貸借対照表―負債―流動負債
流動負債とは 【current liability】
流動負債の定義・意味など
流動負債(りゅうどうふさい)とは、貸借対照表の区分表示のひとつで、営業循環の過程に含まれる負債(→正常営業循環基準)と利用・運用の期間が決算日の翌日から起算して1年以内の負債(→1年基準)をいう。
流動負債の位置づけ・体系(上位概念等)
負債
流動負債は負債のひとつである。
この区別基準として、企業会計原則(企業会計原則注解・注16)は次の2つを規定している。
企業会計原則注解
〔注16〕流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
受取手形、売掛金、前払金、支払手形、買掛金、前受金等の当該企業の主目的たる営業取引により発生した債権及び債務は、流動資産又は流動負債に属するものとする。ただし、これらの債権のうち、破産債権、更正債権及びこれに準ずる債権で一年以内に回収されないことが明らかなものは、固定資産たる投資その他の資産に属するものとする。
…
この基準により、企業会計原則などでは、資産を流動負債・固定負債の2つに区分している。
- 流動負債
- 固定負債
企業会計原則
(貸借対照表の区分)
二 貸借対照表は、…、負債の部を流動負債及び固定負債に区分しなければならない。
会社計算規則
(負債の部の区分)
第七十五条 負債の部は、次に掲げる項目に区分しなければならない。この場合において、各項目は、適当な項目に細分しなければならない。
一 流動負債
二 固定負債
流動負債の範囲・具体例
流動負債の範囲
前述したように、流動負債の範囲は正常営業循環基準と1年基準により決せられる。
流動負債の具体例
正常営業循環基準により流動負債とされるものには、支払手形・買掛金などがあり、また、1年基準により流動負債とされるものには、短期借入金・未払金などがある。
(貸借対照表科目の分類)
(二)負債
…
A 取引先との通常の商取引によって生じた支払手形、買掛金等の債務及び期限が一年以内に到来する債務は、流動負債に属するものとする。
支払手形、買掛金その他流動負債に属する債務は、取引先との通常の商取引上の債務とその他の債務とに区別して表示しなければならない。
引当金のうち、賞与引当金、工事補償引当金、修繕引当金のように、通常一年以内に使用される見込みのものは流動負債に属するものとする。
会社計算規則
(負債の部の区分)
第七十五条 …
2 次の各号に掲げる負債は、当該各号に定めるものに属するものとする。
一 次に掲げる負債 流動負債
イ 支払手形(通常の取引に基づいて発生した手形債務をいう。)
ロ 買掛金(通常の取引に基づいて発生した事業上の未払金をいう。)
ハ 前受金(受注工事、受注品等に対する前受金をいう。)
ニ 引当金(資産に係る引当金及び一年内に使用されないと認められるものを除く。)
ホ 通常の取引に関連して発生する未払金又は預り金で一般の取引慣行として発生後短期間に支払われるもの
ヘ 未払費用
ト 前受収益
チ 次に掲げる繰延税金負債
(1) 流動資産に属する資産又は流動負債に属する負債に関連する繰延税金負債
(2) 特定の資産又は負債に関連しない繰延税金負債であって、一年内に取り崩されると認められるもの
リ ファイナンス・リース取引におけるリース債務のうち、一年内に期限が到来するもの
ヌ 資産除去債務のうち、一年内に履行されると認められるもの
ル その他の負債であって、一年内に支払われ、又は返済されると認められるもの
流動負債に関する指標
営業キャッシュフロー対流動負債比率
営業キャッシュフロー対流動負債比率は、営業活動から生み出されるキャッシュフロー(CF)により、短期的な支払義務である流動負債をどれだけまかなうことができるのかを見るための指標であり、この比率が高い企業ほど短期的支払能力、財務的な安全性が高いということになる。
流動負債の決算等における位置づけ等
流動負債の財務諸表における区分表示と表示科目
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