勘定科目―分類②―資本主勘定
資本主勘定とは
資本主勘定の定義・意味など
資本主勘定(しほんぬしかんじょう)とは、資本主=出資者に係る勘定を出資者別に処理するための勘定をいう。
参考:小栗崇資 「複式簿記の構造と会計 ― 2つの二重性の視座から ―」 駒澤大学経済学論集第42巻第1号、60項など。
資本主勘定の目的・役割・意義・機能・作用など
所有と経営の分離
資本主勘定は出資者の資金と企業の資金を区別するための勘定であり※、いわば所有と経営の分離の表れである(私見)。
※参考:小栗崇資 「複式簿記の構造と会計 ― 2つの二重性の視座から ―」 駒澤大学経済学論集第42巻第1号、59項。
なお、一般に複式簿記の本質として①取引の二重性②貸借平均の原則の2つがあげられるが、リトルトンはその著『会計発達史』で、複式簿記の本質として、さらに「資本主関係」を加えている。
…、完全な複式簿記が成立するがためには、均衡性と二重性以外にさらに別の要素が加わらなければならない。この追加さるべき要素とは、いうまでもなく、資本主関係―すなわち、所属財貨に対する直接的所有権と発生した収益に対する直接的要求権―である。
リトルトン 『会計発達史[増補版]』 同文館出版、2002年、45項。
資本主勘定の位置づけ・体系(上位概念等)
勘定科目
…。「人名勘定」(personal account)と「非人名勘定」(impersonal account)という二分類、さらに、「非人名勘定」を「実在勘定」と「名目勘定」とに再分類するという本来的な勘定分類…
久野秀男 「「商品勘定」とは何だったのか」 『学習院大学 経済論集』第29巻第3,4号併合、1993年、287項。
また、次のように分類されることもある。
…、以下本章では、単純な勘定記入がいかにして体系的な資本主義簿記に発展していったのであるかその過程を推定して概説しよう。
債権債務勘定(人名勘定)に商品勘定(非人名勘定)が加わり、債権債務勘定と商品勘定にさらに資本主勘定(資本と費用勘定)が加わった。こうして複式簿記の骨組が完成された。その後、基本的要素は一つも加えられてきていない。
リトルトン 『会計発達史[増補版]』 同文館出版、2002年、46項。
複式簿記の生成史上、周知の様に「債権・債務」の増減・変動を記録する「人名勘定」に始まり、次いで「現金勘定」と「実名諸商品勘定」が登場し、やがて「資本主勘定(費用勘定を含む)」の出現によってこの記帳システムが完成の域に達する。
久野秀男 「「商品勘定」とは何だったのか」 『学習院大学 経済論集』第29巻第3,4号併合、1993年、289項。
資本主勘定の範囲・具体例
資本・損益(収益・費用)
資本主勘定は資本主=出資者が拠出した資金(資本)のほか、発生した損益(収益ー費用)も含む。
資本主勘定の歴史・沿革・由来・起源・経緯など
資本主勘定はもともとは各出資者の資金の拠出を記録するための生々しい性格をもった一種の人名勘定として登場したが、やがて非人格的・抽象的な資本勘定へと転換していく。
小栗崇資 「複式簿記の構造と会計 ― 2つの二重性の視座から ―」 駒澤大学経済学論集第42巻第1号、60,61,65項など。
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