金融政策―目標
金融政策の目標
金融政策の目標の分類・種類
中央銀行である日本銀行が行う経済政策を金融政策というが、金融政策の目的には、次の3つがある。
そして、この目的を実現するために、金融政策の目標とされるものには大別すると次の2つがある。
つまり、日本銀行は、物価の安定や景気変動の調整などの目的を実現するため、金利水準またはマネーの量を目標に金融政策を運営する。
経緯・沿革・歴史など
1.質的金融緩和…金融政策の目標:金利水準
中央銀行の金融政策は、伝統的(理論上・実務上)には金利水準が目標とされてきた(→政策金利)。
たとえば、日本では不況対策として1995年(平成7年)以来、公定歩合やコールレート(無担保コール翌日物金利)を通じた金利水準の引き下げによる金融緩和が行われてきた。
これを質的金融緩和などという。
2.量的金融緩和…金融政策の目標:マネタリーベースの一構成内容である日銀当座預金残高
しかし、金利は常識的にはマイナスにならないという制約がある(金利はゼロが最低)ため、金利水準を目標とした金融政策(金融緩和)には限界(>「ゼロ金利政策」)がある。
2003年6月に無担保コール翌日物が初のマイナス金利を記録している。
そこで、新たに採用されたのが、マネタリーベース(ハイパワードマネー)を構成する日銀当座預金残高(民間金融機関が日本銀行に保有している無利子の預金。日本銀行当座預金・日本銀行預け金・中央銀行預け金とも)を金融政策の目標とする量的金融緩和である。
3.量的・質的金融緩和…金融政策の目標:マネタリーベース
しかし、ゼロ金利が続く経済においては、中央銀行がマネタリーベースを供給しても物価に影響を与えられないばかりか、マネーストックにすら影響を与えることができないという状況が発生した。
そこで、2013年(平成25年)、日銀は初めてマネタリーベース自体を目標と定めた。
なお、一連の大規模な金融緩和への転換を決定した日銀の黒田東彦総裁はこれを「これまでとは全く次元が異なる(異次元)」の金融政策であると説明した。
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