株式―自己株式―消却(自己株式の消却)
自己株式の消却とは
自己株式の消却の定義・意味など
自己株式の消却(じこかぶしきのしょうきゃく)とは、株式会社が発行後に取得して(買い戻して)保有する自己の株式、すなわち、自己株式を消滅させることをいう。
参考:『デバイス・ネオ 3 民法2 債権・親族・相続』
自己株式の消却の歴史・沿革・由来・起源・経緯など
株式の消却
特定の株式を消滅させることを株式の消却というが、会社法では、株式の消却としては自己株式の消却のみを認めることにした。
つまり、会社法のもとでは、株式の消却=自己株式の消却であり、会社以外の株主が保有する株式は消却できず、株式を消却するにはいったん会社が自己株式として取得し、保有した自己株式を消却するという方法しか認められていない。
会社法
第六款 株式の消却
第百七十八条 株式会社は、自己株式を消却することができる。
自己株式の消却の効果・効力
株式数の減少・その他資本剰余金の減少
自己株式の消却により、株式数が減少する。
したがって、その他資本剰余金が減少する(その他資本剰余金から減額しきれない場合はさらにその他利益剰余金が減少する)(詳細は後述)。
自己株式の消却の分類・種類
自己株式の消却は次の2つに大別できる。
- 自己株式の有償消却
- 自己株式の無償消却
1.自己株式の有償消却
自己株式の有償取得と自己株式の消却(会社法178条)をあわせて行うことで自己株式の有償消却になる。
2.自己株式の無償消却
自己株式の無償取得と自己株式の消却をあわせて行うことで自己株式の無償消却になる。
つまり、無償で(したがって、手続きも簡易で、かつ費用もかけずに)株式数を減少させることができることになる。
自己株式の消却に関する会計基準と制度会計
自己株式の消却に関する会計処理等を定めた会計基準や制度会計としては、次のようなものがある。
会計基準
制度会計
会社法会計
自己株式の消却の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
自己株式・その他資本剰余金
期中、自己株式を消却した場合は、消却手続が完了したときに、消却の対象となった自己株式の帳簿価額をその他資本剰余金から減額する。
具体的には消却の対象となった自己株式の帳簿価額を自己株式勘定の貸方に記帳するとともにその他資本剰余金勘定の借方に記帳する。
企業会計基準第1号 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準
自己株式の消却
11. 自己株式を消却した場合には、消却手続が完了したときに、消却の対象となった自己株式の帳簿価額をその他資本剰余金から減額する。
会社計算規則
第二十四条 …
2 株式会社が自己株式の処分又は消却をする場合には、その帳簿価額を、減少すべき自己株式の額とする。
また、その他資本剰余金から減額しきれない場合は、さらにその他利益剰余金(繰越利益剰余金)から減額する。
企業会計基準第1号 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準
12. 第10項及び第11項の会計処理の結果、その他資本剰余金の残高が負の値となった場合には、会計期間末において、その他資本剰余金を零とし、当該負の値をその他利益剰余金(繰越利益剰余金)から減額する。
なお、自己株式の消却に要した手数料などの付随費用は、支出時に支払手数料などの費用勘定の借方に記帳して費用処理をし、損益計算書では営業外費用として計上する。
企業会計基準第1号 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準
自己株式の取得、処分及び消却に関する付随費用
14. 自己株式の取得、処分及び消却に関する付随費用は、損益計算書の営業外費用に計上する。
取引の具体例と仕訳の仕方
保有している自己株式100万円を取締役会決議により消却した。
その他資本剰余金 | 1,000,000 | 自己株式 | 1,000,000 |
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