の原理(ゆうこうじゅようのげんり)とは、ケインズが『雇用・利子および貨幣の一般理論』で提唱した理論で、古典派経済学がいうように供給が需要を生み出すのではなく、需要(有効需要)が供給を生み出すという理論をいう。
参考:Teamバンミカス 『雇用・利子および貨幣の一般理論 ─まんがで読破─』 イースト・プレス、2015年、162頁。
ただし、『雇用・利子および貨幣の一般理論』では、「有効需要の原理」という記述は存在するが、その定義づけはされていない。
鈴木 則稔 「「有効需要の原理」再考」 『筑波学院大学紀要』第5集、2010年、16項。
有効需要の原理の目的・役割・意義・機能・作用など
経済成長
有効需要は具体的には国内総支出(GDE)がこれにあたり、消費(民間消費+政府消費)・投資(民間投資+政府投資+在庫品)・純輸出からなる。
有効需要の原理は、経済成長がこうした家計の消費、企業の投資、政府の公共投資、輸出の伸びにかかっている※、つまり、需要が原因で国内総生産(GDP)(経済成長)がその結果であるという考え方である。
※村尾 英俊 『「なぜ?」がわかる政治・経済』 学研教育出版、2015年、401項。
有効需要の原理の具体例
よく、「消費者の財布のヒモが固くて、景気が伸びない」「公共事業を行って景気を刺激する」とか、「輸出が伸びて経済が成長した」などのニュースを耳にしたり、新聞を読んだりしたことがある
かと思われるが、こうした表現はいずれも有効需要の原理の考え方にもとづいているといえる。
村尾 英俊 『「なぜ?」がわかる政治・経済』 学研教育出版、2015年、400項。
有効需要の原理の位置づけ・体系(上位概念等)
国民所得の決定理論
有効需要の原理は「国民所得」(現在は国内総生産(GDP)に相当する)の決定に関する理論である。
日本は米国学会の影響を強く受け、かつ、ケインズの存在を米国より強く意識しているため、日本の教科書には「有効需要」「有効需要の原理」の記述は多い。しかし、英国や日本を除く世界の主なマクロ経済学のテキストからは、「有効需要の原理」は消えている、という。
鈴木 則稔 「「有効需要の原理」再考」 『筑波学院大学紀要』第5集、2010年、17項。
雇用量の決定理論
国民所得水準は雇用水準を決めるので、有効需要の原理は雇用量を決定する理論でもある。
『政治・経済用語集(改訂版)』 山川出版社、2009年、101頁。
修正資本主義
有効需要の原理と関係する概念
反対概念・対概念
セイの法則
セイの法則とは古典派経済学の定説で、供給が需要を生み出すという理論をいう。
企業はモノを生産してまず価値をこの世にどんどん送り出す。それでこそ経済は動き繁栄につながる
という考え方で、売れない商品でも価格を下げ続ければ必ずどこかで売れるということを前提にしている(→価格の下方硬直性)。
Teamバンミカス 『雇用・利子および貨幣の一般理論 ─まんがで読破─』 イースト・プレス、2015年、111頁。
なお、供給が需要を決定するという考え方(セイの法則。古典派経済学)と需要が供給を決定するという考え方(有効需要の原理。ケインズ)の違いを生み出すのは両者の金利(利子率)に対する考え方の相違によるという。
有効需要(ゆうこうじゅよう)とは - コトバンク https://kotobank.jp/word/有効需要
アダム・スミスの自由放任主義
現在のページが属するカテゴリ内のページ一覧[全 5 ページ]
現在のページが属するカテゴリのサイトにおける位置づけ