貸借対照表―資産―固定資産
固定資産とは 【fixed asset】
固定資産の定義・意味など
固定資産(こていしさん)とは、貸借対照表の区分表示のひとつで、一般には、販売目的ではなく、長期間、事業のために使用または所有する資産をいい、企業会計上は営業循環の過程に含まれず(→正常営業循環基準)、かつ利用・運用の期間が決算日の翌日から起算して1年超の資産(→1年基準)をいう。
なお、税法(所得税法・法人税法)上は、土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産(山林を除く。たとえば、著作権など)と定義されている。
法人税法
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
…
二十二 固定資産 土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産で政令で定めるものをいう。
固定資産の位置づけ・体系(上位概念等)
資産
固定資産は資産のひとつである。
この区別基準として、企業会計原則(企業会計原則注解・注16)は次の2つを規定している。
企業会計原則注解
〔注16〕流動資産又は流動負債と固定資産又は固定負債とを区別する基準について
受取手形、売掛金、前払金、支払手形、買掛金、前受金等の当該企業の主目的たる営業取引により発生した債権及び債務は、流動資産又は流動負債に属するものとする。ただし、これらの債権のうち、破産債権、更正債権及びこれに準ずる債権で一年以内に回収されないことが明らかなものは、固定資産たる投資その他の資産に属するものとする。
…
商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等のたな卸資産は、流動資産に属するものとし、企業がその営業目的を達成するために所有し、かつ、その加工若しくは売却を予定しない財貨は固定資産に属するものとする。
ただし、期間損益計算を正しく行うためには、さらに繰延資産も考慮する必要がある。
そこで、企業会計原則などでは、資産を流動資産・固定資産・繰延資産の3つに分類し、さらにそれぞれを細分化している。
企業会計原則
(貸借対照表の区分)
二 貸借対照表は、…、さらに資産の部を流動資産、固定資産及び繰延資産に、…区分しなければならない。
会社計算規則
(資産の部の区分)
第七十四条 資産の部は、次に掲げる項目に区分しなければならない。この場合において、各項目(第二号に掲げる項目を除く。)は、適当な項目に細分しなければならない。
一 流動資産
二 固定資産
三 繰延資産
固定資産の範囲・具体例
固定資産の範囲
前述したように、固定資産の範囲は正常営業循環基準と1年基準により、決せられる。
なお、固定資産のうち残存耐用年数が1年以下となったものも流動資産とはせずに固定資産に含ませる。
ただし、棚卸資産のうち恒常在庫品として保有するもの、または余剰品として長期間にわたって所有するものは固定資産とせず流動資産に含ませる(企業会計原則注解・注16)。
固定資産の具体例
企業会計原則等では、固定資産を次の3つの種類に分類している。
企業会計原則
(貸借対照表科目の分類)
… (一)資産
… B 固定資産は、有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産に区分しなければならない。
会社計算規則
(資産の部の区分)
第七十四条 …
2 固定資産に係る項目は、次に掲げる項目に区分しなければならない。この場合において、各項目は、適当な項目に細分しなければならない。
一 有形固定資産
二 無形固定資産
三 投資その他の資産
固定資産の目的・役割・意義・機能・作用など
簿記から会計への発展
期間損益計算
固定資産は長期間使用される。
そのため、固定資産を大規模に使用するようになると、事業の期間損益計算が困難になる。
…、会計学生成上…重要な要因をなしたものは、近代生産の特徴でありかつ株式会社組織によって促進された巨額の固定資本の形成である。固定資本を大規模に使用するようになったことは、事業の期間利潤計算を昔にくらべていちじるしく困難ならしめた。
リトルトン 『会計発達史[増補版]』 同文館出版、2002年、19項。
固定資産の決算等における位置づけ等
固定資産の財務諸表における区分表示と表示科目
固定資産の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
固定資産では、 減価償却・圧縮記帳・固定資産の減損といった会計処理が問題になる。
たとえば、固定資産のうち、有形固定資産(土地・建設仮勘定を除く)と無形固定資産については、減価償却を実施する。
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