事業―損益―利益
利益とは 【Profit】
利益の定義・意味など
資本主義とは、貨幣に代表される資本(つまり、財産)を元手として、事業(市場経済)に投下して資本を自己増殖させる仕組みである。
利益(りえき)とは、この資本の増加分をいい、まさに資本主義が目的とするところのものである。
そして、利益を効率的に獲得するためのしくみとして考案されたのが企業ないしは会社である。
なお、税法上利益に相当する概念は課税対象としての所得である。
法人税法上の所得
利益の性格・性質
資本
利益は企業の経営活動により生じたものであるが、会計理論上、利益は資本の増加分として資本を構成するものと考える。分かりやすく言えば、企業が稼ぎ出した利益はその企業自体や社員のものではなく、株主のものであるという考え方である。
参考:『「バランスシート」がみるみるわかる本―会社の「資産・負債・資本」のしくみを完全理解』 PHP研究所、2002年、149項。
つまり、資本は①株主の出資金(資本金)と②利益から構成される。
利益の計算式・公式―利益計算
企業・会社等は、資本主義のもと、市場経済から利益・利潤を調達することを目的とする。
会計は、この企業・会社等の利益を明らかにして、これを投資家・債権者・税務署などの利害関係者に報告するための手続きである。
そして、その報告のために作成されるのが、貸借対照表と損益計算書に代表される決算書である。
貸借対照表と損益計算書のそれぞれで、利益は異なった観点から計算されることになる。
貸借対照表の利益計算
利益は、「資本の増加分」と定義されるので、貸借対照表上の利益は、次の算式で計算される。
このように貸借対照表までのレベルでも資本の増加分としての利益(または、資本の減少分としての損失)は認識することができる。
そこで、もし会計を貸借対照表だけで完結させるとするならば、仕訳は勘定科目の5つのグループ(資産・負債・資本・収益・費用)のうち資産・負債・資本の3つのグループだけで足りることになる。
この場合、資本と利益=資本の増加分は区別せずに資本として一括りにすることになる。
損益計算書の利益計算
しかし、貸借対照表の利益計算だけでは、利益をどのようにして獲得したのかが明らかとはならない。
そこで、損益計算書で資本と資本の増加分を区別してさらに資本の増減理由=収益と費用まで認識する。
この点に関しては、次のページも参照
この損益計算書上の利益は、次の算式で計算される。
なお、所得税法では、所得の金額は、原則として収入金額から必要経費を控除することで計算される。
また、法人税法では、所得の金額は次の計算式・公式で算定・算出される。
会計 | 税法 | ||
---|---|---|---|
所得税法 | 法人税法 | ||
目的とするもの | 利益 | 所得 | 所得 |
利益・所得の計算方法 | 利益=収益-費用 | 所得=収入金額-必要経費 | 所得=益金-損金 |
利益の目的・役割・意義・機能・作用など
明確に数字化・数値化された「利益」という具体的な目標が設定された(目標が「見える化」された)ことが資本主義発達の原動力になったと評価できる。
利益の分類・種類
利益は、次の5つの種類に分類される。
- 売上総利益=売上-売上原価
- 営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費
- 経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用
- 税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失
- 当期純利益=税引前当期純利益-(法人税、住民税、事業税等)
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