企業―責任―有限責任
有限責任とは
有限責任の定義・意味・意義
有限責任とは、出資にともなう責任が、出資額の範囲内に限定されていることをいう。
有限責任の趣旨・目的
企業に出資した人は、利益が出れば配当というかたちで報酬を受け取ることができる。
しかし、逆に損失が出た場合には責任が生じる。
有限責任は、その責任を限定することで、出資しやすくし、多額の資金調達を可能にする。
有限責任の役割・機能
中小規模(一人会社等)の株式会社、合同会社を設立する目的の一つに、有限責任の特権を享受するため、ということがある。
有限責任の位置づけ
一般に責任は無限責任が原則である。
利益の分配は無限だが、責任は有限というのは不平等だからである。
したがって、有限責任はとくに法律が認めた場合に限られている。
有限責任の具体例
なお、株式会社の株主は会社債権者に対して直接責任を負わず、会社に対する出資を通して間接的に責任を負っているのにすぎないので、その責任は間接有限責任であるとされている。
有限責任の規制
法人格否認の法理
有限責任を悪意で用いた場合には、法人格が否認され、個人の無限責任となる場合がある。
これを法人格否認の法理といい、判例により認められた理論である。
ただし、実際に法人格を否認して個人の責任を問うには、裁判が必要である。
なお、法人格否認の法理は、次の2つの種類に分類されている。
形骸化事例
株式会社が、実質は個人企業でありながら、税金対策上法人格を持つにいたったにすぎないような場合を「形骸化事例」と呼ぶ。
濫用事例
たとえば、法人の代表者が営業を新会社に移転したうえで会社を解散するなどし、自己の責任を免れようとする場合を「濫用事例」と呼ぶ。
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