損益計算書原則―収益・費用の認識基準―発生主義―工事進行基準
工事進行基準とは
工事進行基準の定義・意味・意義
工事進行基準とは、工事契約に関する収益認識基準の一つで、工事の進行途上においても、決算日における工事進捗度に応じて、決算日にその工事に係る収益の一部を認識する(当期の収益に見積り計上する)という基準をいう。
工事進行基準の趣旨・目的・役割・機能
工事進行基準は、工事の進み具合に応じて売上を計上するという会計処理で、建設業でよく採用されている。
工事進行基準の位置づけ・体系(上位概念)
発生主義
工事契約に関する収益認識基準は、次の2つの種類がある。
工事進行基準と工事完成基準との比較(違い)
実現主義に基づく工事完成基準では、収益を実現した時点、つまり、工事が完成し、相手方に引き渡した時点で、収益を当該会計期間に一括して計上する。
これに対して、発生主義に基づく工事進行基準では、工事の進行途上においても、その完成度合いに応じて、各期末に収益を見積もり計上していく。
工事進行基準の経緯・沿革・歴史など
工事契約に関する会計基準
従来、工事契約においては、工事完成基準と工事進行基準の選択適用が認められており、そのうち、工事完成基準が一般的であった。
しかし、企業会計基準委員会が2007年(平成19年)12月に公表した「工事契約に関する会計基準」(企業会計基準第15号)で、2009年(平成21年)4月1日以降に開始となる事業年度からは工事進行基準を適用することが原則となった。
工事進行基準に関する会計基準
工事契約に関する会計基準
中小企業の会計に関する指針
「中小企業の会計に関する指針」では、工事契約(受注制作のソフトウェアを含む。)の収益認識方法について、次のように規定している。
工事の進行途上においても、その進捗部分について成果の確実性が認められる場合には工事進行基準を適用し、この要件を満たさない場合には工事完成基準を適用する。
成果の確実性が認められるためには、次の各要素について、 信頼性をもって見積ることができなければならない。
(1) 工事収益総額
(2) 工事原価総額
(3) 決算日における工事進捗度
つまり、以下のとおりとなる。
- 工事進行基準…原則
- 工事完成基準…例外(成果の確実性が認められない場合)
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