資本―株式の発行
株式の発行とは
株式の発行の定義・意味など
株式の発行(かぶしきのはっこう)とは、株式会社が株式を表彰する有価証券である株券を発行し、出資者から資金を調達することをいう。
なお、会社には、株式会社以外にもさまざまな形態の会社があるが、株式を発行できるのは株式会社だけである。
株式の発行の目的・役割・意義・機能・作用など
株式会社は、企業のなかでも、多くの投資家から多額の資金調達をして大規模な事業経営を行うことを特色とする。
これを可能にする制度が株式で、資本の出資単位を株式として小口・均等に細分化するとともに、有限責任にすることで、出資しやすくした。
株式の発行の分類・種類
株式会社の設立に際しては、原則として発行可能株式総数の4分の1以上を発行しなければならない。
会社法
(発行可能株式総数の定め等)
第三十七条 …
3 設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の四分の一を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
そして、残りの未発行株式については、会社設立後、株主総会や取締役会等により必要に応じて随時発行すること(これを新株の発行または増資という)が認められている。
なお、この制度を授権資本制度という。
したがって、株式の発行には、次の2つの種類があることになる。
株式の発行の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
会社設立時の株式の発行であっても、会社設立後の新株の発行(増資)であっても、株式を発行した場合の会計処理は基本的に同じである。
使用する勘定科目・記帳の仕方等
設立の場合
資本金の計上
会社法の規定により、会社設立にあたり、株主が払込みをした額=出資金は会社の成立日(会社の設立日。具体的には会社設立の登記申請日)に原則として資本金勘定に計上するが、その1/2を超えない額は資本金として計上しないことができる。
この資本金として計上しないこととした額は株式払込剰余金(または資本準備金)勘定で処理をする。
なお、株式払込剰余金は貸借対照表上は資本準備金として表示する。
会社法
(設立手続等の特則)
第百二条 …
2 設立時募集株式の引受人は、株式会社の成立の時に、第六十三条第一項の規定による払込みを行った設立時発行株式の株主となる。
(資本金の額及び準備金の額)
第四百四十五条 株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
2 前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
3 前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。
…
増資の場合
取引の具体例と仕訳の仕方
設立時
資本金の計上
全額を資本に組み入れる場合
会社設立にあたり、設立登記が完了し、出資金が普通預金に振り込まれた。出資金の全額を資本に組み入れた。
普通預金 | ×××× | 資本金 | ×××× |
一部を資本に組み入れない場合
会社設立にあたり、設立登記が完了し、出資金100万円が普通預金に払い込まれた。このうち、1/2は資本に組み入れないこととした。
普通預金 | 1,000,000 | 資本金 | 500,000 |
株式払込剰余金(または資本準備金) | 500,000 |
現在のページが属するカテゴリ内のページ一覧[全 7 ページ]
- 資本―株式
- 資本―株式―株券
- 資本―株式の発行
- 資本―株式の発行―分類―新株の発行(増資)
- 資本―株式の発行―分類―新株の発行(増資)―株主割当
- 資本―株式の発行―分類―新株の発行(増資)―第三者割当
- 資本―株式の発行―分類―新株の発行(増資)―公募
現在のページが属するカテゴリのサイトにおける位置づけ