棚卸資産(たな卸資産)―会計処理―棚卸資産の評価―①棚卸資産の評価方法―原価法
原価法とは
原価法の定義・意味など
原価法(げんかほう)とは、取得原価主義にもとづく棚卸資産の評価方法または棚卸資産の評価基準をいう。
法人税法施行令
(棚卸資産の評価の方法)
第二十八条 法第二十九条第一項 (棚卸資産の売上原価等の計算及びその評価の方法)の規定による当該事業年度終了の時において有する棚卸資産の評価額の計算上選定をすることができる同項 に規定する政令で定める評価の方法は、次に掲げる方法とする。
一 原価法(当該事業年度終了の時において有する棚卸資産(以下この項において「期末棚卸資産」という。)につき次に掲げる方法のうちいずれかの方法によつてその取得価額を算出し、その算出した取得価額をもつて当該期末棚卸資産の評価額とする方法をいう。)
イ 個別法(期末棚卸資産の全部について、その個々の取得価額をその取得価額とする方法をいう。)
…
原価法の位置づけ・体系(上位概念等)
原価法は、会計上、次の2つの役割がある。
両者はあまり区別されずに論じられていることが多いので、混同しないように注意を要する。
1.棚卸資産の評価方法としての原価法
原価法は、棚卸資産の評価方法として、期中における、払い出された棚卸資産(商品など)の単価の計算方法である。
2.棚卸資産の評価基準としての原価法
しかし、この原価法は、同時に、期末棚卸資産の評価基準の問題として論じられることもある。
原価法と関係する概念
反対概念・対概念
低価法
棚卸資産の評価基準としての原価法に対する概念が低価法である。
従来、取得原価主義の例外として、一定の場合、低価法を採用することが認められていたが、2009年(平成21年)3月より低価法が強制適用されることになった(後述)。
原価法の分類・種類
法人税法上、原価法として、次の方法が認められている(法人税法施行令28条1項1号)。
※単純平均法と後入先出法は、2010年4月1日以後開始する事業年度から廃止され、使用できなくなった。
なお、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」では、棚卸資産の評価方法として、次の4つを規定している。
また、「中小企業の会計に関する指針」では、棚卸資産の評価方法につき、次のように規定している。
棚卸資産の評価方法は、個別法、先入先出法、後入先出法、総平均法、移動平均法、売価還元法等、一般に認められる方法によるものとしている。
なお、期間損益の計算上著しい弊害がない場合には、最終仕入原価法を用いることもできる。
原価法の歴史・沿革・由来・起源・経緯など
2009年(平成21年)3月以降
従来、会計上は、棚卸資産の評価基準は原則として取得原価によるものとされていた。
しかし、2009年(平成21年)3月より、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」により、低価法が強制適用されることとなった。
なお、これにより会計上と法人税法上の基準が異なることとなる。
この点については、次のページを参照。
原価法に関する手続き
資産の評価方法は、会社設立後最初の確定申告書の提出期限までに、税務署に届け出をする必要がある。
評価方法を届け出なかった場合には、最終仕入原価法による原価法を選択・選定したとみなされる。
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