納税―源泉徴収
源泉徴収とは
源泉徴収の定義・意味など
源泉徴収(げんせんちょうしゅう)とは、給与、報酬・料金、利子・配当等の支払者(雇用主や金融機関などの源泉徴収義務者)が、役員、従業員に給与を支払ったり、税理士、弁護士等に報酬を支払ったりする際などに、その支払額などに応じて定められている源泉所得税額を計算したうえ(→たとえば、給与所得の源泉徴収税額の計算)、当該税額を控除して(天引きして)預り、 代わりに税務署に納付する制度をいう。
源泉徴収の目的・役割・意義・機能・作用など
所得税徴収の確保
源泉徴収は、支払者が強制的に一定額をプールして国に納める制度で、所得税の徴収を確保することがその目的である。
つまり、予定納税と同様、納税の便宜と歳入の確保を考慮して設けられている制度である。
源泉徴収の法的根拠・法律など
所得税法
源泉徴収の範囲・具体例
源泉徴収の範囲
源泉徴収は、給与所得、退職所得、公的年金等、利子所得、配当所得、原稿料・弁護士報酬などの報酬・料金・契約金(生命保険契約等)について採用されている(→源泉徴収の対象となる所得)。
源泉徴収の具体例
たとえば、従業員や役員に対して、給与を支給するときは、会社は、源泉所得税、特別徴収住民税、社会保険料などを天引きすることになる。
源泉徴収と関係する概念
間違いやすい概念
源泉分離課税
源泉分離課税制度とは、源泉徴収制度を利用して、課税を完結する(つまり、確定申告を行わない)制度をいい、源泉徴収制度とは別制度である。
源泉徴収のメリットとデメリット
源泉徴収のメリット
源泉徴収のメリットとしては、たとえば次のようなものがある。
源泉徴収のデメリット
源泉徴収のデメリットとしては、たとえば次のようなものがある。
源泉徴収の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
源泉徴収するのは給与だけではない。
むしろ、会計・経理の実務では給与以外の源泉徴収の処理も多いことに注意。
たとえば、講演会・研修会を開催した場合の講師への講演料や弁護士報酬・税理士顧問料などの報酬・料金等(→源泉徴収が必要な報酬・料金等の範囲)、 株主配当などにも源泉徴収の処理が必要である。
給与を支払ったとき
(預り金)
源泉徴収をしたときに預り金勘定の貸方に記帳して負債計上する。
そして、納付したときに預り金勘定の借方に記帳して減少させる。
預金利息が振り込まれたとき
銀行などの預金利息(普通預金・定期預金などの利子・利息)が振り込まれたときは、国税と地方税が源泉徴収されるので、その分を租税公課または仮払法人税等(仮払税金)勘定などの借方に記帳して費用計上する。
源泉徴収に関する事務
取引の具体例と仕訳の仕方
給与所得関係
従業員に支払う給与から源泉徴収等したとき
給与を源泉所得税・住民税・社会保険料を控除して銀行振込で支払った。
給料手当 | ✕✕✕✕ | 預り金(源泉所得税) | ✕✕✕✕ |
預り金(住民税) | ✕✕✕✕ | ||
預り金(社会保険料) | ✕✕✕✕ | ||
普通預金 | ✕✕✕✕ |
預かっている源泉徴収所得税などを税務署等に納付した場合
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
預り金(源泉所得税) | ✕✕✕✕ | 現金 | ✕✕✕✕ |
預り金(住民税) | ✕✕✕✕ | ||
預り金(社会保険料) | ✕✕✕✕ | ||
法定福利費 | ✕✕✕✕ |
利子所得関係
法人の場合
普通預金の利子が振り込まれると同時に、国税と地方税が源泉徴収された。
普通預金 | ×××× | 受取利息 | ×××× |
租税公課 国税(源泉税) |
×××× | 普通預金 | ×××× |
租税公課 地方税(利子割) |
×××× | 普通預金 | ×××× |
現在のページが属するカテゴリ内のページ一覧[全 45 ページ]
- 税額―課税標準
- 税額―課税標準―合計所得金額
- 税額―課税標準―総所得金額
- 税額―課税標準―総所得金額等
- 納税―予定納税
- 納税―源泉徴収
- 納税―源泉徴収―源泉所得税(源泉税)
- 納税―源泉徴収―対象者―源泉徴収義務者
- 納税―源泉徴収―対象所得―源泉徴収の対象となる所得
- 納税―源泉徴収―対象所得―源泉徴収の対象となる所得―報酬・料金等
- 納税―源泉徴収―対象所得―源泉徴収の対象となる所得―報酬・料金等―一定の専門家に支払う報酬・料金等(特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金等)
- 納税―源泉徴収―対象所得―源泉徴収の対象となる所得―確定申告など他制度との関係
- 納税―源泉徴収―時期
- 納税―源泉徴収―時期―納付―例外①―納期の特例
- 納税―源泉徴収―時期―納付―例外②―納期限の特例
- 納税―源泉徴収―事務―給与所得―手続き
- 納税―源泉徴収―事務―給与所得―手続き―毎月
- 納税―源泉徴収―事務―給与所得―手続き―毎月―②源泉徴収税額
- 納税―源泉徴収―事務―給与所得―手続き―毎月―②源泉徴収税額―計算
- 納税―源泉徴収―事務―給与所得―手続き―毎月―②源泉徴収税額―計算―給与所得の源泉徴収税額表(源泉徴収税額表・税額表)
- 納税―源泉徴収―事務―給与所得―手続き―毎月―③源泉徴収簿(所得税源泉徴収簿 給与所得・退職所得に対する所得税源泉徴収簿)
- 納税―源泉徴収―事務―給与所得―手続き―毎月―③源泉徴収簿(所得税源泉徴収簿 給与所得・退職所得に対する所得税源泉徴収簿)―記載事項
- 納税―源泉徴収―事務―給与所得―手続き―毎月―③源泉徴収簿(所得税源泉徴収簿 給与所得・退職所得に対する所得税源泉徴収簿)―書き方
- 納税―源泉徴収―事務―給与所得―手続き―毎月―④納付
- 納税―源泉徴収―事務―給与所得―手続き―毎月―④納付―所得税徴収高計算書
- 納税―源泉徴収―事務―給与所得―手続き―毎月―④納付―所得税徴収高計算書―給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書
- 納税―源泉徴収―事務―給与所得―手続き―毎月―④納付―所得税徴収高計算書―給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書―①作成・提出
- 納税―源泉徴収―事務―給与所得―手続き―毎月―④納付―所得税徴収高計算書―給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書―①作成・提出―書き方
- 納税―源泉徴収―事務―給与所得―手続き―毎月―④納付―所得税徴収高計算書―給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書―①作成・提出―e-Taxソフト(電子申請・オンライン申請)による作成・提出方法
- 納税―源泉徴収―事務―給与所得―手続き―毎月―④納付―所得税徴収高計算書―給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書―②納税―電子納税
- 納税―源泉徴収―事務―給与所得―手続き―毎月―源泉徴収税額がない場合
- 納税―年末調整
- 納税―年末調整―内容
- 納税―年末調整―対象者(年末調整を受ける人)
- 納税―年末調整―時期
- 納税―年末調整―要否
- 事務―法定調書―源泉徴収票
- 事務―法定調書―源泉徴収票―給与所得の源泉徴収票
- 事務―法定調書―源泉徴収票―給与所得の源泉徴収票―見方・書き方
- 事務―法定調書―源泉徴収票―給与所得の源泉徴収票―見方・書き方―支払金額
- 事務―法定調書―源泉徴収票―給与所得の源泉徴収票―見方・書き方―給与所得控除後の金額
- 事務―法定調書―源泉徴収票―給与所得の源泉徴収票―見方・書き方―所得控除の額の合計額
- 事務―法定調書―源泉徴収票―給与所得の源泉徴収票―作成と交付・提出の手続き
- 事務―法定調書―支払調書
- 事務―法定調書―支払調書―報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
現在のページが属するカテゴリのサイトにおける位置づけ