未払金 - [経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。

未払金



未払金とは

未払金の定義・意味など

未払金(みばらいきん)とは、通常の営業取引商品の販売など)以外から発生した金銭債務(通常の営業取引以外の取引における代の未払金)と通常の営業取引から発生した買掛金以外の金銭債務(通常の営業取引における買掛金以外の未払金)を処理する負債勘定をいう。

参考:中野智之 『最新版 仕訳がすぐわかる 経理勘定科目事典』 ナツメ社、2007年、128項。

法人・個人の別

法人・個人

未払金は法人・個人で使用される勘定科目である。

未払金の科目属性

負債

未払金は債務なので、負債勘定である。

未払金の範囲・具体例

未払金の具体例

未払金として処理をするものとしては、具体的には、次のようなものがある。

未払給与

中小企業などで、資金繰りの都合で支給日に給与を正しく支給できず、支払いを遅らせる場合がある。

この場合、支払期日は到来しているので、給与の未払金は未払金勘定で処理をする。

租税公課の未納

租税公課損金経理により未払計上する場合、必要経費または損金に算入できる租税公課の未納額は未払税金勘定で処理するが、未払税金の代わりにより一般的な勘定科目である未払金勘定で処理することもある。

ただし、後述するように租税公課の未納額は未払税金勘定で処理したほうが望ましい。

他の勘定科目との関係

買掛金

買掛金も未払金もともに代の未払金という点で共通するが、仕入れ先との通常の営業取引から発生した金銭債務については買掛金として明確に区分して処理をする。

未払費用
未払金と未払費用との違い

取引の継続性・債務の確定の有無

未払費用とは、経過勘定項目のひとつであるが、企業会計原則では、次のように定義されている。

企業会計原則
〔注5〕経過勘定項目について
(3) 未払費用
未払費用は、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、すでに提供された役務に対して、いまだその対価の支払が終らないものをいう。
したがって、このような役務に対する対価は、時間の経過に伴いすでに当期の費用として発生しているものであるから、これを当期の損益計算に計上するとともに貸借対照表負債の部に計上しなければならない。
また、未払費用は、かかる役務提供契約以外の契約等による未払金とは区別しなければならない。

つまり、会計上の原則からは、取引の継続性により、未払費用と未払金を区別する。

また、法上、確定債務であれば経費にできる(必要経費算入または損金算入できる)(所得法37条・法人税法22条3項2号)(→債務確定主義)ので、債務の確定の有無(支払期日の到来の有無)により、未払費用と未払金を区別する場合もある。

参考:中野智之 『最新版 仕訳がすぐわかる 経理勘定科目事典』 ナツメ社、2007年、128項など。

ただし、務上は債務が確定しているかどうかが重要であって、両者は特に区別されていない。

したがって、実務では、未払い費用はすべて未払費用勘定で処理するようなことも行われている。

ただし、この処理は本来は適切な処理とはいえない。

中野智之 『最新版 仕訳がすぐわかる 経理勘定科目事典』 ナツメ社、2007年、128項

長期未払金

決算日の翌日から1年を越えて支払期日が到来するものは、長期未払金勘定で処理をする場合もある。

未払金勘定として処理してもよいが、 長期未払金として区別して管理したほうがよい。

未払税金未払配当金未払役員賞与

未払金には、未払税金未払配当金未払役員賞与などもあるが、これらはそれぞれ独立した科目で処理するほうが望ましいとされている。

中野智之 『最新版 仕訳がすぐわかる 経理勘定科目事典』 ナツメ社、2007年、128項。

財務諸表等規則でも、未払配当金、または、期限経過の未償還社債で、その額が負債純資産の合計額の5/100を超えるものについては、当該負債を示す名称を付した科目をもつて別に掲記しなければならないとされている。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
流動負債区分表示
第四十九条 ...ただし、未払配当金又は期限経過の未償還社債で、その額が負債及び純資産の合計額の百分の五を超えるものについては、当該負債を示す名称を付した科目をもつて別に掲記しなければならない。

未払金と関係する概念

反対概念・対概念
未収金

営業取引から発生した債権債務は売掛金(債権)と買掛金(債務)勘定で処理するが、営業取引以外から発生した債権債務については未収金(債権)と未払金(債務)勘定で処理する。

未払金の目的・役割・意義・機能・作用など

対策・節方法としての未払金

法上、販売費及び一般管理費については、債務が確定していれば、期末までに支払っていなくても未払計上して経費にできる(必要経費算入・損金算入できる)ものとされている(→債務確定主義)。

所得
必要経費
第三十七条  その年分の不動産所得額、事業所得額又は雑所得額(事業所得額及び雑所得額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。

法人税
(各事業年度所得額の計算)
第二十二条  …
 内国法人の各事業年度所得額の計算上当該事業年度損金の額に算入すべき額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一  当該事業年度収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二  前号に掲げるもののほか、当該事業年度販売費一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三  当該事業年度損失の額で資本取引以外の取引に係るもの

したがって、費用収益対応の原則の見地からはもちろんのこと、節対策のひとつとしても、未払計上できるものはもれなく拾い出すようにする。

融資に有利

会計学 なぜ、社長のベンツは4ドアか』で紹介されていたが、をローンで購入した場合(ディーラー系ローン。お金を借りてを買う場合を除く)は実質的には借であるにもかかわらず、会計上の処理としては「借入金」ではなく「未払金」で処理することになる(お金を借りているわけではないので)。

したがって、決算書にも借入金として表示されないため、融資を受ける際などにも有利になる。

未払金の決算等における位置づけ等

未払金の財務諸表における区分表示表示科目

(短期の未払金)

貸借対照表負債流動負債 > 未払金

(長期の未払金)

貸借対照表負債固定負債 > 未払金(または長期未払金

区分表示
流動負債固定負債

未払金は、1年基準ワン・イヤー・ルール)により処理をされ、短期(決算日の翌日から起算して1年以内に支払期限が到来するもの)は流動負債に属し、長期(決算日の翌日から起算して1年を超えて支払期限が到来するもの)は固定負債に属するものとして表示する。

企業会計原則注解
[注16] 流動資産又は流動負債固定資産又は固定負債とを区別する基準について
 …
 貸付金借入金差入保証金受入保証金、当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金、未払金等の債権及び債務で、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に入金又は支払の期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払の期限が一年をこえて到来するものは、投資その他の資産又は固定負債に属するものとする。

会社計算規則
負債の部の区分)
第七十五条  …
 次の各号に掲げる負債は、当該各号に定めるものに属するものとする。
 次に掲げる負債 流動負債

 通常の取引に関連して発生する未払金又は預り金で一般の取引慣行として発生後短期間に支払われるもの

表示科目
未払金

通常の営業取引以外から発生した金銭債務をすべて未払金勘定で処理をすると、その範囲が大きくなる。
そこで、明瞭性の原則による要請から、残高に重要性がある場合には、その債務の内容を示す名称を付して、区分して表示する。

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
流動負債区分表示
第四十九条  流動負債に属する負債は、次に掲げる項目の区分に従い、当該負債を示す名称を付した科目をもつて掲記しなければならない。…

 未払金

 前項の規定は、同項各号の項目に属する負債で、別に表示することが適当であると認められるものについて、当該負債を示す名称を付した科目をもつて、別に掲記することを妨げない。

未払金の会計簿記経理上の取り扱い

会計処理方法

使用する勘定科目・記帳の仕方等
期中(購入・取得時)

通常の営業取引以外、または通常の営業取引であるが買掛金以外の未払金が発生したときは、未払金勘定負債)の貸方に記帳して負債計上する。

期末決算時)

期末においても未払い社債利息があるとき

利払日が経過したにもかかわらず、社債権者から利札の呈示がないために、期末においてもまだ未払い社債利息があるときは、決算時に未払金勘定負債)の貸方に記帳して負債計上する。

未払金の管理

月々の未払金の支払いが継続して発生する、あるいは多い場合には、別途エクセルなどで未払金管理表の類を作成して管理すると便利である。

取引の具体例と仕訳の仕方

期中(購入・取得時)
通常の営業取引における買掛金以外の未払金

取引

消耗品を購入し、代は翌月払いとした。

仕訳

借方科目
貸方科目
消耗品費 ✕✕✕✕ 未払金 ✕✕✕✕

クレジットカード

個人事業主必要経費を支払うためクレジットカードを使用したとき

借方科目貸方科目
新聞図書費
✕✕✕✕
未払金
✕✕✕✕

仕入の場合は買掛金勘定を用いることに注意。

ETCを利用したとき

取引

ETCにより高速道路代クレジットカードで支払った。

仕訳

借方科目
貸方科目
旅費交通費 ✕✕✕✕ 未払金 ✕✕✕✕

クレジットカードによる支払い分が口座から引き落とされたとき

事業用の口座名義から引き落とされた場合)

借方科目貸方科目
未払金
✕✕✕✕
普通預金
✕✕✕✕

(個人用の口座名義から引き落とされた場合)

借方科目貸方科目
未払金 ✕✕✕✕ 事業主借
✕✕✕✕

分割にしたため手数料が発生するとき

借方科目貸方科目
支払手数料
✕✕✕✕
普通預金
✕✕✕✕

個人事業主が個人的な支払いのため事業用のクレジットカードを使用したとき

借方科目貸方科目
事業主貸
✕✕✕✕
未払金
✕✕✕✕

期末決算時)

取引

決算にあたり、社債利息の未払分を計上した。

仕訳

借方科目
貸方科目
社債利息 ✕✕✕✕ 未払金 ✕✕✕✕

未払金の務・法・制上の取り扱い

消費税の課・非課・免・不課(対象外)の区分

不課税取引課税対象外)

未払金は不課税取引として消費税の課税対象外である。



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