事業―損益―利益―費用―内容―経費(必要経費)
経費とは 【expense】
経費の定義・意味・意義
経費は会計上の経費と、税務上の経費があり、両者の定義は若干異なる。
そのため、会計上、経費処理(費用処理)をしても、税務上、経費としては認められない(経費否認)される場合もある。
会計上の定義
会計上、経費とは、事業に直接的・間接的に関連する(必要な)費用をいう。
必要経費とも呼ばれることがある。
税務上の定義
税法上は「必要経費または損金=①売上原価②販売費及び一般管理費等③減価償却費」などと定義されるが、会計上は「費用=①売上原価②経費」として論じられることがあり、経費の位置づけが異なる場合があるので混乱しないよう注意。
所得税法
所得税法では、不動産所得・事業所得・雑所得における必要経費については、次のように定義されている。
- これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用…費用収益対応の原則における個別対応の対象
- その年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用で債務の確定したもの(→債務確定主義)…費用収益対応の原則における期間対応の対象
- これらの所得を生ずべき業務について生じた減価償却費…費用収益対応の原則における期間対応の対象
換言すると、必要経費は収入金額のうち所得にあたらない部分であるともいえる。
その他所得税法上の必要経費の定義の詳細については、次のページを参照。
法人税法
法人税法
(各事業年度の所得の金額の計算)
第二十二条 …
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
経費の構成内容(内訳)
経費の位置づけ・体系
損益計算書の利益計算における費用の一要素(利益計算の前提)
一般に会計・簿記は、決算書を作成して利害関係者に企業の財政状態と経営成績を明らかにすることを目的とする。
決算書のなかでは、企業の経営成績を表わす損益計算書と企業の財政状態を示す貸借対照表が特に重視される。
このうち損益計算書は、どれだけの利益をどのようにして生み出したのかという事業の収支(フロー)、すなわち企業や個人事業主の1会計期間(事業年度)における利益を明らかにするために作成する。
そして、損益計算書における利益は、次の計算式で算定・算出する。
ただし、損益計算書上は、経費という区分表示はなく、「売上原価」と経費のうち「販売費及び一般管理費」とをあわせて営業費用として表示される。
経費の趣旨・目的・役割・機能
課税対象を所得に限定する役割
税法上、必要経費の制度は必要経費=所得にあたらない部分を除くことにより、所得として課税されるべき部分を限定することを目的としている。
節税の基本―経費で落とす
このように経費は税法上重要な意味がある。
つまり、よく「経費で落ちる」という表現をするが、税務署で経費として認められた支出・費用は必要経費算入(所得税法上)・損金算入(法人税法上)が認められて、その分所得が減るため、税金が安くなる。
…会計に詳しい人でも、経費に詳しいという方は、あまりいません。連結決算の複雑な仕訳をマスターしている人でも、一緒に飲んでいるときの費用を、会社の経費で落とす方法は知らないのです。
会計のもっとも基本的な公式は「収入-経費」(※会計上は「収入-費用」。管理人注)です。どんな複雑な財務諸表も、大本はこの公式から成り立っています。この基本公式の中の「経費」について、世間に出回っている情報は、あまりに少なく貧弱なのです。
大村大次郎 『あらゆる領収書は経費で落とせる』 中央公論新社〈中公新書ラクレ〉、2011年、3頁。
経費の範囲・具体例
次のページを参照。
経費に関する誤解
日常会話で「経費で落とすから」といった表現がよく使われるが、経費で落としたからといって、その支出がゼロになる、あるいは得になるというわけでは決してない。
経費として認められることでその支出が必要経費算入・損金算入でき(課税対象額が低くなる)、税金が安くなるだけのことであって、当該支出から安くなった税額を控除した分は会社・個人事業主の利益(内部留保)を削っていることに変わりはない。
たとえば、税率(法人の場合は、正確には実効税率)が40%の場合であれば、「経費と落とす」とは、いわば40%引きで商品・サービスを購入している(その40%は税金で支払ってもらっている、と考えることができる)ことと同じである。
したがって、税金で持っていかれるくらいなら使ったほうが得だ、というのではなく、40%の税金を支払って60%を内部留保するより、40%の割引きで商品・サービスを購入したほうがより効果的である、あるいは価値があると考えられるのであれば、「経費で落とす」意味があるといえる。
つまり、たとえ40%引きでも(安くても)不要なものを買っては仕方がない、ということである
経費の会計・簿記・経理上の取り扱い
次のページを参照。
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