[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


国富


国富とは 【national wealth

国富の定義・意味・意義

国富とは、1国の国民がある時点で有する正味資産資産負債)(時価)をいう。

なお、ここにいう「資産」は国民経済計算でいえば国民資産残高、「負債」は国民負債残高に相当する。

 

国富の統計

国民経済計算ストック

国富は、国民経済計算ストック編の統合勘定期末貸借対照表」で、「非金融資産」と「金融資産」の合計からなる資産(=「国民資産残高」)から「負債」(=「国民負債残高」)を差し引いた「正味資産」として集計されている。

なお、資産負債の内訳は次のとおり。

その内訳の詳細については、国民経済計算ストック編の付表の国民資産・負債残高で集計されている。

資産

資産は、次に掲げる項目からなる。

  1. 金融資産
    1. 生産資産
      1. 在庫
      2. 有形固定資産
      3. 無形固定資産
    2. 有形非生産資産
  2. 金融資産株式を含む)

 

負債

負債株式を含む。

なお、本来、株式会計負債ではなく純資産資本)である。

しかし、国連が定めた基準(SNA)にしたがい、国民経済計算貸借対照表上は負債側(貸方)にあるものとして「負債」として取り扱われている。

 

国富の構成内容・内訳

国富は、実物資産(非金融資産)と対外純資産からなる。

  1. 金融資産
    1. 生産資産
      1. 在庫
      2. 有形固定資産
      3. 無形固定資産
    2. 有形非生産資産
  2. 金融資産
    1. 対外純資産

 

金融資産

貸借対照表では、金融資産については、国内居住者金融資産借方)は同時に他の国内居住者負債貸方)となる。

したがって、国全体としてみればすべて相殺されて国富には計上されない(つまり、国内居住者金融資産は国富には含まれないことになる)。

 

よって、正味の金融資産は、結局、対外的な金融資産対外純資産だけとなる(対外純資産しか残らなくなる)。

 

国富の性格・性質

ストックの概念

国富は、国民経済の過去からの蓄え=ストックの概念である。

会計でいえば、1会計期間における財政状態(資産)をあらわす貸借対照表に相当する。

 

国富と関係・関連する概念

対概念・対義語
国民所得

国民経済計算で、会計上の経営成績(損益)をあらわす損益計算書に相当するフローの概念が国民所得である。

 

国富の趣旨・目的・機能・役割

国民所得を生み出す元

国民は国富を元にして国民所得を生み出す。

国民所得は、経済活動を貨幣の流れ(フロー:flow)としてとらえたものである。個人でいえば、月給や年収などの”かせぎ”にあたる。しかし、生活していく上には、住宅や家具などの資産ストック:stock)もなくてはならない。たとえば、かりに同じ収入の人でも、持ち家があれば家賃はいらない。他方、賃貸住宅などを借りていれば、高い家賃のため生活は楽ではない。
だから、生活の豊かさをみるためには、フローだけではなく、過去からの”たくわえ”であるストックモノサシも必要なことがわかろう。
このストックを、国全体で合計したものが国民の資産である。それを、国富(国民資本)といい、国民所得を生みだす元本(もとで)であり、新たに生みだされた国民所得の一部が消費されずにたくわえられて増加していく。

『理解しやすい政治・経済』(文英堂)より引用

 



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