引当金 - [経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


引当金


引当金とは 【reserve

引当金の定義・意味など

引当金(ひきあてきん)とは、当期に獲得した収益に対応する費用が次期以降に発生すると予想される場合、これを見積り、当期の費用として繰り入れて計上する額をいう。

参考:『日商簿記3級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、111項。

引当金の目的・役割・意義・機能・作用など

適正な期間損益計算

発生主義会計を前提にすると、引当金は認めるべきではない。

しかし、引当金を計上しなかった場合は、貸借対照表上、引当金の分だけ純資産が過大に表示等されてしまう。

そこで、正しい期間損益計算のために要求される費用の見積計上が引当金である。

つまり、引当金は正確で信用力のある決算を作成するために不可欠な項目である。

なお、所得法上も、青色申告者に限り、一定の引当金の設定を認め、それへの繰入額を必要経費に算入することが認められている。

貸倒引当金などの一定の引当金を必要経費に算入できることが青色申告のメリットのひとつとされている。

また、引当金の設定により、費用の平準化を図ることもできる。

引当金の分類・種類

引当金は、その性質上、次の2つに大別される。

  1. 評価性引当金…将来の損失に備えるための評価勘定資産のマイナス勘定)としての性質をもつ引当金
  2. 負債性引当金…将来の費用に備えるための負債としての性質をもつ引当金

引当金の範囲・具体例

引当金の範囲

企業会計原則では、次の4つの要件をみたしている場合に、引当金として計上するものとしている。

  1. 将来の特定の費用または損失であること
  2. その発生が当期以前の事象に起因していること
  3. 発生の可能性が高いこと
  4. その額を合理的に見積ることができること

企業会計原則注解 
〔注18〕引当金について
将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高貸借対照表負債の部又は資産の部に記載するものとする。

発生の可能性の低い偶発事象に係る費用又は損失については、引当金を計上することはできない。

引当金の具体例

引当金の代表例としては、貸倒引当金退職給付引当金修繕引当金がある。

企業会計原則では引当金の具体例としてこれらも含めて以下のようなものをあげている。

引当金に関する会計基準制度会計

制度会計

会社会計

会社計算規則負債性引当金について規定している。

会社計算規則
負債評価
第六条 
 次に掲げる負債については、事業年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことができる。
 次に掲げるもののほか将来の費用又は損失収益の控除を含む。以下この号において同じ。)の発生に備えて、その合理的な見積額のうち当該事業年度の負担に属する額を費用又は損失として繰り入れることにより計上すべき引当金(株主に対して役務を提供する場合において計上すべき引当金を含む。)
 退職給付引当金(使用人が退職した後に当該使用人に退職一時金、退職年金その他これらに類する産の支給をする場合における事業年度の末日において繰り入れるべき引当金をいう。)
 返品調整引当金(常時、販売する棚卸資産につき、当該販売の際の価額による買戻しに係る特約を結んでいる場合における事業年度の末日において繰り入れるべき引当金をいう。)
 払込みを受けた額が債務額と異なる社債
 前二号に掲げる負債のほか、事業年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことが適当な負債

引当金の決算等における位置づけ等

引当金の財務諸表における区分表示表示科目

表示方法
評価性引当金の場合

評価性引当金については、流動資産の部にマイナス(△)表示する。

すなわち、流動資産にかかる評価性引当金流動資産から、投資その他の資産にかかる評価性引当金投資その他の資産から、控除するかたちで、資産の部に計上する。

負債性引当金の場合

負債性引当金については、流動負債の部にプラス表示する。

すなわち、ワン・イヤー・ルールにより、流動負債または固定負債として、負債の部に計上する。

財務諸表の注記

引当金は、どのような会計処理をするかによりその計上額が大きく変わる。

そのため利益操作の手段として用いられやすい。

そこで、会社計算規則財務諸表等規則では、引当金の計上方法を重要な会計方針に係る事項として注記しなければならないとしている。

会社計算規則
(重要な会計方針に係る事項に関する注記)
第百一条  重要な会計方針に係る事項に関する注記は、計算書類の作成のために採用している会計処理の原則及び手続並びに表示方法その他計算書類作成のための基本となる事項(次項において「会計方針」という。)であって、次に掲げる事項(重要性の乏しいものを除く。)とする。

 引当金の計上基準

財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
(重要な会計方針の記載)
第八条の二  財務諸表作成のために採用している会計処理の原則及び手続並びに表示方法その他財務諸表作成のための基本となる事項(次条において「会計方針」という。)で次の各号に掲げる事項は、キャッシュ・フロー計算書の次に記載しなければならない。ただし、重要性の乏しいものについては、記載を省略することができる。

 引当金の計上基準

引当金の会計簿記経理上の取り扱い

引当金の設定

会計上では、引当金は見積計上する必要があるものとされている。

これに対して、制上は、損金不算入とされているものや損金算入が認められていても繰入限度額が設けられているものがある。

引当金の税務

しかし、決算書会社の実態を表すものなので、将来の支出が確定しているのであれば、制上、損金不算入等とされていても、引当金を計上すべきである。

また、制上、損金不算入とされている引当金を計上しても、申告時に利益損金不算入の引当金を加算調整することで、適正に申告することができる。

引当金の務・法・制上の取り扱い

次のページを参照

引当金の税務



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