期末商品の評価―期末商品棚卸高の算定
期末商品棚卸高の算定
売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 ー 期末商品棚卸高
したがって、売上原価を算定するには期末商品棚卸高を算定することが必要になるが、これは、次の計算式により算定・算出をする。
よって、期末商品棚卸高は、期末の商品の数量の確定(=実地棚卸)と期末の商品の価値の確定(=棚卸資産の評価)という2段階の手続きによって算定される。
※同じ商品であっても、仕入・購入ごとに仕入・購入単価が異なることがあるので、費用収益対応の原則からこれを確定しておく必要がある
そして、以上の実地棚卸と棚卸資産の評価の結果を棚卸表に記録する。
1.期末の商品の数量の確定
実地棚卸
棚卸の対象
棚卸資産の範囲・具体例については、次のページを参照。
なお、通常の年に比べて特に変動がない消耗品などについては、棚卸を省略しても差し支えないものとされている。
棚卸の時期(棚卸日)
棚卸は原則として年末(12月31日)に実施しなければならない。
ただし、多忙のため年末に棚卸を実施できない場合には、多少前後した日に実施しても差し支えない。
この場合には、年末と棚卸日と間の売上げや仕入などから年末の棚卸高を計算するともに、その計算方法を明らかにしておく必要がある。
数量の算定方法
数量の算定方法には次の2つの種類がある。
2.期末の商品等の価値の確定
棚卸資産の評価
①棚卸資産の評価方法
期中の商品の受払いの記録は商品有高帳で行われるが、払出単価の算定方法は原価法による。
法人税法上、原価法として、次の方法が認められている(法人税法施行令28条1項1号)。
※単純平均法と後入先出法は、2010年4月1日以後開始する事業年度から廃止され、使用できなくなった。
なお、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」では、棚卸資産の評価方法として、次の4つを規定している。
また、「中小企業の会計に関する指針」では、棚卸資産の評価方法につき、次のように規定している。
棚卸資産の評価方法は、個別法、先入先出法、後入先出法、総平均法、移動平均法、売価還元法等、一般に認められる方法によるものとしている。
なお、期間損益の計算上著しい弊害がない場合には、最終仕入原価法を用いることもできる。
なお、以上のうちどの評価方法を採用するかについては、あらかじめ税務署へ届け出ておく必要がある。
ただし、評価方法を届け出ていない場合は、最終仕入原価法により評価することになる。
②棚卸資産の評価基準
期末においては「棚卸資産の評価方法」に加えて、「棚卸資産の評価基準」も問題となる。
すなわち、期末においては、商品の時価が取得原価(帳簿価額)よりも下がる場合も出てくる。
この場合、期末の商品の最終的な貸借対照表価額を決定するために、時価を基準にして商品の価値を再評価すべきか(低価法)、それとも商品の価値を再評価せずに選択した棚卸資産の評価方法による評価額をそのまま使用するのか(原価法)、ということが問題となる。
これが棚卸資産の評価基準の問題である。
この点、期末商品の時価が取得原価より低い場合は、時価で商品を評価する低価法が強制適用される。
3.棚卸表の作成
なお、棚卸に際して在庫数量などを記載したメモなどの記録も、棚卸表と一緒に保存しておく。
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