法人税―確定申告―欠損金の繰戻しによる還付(欠損金繰戻の還付)
欠損金の繰戻しによる還付(欠損金繰戻の還付)とは
欠損金の繰戻しによる還付の定義・意味など
欠損金の繰戻しによる還付とは、法人税法第80条第1項または第4項の規定に基づき、請求により、欠損金を繰り戻して法人税が還付されることをいう。
法人税法第80条第1項の規定に基づく場合
欠損金額がある場合
欠損金額がある場合、その事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に繰り戻し、法人税額の還付を請求できる。
わかりやすく言えば、前年度の所得がプラスで法人税を納めたが、今年度が欠損となった場合には、前年度に納付した法人税の還付を請求できるということである。
法人税法
(欠損金の繰戻しによる還付)
第八十条 内国法人の青色申告書である確定申告書を提出する事業年度において生じた欠損金額がある場合(第四項の規定に該当する場合を除く。)には、その内国法人は、当該申告書の提出と同時に、納税地の所轄税務署長に対し、当該欠損金額に係る事業年度(以下この条において「欠損事業年度」という。)開始の日前一年以内に開始したいずれかの事業年度(欠損事業年度が次の各号に掲げる事業年度に該当する場合には、当該各号に定める事業年度を除く。)の所得に対する法人税の額(附帯税の額を除くものとし、第六十八条から第七十条の二まで(税額控除)の規定により控除された金額がある場合には、当該金額を加算した金額とする。以下この条において同じ。)に、当該いずれかの事業年度(以下この条において「還付所得事業年度」という。)の所得の金額のうちに占める欠損事業年度の欠損金額(この条の規定により他の還付所得事業年度の所得に対する法人税の額につき還付を受ける金額の計算の基礎とするものを除く。第四項において同じ。)に相当する金額の割合を乗じて計算した金額に相当する法人税の還付を請求することができる。
…
法人税法第80条第4項の規定に基づく場合
解散等の事実が生じた場合
解散等の事実が生じた場合、当該事実が生じた日前1年以内に終了したいずれかの事業年度または同日の属する事業年度の欠損金額をこれらの事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に繰り戻し、法人税額の還付を請求できる。
法人税法
(欠損金の繰戻しによる還付)
第八十条 …
4 第一項及び第二項の規定は、内国法人につき解散(適格合併による解散を除く。)、事業の全部の譲渡、更生手続の開始その他これらに準ずる事実で政令で定めるものが生じた場合(当該事実が当該内国法人の連結事業年度において生じた場合を除く。)において、当該事実が生じた日前一年以内に終了したいずれかの事業年度又は同日の属する事業年度において生じた欠損金額(第五十七条第一項の規定により各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたもの及び同条第四項、第五項又は第九項の規定によりないものとされたものを除く。)があるときについて準用する。この場合において、第一項中「当該申告書の提出と同時に」とあるのは「当該事実が生じた日以後一年以内に」と、「請求することができる。」とあるのは「請求することができる。ただし、還付所得事業年度から欠損事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出している場合に限る。」と読み替えるものとする。
欠損金の繰戻しによる還付(欠損金繰戻の還付)の手続き
欠損金の繰戻しによる還付の請求
欠損金の繰戻しによる還付請求書
欠損金の繰戻しによる還付を受けるには、「欠損金の繰戻しによる還付の請求」手続きが必要である。
[手続名]欠損金の繰戻しによる還付の請求|法人税|国税庁 https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_38.htm
具体的には、法人税の確定申告時に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を添付して行う。
欠損金の繰戻しによる還付の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
雑収入
前年度の所得がプラスで法人税を納めたが、今年度が欠損となった場合において、前年度に納付した法人税の還付を請求したときは、還付される法人税額を未収還付法人税等勘定(または一般的な科目である未収入金勘定)の借方に記帳するとともに、中間申告で納付した中間納付額を仮払法人税等勘定の貸方に記帳して仮払法人税等勘定を取り崩し、両者の差額を雑収入勘定の貸方に記帳する。
取引の具体例と仕訳の仕方
確定申告により法人税額が確定し、欠損となった。前年度の所得がプラスで法人税を納めているので、前年度に納付した法人税の還付を請求した(法人税の確定申告時に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を添付した)。
未収還付法人税等 | ×××× | 仮払法人税等 | ×××× |
雑収入 | ×××× |
欠損金の繰戻しによる還付の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
消費税法上、欠損金の繰戻しによる還付は不課税取引として消費税の課税対象外となる。
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