売上
売上とは
売上の定義・意味など
売上(うりあげ)とは、通常の営業である商品・製品の販売やサービス(役務)の提供などにより得た代金を処理する収益勘定をいう。
売上の表記
損益計算書では「売上高(うりあげだか)」という用語を用いる(後述)が、帳簿上は「売上」と表記するのが一般的である。
法人・個人の別
法人・個人
売上は法人・個人で使用する勘定科目である。
他の勘定科目との関係
商品・商品売買益
商品の販売においては、売上勘定は商品売買取引の記帳方法として三分法を採用している場合にのみ用いられる。
分記法または総記法を採用している場合は、売上げは商品勘定や商品売買益勘定で処理される。
完成工事高
業種によっては特有の勘定科目を使用する場合もある。
たとえば、建設業では完成工事高勘定を用いる。
売上の目的・役割・意義・機能・作用など
損益計算書の計算では、営業による収益と、営業外の取引から生ずる収益とを明確に区分しなければならない。
そこで、営業による収益のみを処理するための勘定科目が売上である。
売上の範囲・具体例
売上の範囲
自家消費(家事消費)
商品などの棚卸資産を自家消費した場合は、所得税法上、収入金額に算入することとされているため、売上勘定で処理をする。
預り保証金・預り敷金のうち返還されない金額
預かった保証金や敷金は取引や契約の終了時に返還するのが原則である。
しかし、契約上その一部が返還されない(「明渡時に20%を償却する」などの償却事項が付いている)と規定されている場合もある。
この場合、返還されない部分については、売上(または雑収入)勘定で処理をする。
岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、122項。
半製品・副産物・作業くずなど
製造業の場合、製品の製造過程で発生する半製品、副産物、作業くず等を外部へ売却する場合もある。
この場合の収益も本業によるものとして、売上に含める(「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」第72条1項)。
売上の分類・種類
総売上高・純売上高
売上には、次の2つの種類がある。
売上と関係する概念
売上原価
売上に関する会計基準と制度会計
会計基準
企業会計原則
企業会計原則では、商品等の売上高と役務による営業収益を区別して記載することとされている。
企業会計原則 第二 損益計算書原則
三 A
企業が商品等の販売と役務の給付とをともに主たる営業とする場合には、商品等の売上高と役務による営業収益とは、これを区別して記載する。
制度会計
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(財務諸表等規則)
事業の種類ごとの区分
(兼業会社の売上高等の記載方法)
第七十一条 二以上の種類の事業を営む場合における売上高及び売上原価に関する記載は、事業の種類ごとに区分してすることができる。
製品売上高と商品売上高の区分
(売上高の表示方法)
第七十二条 …
2 前項の売上高の記載については、製品売上高と商品売上高は区分して記載しなければならない。ただし、区分することが困難な場合は、この限りでない。
割賦販売による売上高の区分表示
割賦販売による売上高が一定額以上の場合は、その区分表示が求められている。
(割賦販売売上高の表示方法)
第七十三条 割賦販売による売上高が売上高の総額の百分の二十をこえる場合には、当該名称を付した科目をもつて別に掲記しなければならない。
売上の決算等における位置づけ等
売上の財務諸表における区分表示と表示科目
区分表示・表示科目
売上高
期中は売上勘定で記帳するが、損益計算書等には「売上高」と表示する。
会社計算規則
(損益計算書等の区分)
第八十八条 損益計算書等は、次に掲げる項目に区分して表示しなければならない。この場合において、各項目について細分することが適当な場合には、適当な項目に細分することができる。
一 売上高
二 売上原価
三 販売費及び一般管理費
四 営業外収益
五 営業外費用
六 特別利益
七 特別損失
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(収益及び費用の分類)
第七十条 収益又は費用は、次に掲げる項目を示す名称を付した科目に分類して記載しなければならない。
一 売上高
二 売上原価(役務原価を含む。以下同じ。)
三 販売費及び一般管理費
四 営業外収益
五 営業外費用
六 特別利益
七 特別損失
売上の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
収益の認識基準
売上の計上基準・期間帰属(今期の売上に含める範囲)
売上に関しては、まず、これをいつの時点で計上するかという期間帰属の問題がある。
売上(売上高)―計上基準―収益の認識基準(売上計上時期)―実現主義
売上の計上金額
売上を計上する場合、売上計上時期の問題に次いで問題となるのが、売上の計上金額をいくらにするかという問題である。
売上の原価計算
売上による利益計上は、売上げた商品の原価計算が大変煩雑となる。
そこで、商品取引の仕訳の処理方法として、売上勘定・仕入勘定・繰越商品勘定を用いる三分法、または、商品勘定・商品売買益勘定を用いる分記法が用いられている。
取引の具体例と仕訳の仕方
三分法による記帳では、商品を販売したときは売価を売上勘定の貸方に記帳する。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 |
××××
|
売上 |
××××
|
売上の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
課税取引等
消費税法上、売上は原則として課税取引として課税売上げに該当する。
ただし、国外取引の売上は不課税取引として消費税の課税対象外である。
また、一定の要件を満たした輸出取引は免税取引(輸出免税)として消費税が免除される。
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