仮払法人税等(仮払税金)
仮払法人税等とは
仮払法人税等の定義・意味など
仮払法人税等(かりばらいほうじんぜいとう)とは、中間申告や予定申告による法人税等(法人税・法人住民税・事業税)の仮払税金を処理する資産勘定をいう。
仮払法人税等の別名・別称・通称など
仮払税金
仮払法人税等は、仮払税金(かりばらいぜいきん)ともいう。
法人・個人の別
法人
仮払法人税等は法人で使用する勘定科目である。
仮払法人税等の目的・役割・意義・機能・作用など
会社が納付する税金にはさまざまなものがあるが、このうち、法人税、法人住民税、事業税は、企業の利益(所得)に対して課される税金で、簿記上は「法人税等」と総称されている。
この法人税等については、中間申告義務がある法人は年度末に税額が確定する前に中間申告をして、所定の方法で計算した税金額を仮払い(中間納付)する。
仮払法人税等は、この仮払税金を管理するための勘定科目である。
仮払法人税等の位置づけ・体系
決算
なお、控除しきれなかった場合には還付が受けられる(→法人税等の還付。未収法人税)。
仮払法人税等の範囲・具体例
源泉所得税
預金利息や配当の受取りの際に控除される税金についても法人税や法人住民税の仮払いとして仮払法人税等勘定で処理をする。
岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、75項。
他の勘定科目との関係
法人税等
仮払法人税等の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
中間申告時
法人税等(法人税・住民税(道府県民税と市町村民税)・事業税の一部)について、中間申告および納付を行ったときは、その納付額を仮払法人税等勘定の借方に記帳して資産計上する(→仮払経理)。
この会計処理は、法人税の確定申告書の別表五(二)でいうところの「仮払経理による納付」に相当する。
ただし、法人税法上、事業税は損金算入が認められている租税公課なので、支払った年度の費用になる。
そこで、中小企業では未払いの事業税は計上しないこともできる。
また、未払法人税等の残高があれば、これを取り崩して納付することもできる(→充当金取崩し)。
なお、次のページも参照。
決算時
決算で当期の法人税等(法人税・住民税(道府県民税と市町村民税)・事業税の一部)の税額が確定するので、確定した法人税等の額を法人税等勘定(費用または利益処分)の借方に記帳する。
他方、法人税等の納付は確定申告時に行うので、決算時では未払いとなる。
なお、この未払金は、法人税の確定申告書の別表五(二)でいうところの「期末現在未納税額」に相当する。
したがって、確定申告時に納付すべき税額を未払法人税等勘定(負債)の貸方に記帳して負債計上する。
新会計基準では、法人税・住民税のみならず、原則として、事業税についても、未払法人税等に含めて計上する。ただし、中小企業では、事業所税や固定資産税、不動産取得税、都市計画税などの未納税額と同様、未払税金勘定で処理をしてもよい。
また、中間申告(納付)を行っている場合には、仮払法人税等勘定を取り崩し、中間納付額を差し引いた税額を未払法人税等勘定で処理する。
なお、次のページも参照。
取引の具体例と仕訳の仕方
中間申告時
法人税等について中間申告を行い、前年度の税額の1/2の60万円を納付した。
仮払法人税等 | 60万 | 普通預金 | 60万 |
期末(決算時)
決算を迎え、当期の法人税等が100万円と確定した。なお、中間申告で60万円を納付している(仮払法人税等の残高が60万円ある)。
法人税等 | 100万 | 仮払法人税等 | 60万 |
未払法人税等 | 40万 |
仮払法人税等の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
消費税法上、仮払法人税等は不課税取引として消費税の課税対象外である。
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