[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


株式―自己株式―取得(自己株式の取得)―自己株式の無償取得


自己株式の無償取得とは

自己株式の無償取得の定義・意味など

自己株式の無償取得(じこかぶしきのむしょうしゅとく)とは、当該株式会社株式を無償で取得することをいう。

自己株式の無償取得の法的根拠・法律など

会社法・会社法施行規則

自己株式の無償取得は会社法155条13号およびこれを受けた会社法施行規則27条1号の規定に基づく。

会社
第百五十五条  株式会社は、次に掲げる場合に限り、当該株式会社株式を取得することができる。

十三  前各号に掲げる場合のほか、法務省令で定める場合

会社法施行規則
(自己の株式を取得することができる場合)
第二十七条  法第百五十五条第十三号 に規定する法務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
 当該株式会社株式を無償で取得する場合

自己株式の無償取得の目的・役割・意義・機能・作用など

自己株式の無償消却

自己株式の無償取得と自己株式の消却会社法178条)をあわせて行うことで、自己株式の無償消却を行うことになる。

つまり、無償で(したがって、手続きも簡易で、かつ費用もかけずに)株式数を減少させることができる。

自己株式の無償取得に関する会計基準制度会計

会計基準
企業会計基準適用指針第2号 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針

自己株式の無償取得の会計処理については、「企業会計基準適用指針第2号 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針」で規定されている。

自己株式の無償取得の規制

自己株式の無償取得は取得手続きが緩和され、また、源規制もかけられない。

自己株式の無償取得の手続き
取締役会の決議

自己株式の無償取得の場合は、株主総会の決議によることなく取締役会の決議で足りる(会社法156条2項)。

その際、明文の規定はないが、会社財産の流出がなく、既存株主利益も害することがないことから、自己株式を無償取得する旨、その種類および数ならびに譲渡人である株主についてのみ決定すれば足りるものと解されている。

参考:『2010 司法書士過去問マスター 7 商業登記(記述式編)』 東京法経学院、2010年、211-212項。

源規制

自己株式の無償取得は会社債権者を害することがないことから、分配可能額による源規制はかけられない。

自己株式の無償取得の会計簿記経理上の取り扱い

会計簿記経理上の取り扱い

自己株式を無償で取得した場合は、利益を認識せず、株式数のみの増加として処理をする。

けだし、自己株式を無償で取得しても、取得した会社にとっては資産が増加せず、贈与した株主が有していた持分が他の株主に移転するのみ、すなわち株主間の富の移転が生じているのみと考えられ、一般に、株主間の富の移転のみによって当該会社株主持分額の変動は認識されないからである。

したがって、自己株式を無償で取得した場合は、仕訳は不要である。

自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針
自己株式の無償取得の会計処理
14. 自己株式を無償で取得した場合、自己株式の数のみの増加として処理する。

ただし、無償で取得した自己株式の数に重要性がある場合は、その旨と株式数を連結財務諸表と個別財務諸表に注記する。

自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針
自己株式の無償取得の会計処理
15. 無償で取得した自己株式の数に重要性がある場合は、 その旨及び株式数を連結財務諸表 及び個別財務諸表に注記する。



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