金融―仕組み―リターン―金利
金利とは 【interest】
金利の定義・意味など
金利(きんり)とは、資金(お金・マネー・貨幣)を融通したことによって、その報酬として、融通した資金(元金・元本)に対して一定の割合で支払われる金銭、またはその金額の元金・元本に対する割合をいう。
金利の目的・役割・意義・機能・作用など
お金の価格
この「価格」は時間を買うための価格※とリスク(貸したお金が返済されるかどうかの不安の大きさ)の価格で構成される。
※ただし、時間の価格・価値(当該資金を使ってその時間内にできること)は人や経済状態により異なる。
美和卓 『20歳からの金融入門』 日本経済新聞出版社、2009年、34-39頁。
金融の仕組み
お金に価格があること=金利は、資金(お金・マネー・貨幣)が余ったところ(家計など)から必要なところ(企業など)へ移動すること、すなわち、金融のための仕組みである。
なぜなら、貨幣には価値貯蔵手段という機能があるため(所有していても腐らない)、何らかの報酬・利益がない限り、それ自体は移動しようとはしない。
そこで、必要になるのが金利という報酬である。
経済成長
ただし、金利は経済が成長すること(名目経済成長率がプラスになること)を前提にしている。
経済が成長してお金が増えていかなければ、金利という仕組みはそもそも成り立たないからである。
参考:経済成長は必要ないのか? - ネコでもわかる経済問題・総合 https://sites.google.com/site/nekodemokeizai/nekodemowakaru-jing-ji-yong-yu/jing-ji-cheng-zhangha-bi-yaonai
2016年5月28日放送のNHKドキュメンタリー『欲望の資本主義~ルールが変わる時~』では、借金をして金利を払うことで無理に「成長」を買っている、金利という概念が広まったことが成長資本主義(資本主義は必ず成長するものという成長を前提とする資本主義)のそもそもの起源なのかもしれない等といった発言がある。
また、金利(利子・利子率)は「禁断の果実」であるとも比喩している。
資本の自己増殖・資本主義の原動力
換言すれば、お金が金利という報酬を生むということは、貨幣に自己増殖(貨幣が貨幣を生む)という新しい機能を付与することを意味する。
つまり、金利が生まれたということは、貨幣が自己増殖の目的を有した(貨幣の目的が商品を手に入れることではなく、より多くの貨幣自体を手に入れることになる、つまり、手段にすぎない貨幣それが自体が目的となって商品化した)ということであり、このとき貨幣は資本となる。
そして、貨幣が資本となった社会経済システムが資本主義であり※、資本主義は金利の概念とともに始まった(金利は資本主義の原動力である)、といえる。
※参考:宮田安彦 『ライフデザイン学概論 真に豊かな生活を求めて』 日本教育訓練センター、2013年、77項。
金利(利子・利子率)は資本の自己増殖の指標といえる(「利子率は資本の自己増殖の成果を測る尺度」※)。
※水野和夫 「第26回総合政策学会特別講演会講演録 資本主義の終焉と歴史の危機―21世紀の利子率革命と成長戦略―」 2014年6月27日、4頁。
そして、資本の自己増殖は実体経済と遊離したマネー経済の膨張といった問題を引き起こすおそれがある。
資金需要の喚起・経済活動の活性化
通常、金利が低下することで資金需要が喚起され、実体経済が活性化することが期待される。
ただし、そもそも資金需要がないゼロ金利状況のもとではこれはあてはまらない。
金融政策の目標
したがって、一般に金融政策の目標(指標)とされているものは、マネーストック(通貨残高。旧通貨供給量・マネーサプライ)ではなく、金利(特に短期金利)水準である。
たとえば、日本では、中央銀行である日本銀行が、公開市場操作という手段によりハイパワードマネー(マネタリーベース)を直接的にコントロールすることで金利を間接的に調整し、もって物価の安定や景気変動の調整を図っている。
しかし、膨張したマネー経済やゼロ金利政策のもとでは、金融政策によるコントロールがきかないという新しい状況も出現している。
たとえば、中央銀行が景気の過熱を調整するために金利を引き下げても、マネーストックが減少しないなどの状況である。
これは、民間金融機関が金融派生商品などにより積極的に信用創造(貨幣の供給)を行うようになってきたからである。
金利と関係する概念
同義概念・同義語
利子(利息)・利子率(利率)
ただし、金利は金銭で支払われる場合に限定されるが、利子は金銭以外で支払われる場合にも使用される。
また、金利は、金額と割合のどちらも指す。
これに対して、利子という場合は金額を指し、割合を指すには利子率(利率)という用語を用いる。
利回り
特に投資性が高い資産については利回りという用語が使用されることがある。
また、金利は、単純に、元金に対する利子の割合をいうが、利回りは、単利や複利といった金利の計算方法や、収益にかかる経費・税金など、投資に係るさまざまな要素を考慮に入れる。
ただし、利回りを名目利回り(表面利回り)と実質利回りに区別する場合があるが、この場合、前者は金利と同じになることもある。
金利の分類・種類
長期金利と短期金利
規制金利と自由金利
金融機関の金利は、次の2つの種類に大別される。
単利と複利
金利の指標
長期国債の利回り
償還期間(満期)が10年の長期国債の利回りがあらゆる金利の指標となる。
金利の決定
金利(利子率)の決定理論は、古典派経済学者の貸付資金説とケインズの流動性選好説に大別される。
今日では貸付資金説が有力である。
小学館 『日本大百科全書』
貸付資金説
需要と供給の法則
自由金利のもとでは、金利も、理論的には、一般の商品と同様に、需要と供給の法則により決定される。
金利の歴史・沿革・由来・起源・経緯など
金利については、聖書、コーラン、アリストテレスなど昔から否定的に論じられている。
たとえば、トマス・アクィナスはアリストテレスにならって「金は金を生まず」と述べ、金銭消費貸借において、貨幣本来の用途から逸脱して金銭そのものから代価を得ることは不正であるとみなした。
利子 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/利子
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