中央銀行―日本銀行―日本銀行の三大業務―②銀行の銀行―資金供給
資金供給とは
資金供給の定義・意味・意義
資金供給とは、日本銀行が市中銀行に資金を供給することをいう。
資金供給の位置づけ・体系
日本銀行は「銀行の銀行」として日本銀行法第33条にもとづいて市中銀行と次のような取引を行う。
このうち、日本銀行が資金の貸付けや国債・手形などの買い取りなどを行うと、日本銀行券が発行されたり、日本銀行の当座預金残高(日銀当座預金残高。日本銀行当座預金・日本銀行預け金・中央銀行預け金とも)が増えたりする※(いずれも日銀にとっては負債勘定。→日本銀行勘定の構成内容・内訳)というかたちで、市中銀行に資金供給が行われることになる。
※たとえば、日銀が市中銀行から国債を買い取ると、その購入代金は当該金融機関が日本銀行に開設している当座預金口座に振り込まれる。
なお、資金供給は比喩的に「お金を刷る」と言われることがあるが、これは単にお金をばらまくということではなく、このように資金を貸し付けたり、国債などを買い取ったりすることの対価としての等価交換である(→複式簿記における取引の二重性と貸借平均の原則という2つの原則)。
資金調達をするために市中銀行は日本銀行から貸付を受けるほか、インターバンク市場で銀行同士で資金を融通しあう。
つまり、資金の余っている銀行が不足している銀行に資金を貸し付ける。
この銀行間の取引も、日本銀行への当座預金残高を帳簿上でプラス・マイナスすることで決済している。
資金供給の趣旨・目的・役割・機能
ハイパワードマネー(マネタリーベース)の供給による金利低下
資金供給により市中銀行に供給される資金・マネーはハイパワードマネー(マネタリーベース)である。
したがって、この段階ではまだ市中(民間)にマネー(つまり、市中に流通するマネー=マネーストック)が出回った・増えたわけではない。
増えたのはあくまで日本銀行の当座預金残高(日銀当座預金残高)等にすぎない。
ハイパワードマネーの供給により金利が低下し、これが企業の資金需要を喚起することで実体経済が活性化してはじめて市中銀行による信用創造も活発となりマネーストックが増えてくる。
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