生命保険―養老保険―逆養老
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逆養老とは
逆養老の定義・意味・意義
逆養老(ぎゃくようろう)とは、死亡保険金の受取人が法人で、満期返戻金(満期保険金。または、満期に受け取ることができる解約返戻金)の受取人が被保険者である役員・従業員となっている養老保険で、通常の養老保険とは死亡保険金受取人と満期返戻金受取人が逆になっているものをいう。
逆養老の趣旨・目的・機能・役割
節税対策・節税方法
逆養老の保険料は全額損金算入できるため、会社の節税対策として利用される。
会社から個人(社長等)へお金を受け渡す方法のひとつ
被保険者(役員・従業員)が受け取った満期返戻金は所得税法上、退職所得ではなく、一時所得として取り扱われる。
したがって、逆養老は、節税対策以外に、退職金にせずに、会社から個人へとお金を受け渡す方法のひとつともなる。
なお、所得税法上は、一時所得より退職所得のほうが優遇されているが、退職金には損金算入できる上限がある。
逆養老の位置づけ・体系(上位概念)
養老保険
なお、養老保険は、保険金受取人の別により、次の4つの種類に分類される。
それぞれ税法上の取り扱いが異なるため、それに応じて会計処理も異なってくる。
このうち下表一番下の4番目のタイプの養老保険が逆養老に相当する。
ただし、前述したとおり、法人税基本通達が規定する養老保険は下表のうち1~3番の3類型だけで、逆養老は含まれていない。
契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 | |
---|---|---|---|
死亡保険金 | 満期返戻金 | ||
法人 | 役員・従業員 | 法人 | 法人 |
被保険者または遺族 | 被保険者または遺族 | ||
遺族 | 法人 | ||
法人 | 被保険者 |
逆養老の節税効果
逆養老は、その保険料を全額損金算入できるので、節税対策・節税方法のひとつとして、一般に高い節税効果があるとよくいわれている。
しかも、満期返戻金の受取人は会社ではないので、一般の養老保険や計算する共済と異なり、出口戦略(法人税課税対策)を考える必要もない。
しかし、節税効果が高いという場合、法人税の損金算入効果だけが強調されているのであって、会社の目の前の経費を税額損金算入できるからという理由だけで逆養老を簡単に導入してはいけない。
すなわち、中途解約をした場合には、会社が解約返戻金を受け取ることになるが、この場合、雑収入勘定等で処理をし、その全額が益金として法人税の課税対象となる(→逆養老の中途解約)。
また、被保険者となる役員・従業員にとっては、現物給与として役員報酬・給料手当の額が増えるので、所得税についてはマイナスの節税効果となる。
つまり、役員・従業員は、役員報酬・給料手当の増額による所得税・住民税負担の増額が先行して発生する。
特に、社長が節税ツールとして逆養老の導入を検討する場合には、生命保険料の全額損金算入といったプラスの節税効果だけでなく、中途解約した場合における解約返戻金に対する法人税の課税や解約返戻金と満期返戻金との差額、または払済にした場合における払済保険金と満期返戻金との差額(以上、法人税関係)、そして、役員報酬の増額による所得税等の増額、満期返戻金を受け取った際の所得税の課税(一時所得として取り扱われる)(以上、所得税関係)といったマイナスの節税効果も含めて、総合的に考慮したうえ、その是非を判断をする必要がある。
加えて、逆養老の節税効果はその年その年に適用される法人税や所得税の実効税率によって、年単位でかなり変わってくるので、正確な節税効果を算出するには、年ごとにその年の実効税率(あるいは将来適用されることになると予想される実効税率)を適用したうえ、それらを合算して計算する必要があるので注意を要する。
逆養老の会計・簿記・経理上の取り扱い
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逆養老の税務・税法・税制上の取り扱い
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