科料
科料とは
科料の定義・意味・意義
科料とは、刑法が定める刑(刑罰・刑事罰)のうち主刑の1つで、犯罪の処罰として金銭を科すこと(財産刑)、または科せられた金銭自体をいいます。
主刑のうち、もっとも軽いものです。
刑法
第二章 刑
(刑の種類)
第九条 死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。
科料の金額
罰金は1000円以上1万円未満です。
(科料)
第十七条 科料は、千円以上一万円未満とする。
科料の具体例
- 暴行罪
- 侮辱罪
- 軽犯罪法違反の罪
科料の位置づけ・体系(法的性格・性質)
刑罰・財産刑
科料は刑罰のひとつですが、刑罰の種類としては、罰金とともに財産刑となります。
罰金が1万円以上であるのに対して、科料は1000円以上1万円未満であり、罰金よりも軽い財産刑です。
科料と関係・関連する概念
間違いやすい概念
科料と過料との違い
科料は刑法で規定されている刑罰です。
これに対して、過料はさまざまな法律で個別に規定されている行政罰です。
過料には刑罰としての性質はないので、刑法・刑事訴訟法の適用はありません。
科料と反則金(交通反則金)との違い
反則金は罰金・科料といった刑事罰ではなく、行政処分として課される過料で行政罰の1つです。
したがって、「前科」はつきません。
科料の会計・簿記・経理上の取り扱い
科料の会計経理処理方法・簿記の記帳の仕方・使用する勘定科目等
個人事業主(自営業・フリーランサー)の場合
事業主貸勘定等
個人事業主自身に課される科料は、所得税法上、必要経費算入が認められていない。
したがって、会計上は費用処理ができず、事業用資金から科料を支払った場合は、事業主貸勘定、または資本金、引出金勘定で処理をする。
これに対して、個人のお金(ないしは、個人専用の口座)から支払った場合は、仕訳は不要である(つまり、会計処理は不要ということ)。
なお、同様の租税等としては科料のほか、次のようなものがある。
租税公課―税務―必要経費算入・損金算入の可否―所得税法上の取り扱い
会社・法人の場合
租税公課または給与・役員賞与勘定
従業員または役員による「業務の遂行に関連してされた行為等に対して課された」科料を会社が支払った場合は、会計上は租税公課勘定で処理をする。
ただし、法人税法上、科料については損金に算入することができないため、法人税の確定申告時に別表4で申告調整(加算)することになる。
これに対して、「業務の遂行」中(仕事中)ではないにもかかわらず、会社が科料を支払った場合は、給与(従業員)・役員賞与(役員)勘定で処理をする。
したがって、源泉徴収の対象になる。
取引と仕訳の具体例・事例
会社・法人の場合
科料を現金で支払った。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
租税公課 | ✕✕✕✕ | 現金 | ✕✕✕✕ |
科料の税務・税法・税制上の取り扱い
必要経費算入(所得税法上)・損金算入(法人税法上)等の可否
必要経費算入の可否―所得税法上
科料は、必要経費には算入できない。
法人税法上の取り扱い―会社・法人の場合
法人税基本通達
(役員等に対する罰科金等)
9-5-8 法人がその役員又は使用人に対して課された罰金若しくは科料、過料又は交通反則金を負担した場合において、その罰金等が法人の業務の遂行に関連してされた行為等に対して課されたものであるときは法人の損金の額に算入しないものとし、その他のものであるときはその役員又は使用人に対する給与とする。
消費税の課税・非課税・不課税(対象外)・免税の区分
不課税取引(課税対象外)
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