決算書―区分表示と表示科目―表示科目
表示科目とは
表示科目の定義・意味など
表示科目(ひょうじかもく)とは、財務諸表(損益計算書と貸借対照表)で使用される科目で、各表示区分において適当に分類されたものをいう。
企業会計原則
(営業利益)
…
…販売費及び一般管理費は、適当な科目に分類して営業損益計算の区分に記載し、…
…
(貸借対照表科目の分類)
四 資産、負債及び資本の各科目は、一定の基準に従って明瞭に分類しなければならない。
(一)資産
資産は、流動資産に属する資産、固定資産に属する資産及び繰延資産に属する資産に区別しなければならない。仮払金、未決算等の勘定を貸借対照表に記載するには、その性質を示す適当な科目で表示しなければならない。
表示科目と関係する概念
勘定科目
表示科目が財務諸表(損益計算書と貸借対照表)で使用される科目であるのに対して、勘定科目は仕訳・総勘定元帳・試算表で使用される科目である。
勘定科目は日常の会計処理において利用される会計帳簿の記録計算単位で、したがって、最終的に作成される財務諸表の表示科目と必ずしも一致するものではない。※
※別表 勘定科目の説明(改正案)|厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/igyou/igyoukeiei/houkoku/14beppyou.html
したがって、決算時に財務諸表を作成する場合には、勘定科目から表示科目へ変換する必要がある。
ただし、中小企業などでは勘定科目と表示科目の違いをあまり厳密に考える必要はなく、要はわかればいい、というレベルである。
表示科目の具体例
表示科目は勘定科目と一致する場合も多いが、一致しない場合の例としては、たとえば、次のようなものがある。
法人
損益計算書
- 売上高…勘定科目では「売上」
- 売上原価…期中は仕入勘定で記録し、決算整理で仕入勘定の残高(=当期商品仕入高)と期首商品棚卸高・期末商品棚卸高から売上原価を計算する
- 為替差損・為替差益
- 当期純利益または当期純損失…勘定科目には存在しない
貸借対照表
期中は現金・当座預金・普通預金勘定で処理をするが、貸借対照表の表示科目としては現金及び預金として表示する。
ただし、現金・当座預金・普通預金勘定などをそのまま貸借対照表の表示科目としてもよい。
長期の(決算日の翌日から起算して1年を越えて満期が到来する)預金については、期中は定期預金・定期積金勘定などで処理をする。
しかし、貸借対照表上、長期の預金は長期性預金として表示する場合があるので、この場合は、勘定科目名と表示科目名は一致しない。
ただし、定期預金・定期積金勘定などをそのまま貸借対照表の表示科目としてもよい。
また、逆に、長期性預金を長期の預金を一括して処理するための勘定科目(資産)として用いることも考えられる。
売買目的有価証券と1年内に満期の到来する有価証券は流動資産に属するものとして有価証券などとして表示する(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則第17条6号)。
期中、売買目的有価証券と1年内に満期の到来する有価証券以外の有価証券を処理するために投資有価証券勘定が用いられる場合がある。
しかし、会社計算規則では、貸借対照表上は、投資有価証券のうち、関係会社の株式(子会社株式・関連会社株式)については、関係会社株式という表示科目で別に表示するものとされている。
また、財務諸表等規則では、関係会社社債等は投資有価証券とは区別して表示し、親会社株式についても親会社株式という表示科目で別に表示するものとされている。
三分法では商品在庫(期末商品棚卸高・期首商品棚卸高)は繰越商品勘定で処理をするが、繰越商品勘定の残高は、決算時に売上原価の計算を通じて、貸借対照表の表示科目としては商品として表示する。
ただし、実務上は(具体的には税理士事務所などでは)、貸借対照表や損益計算書での表示科目と統一させるために、商品・期首商品棚卸高(期首棚卸高)・期末商品棚卸高(期末棚卸高)勘定を用いて処理することが多い。
参考例:岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、60項。駒井伸俊 『世界一使いやすい!勘定科目と仕訳の事典』 秀和システム、2007年、40項など。
期中は、前払地代家賃・前払保険料・前払利息などの個別の勘定科目を使用するが、貸借対照表上の表示科目としては、前払費用としてまとめて表示する。
これは外部へ報告するにはそのほうがわかりやすいからである。
期中は、未収地代家賃・未収利息・未収手数料などの個別の勘定科目を使用するが、貸借対照表上の表示科目としては、未収収益としてまとめて表示する。
これは外部へ報告するにはそのほうがわかりやすいからである。
期中は、未払地代家賃・未払保険料・未払利息などの個別の勘定科目を使用するが、貸借対照表上の表示科目としては、未払費用としてまとめて表示する。
これは外部へ報告するにはそのほうがわかりやすいからである。
期中は、前受地代家賃・前受利息・前受手数料などの個別の勘定科目を使用するが、貸借対照表上の表示科目としては、前受収益としてまとめて表示する。
これは外部へ報告するにはそのほうがわかりやすいからである。
当座借越の分は期中は当座借越勘定(二勘定制の場合)または当座勘定(一勘定制の場合)で処理するが、貸借対照表の表示科目としては短期借入金として表示する。
株主から払込みを受けた金額のうち、資本金としなかった金額は株式払込剰余金勘定で処理をするが、貸借対照表の表示科目としては資本準備金として表示する。
ただし、連結財務諸表では資本準備金は表示されないので、この場合は、資本剰余金として表示する。
個人
貸借対照表
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