国民総生産―分配―国民総所得(GNI)
国民総所得とは 【Gross National Income】
国民総所得の定義・意味・意義
国民総所得とは、国民総生産(GNP)※を分配(所得)面からとらえたものをいう。
※国民総生産とは、1国の「国民」が1年間で新たに「生産」した財・サービスの「粗」付加価値の合計をいう。
経済循環の過程では、1国の国民が1年間で生産した財やサービスの粗付加価値の合計(→生産面。国民総生産)は、すべて賃金・利潤・利子・配当・地代などの所得のかたちで分配され(→分配面)、そして消費または投資というかたちで支出されていく(→支出面)ということが繰り返し行われる。
この経済循環において分配面からとらえて定義したものが国民総所得である。
Gross National Income の頭文字をとって、GNIとも呼ばれる。
国民総所得の算定・算出・計算方法
国民総所得は、国内総生産(GDP)に海外からの純要素所得(海外からの要素所得-海外への要素所得)を加えたものとなる。
国民総所得(GNI) = 国内総生産(GDP) + 海外からの純要素所得(海外からの要素所得-海外への要素所得)
国民総所得に関する原則・原理
三面等価の原則
上述のように、国民総生産は生産・分配(所得)・支出の側面からとらえることができる。
ただし、これらは同じ付加価値=マネーの流れを異なる3つの局面からとらえたものにすぎないので、理論的には等価とされる。
これを三面等価の原則という。
国民総所得の経緯・沿革・歴史など
国民総生産(GNP)
2000年(平成12年)に、国民総生産(GNP)の概念はなくなり、これに相当するものとして国民総所得(GNI)が新たに導入された。
国民総所得の理論的根拠・理由
国民総生産(GNP)に代わって国民総所得(GNI)が新たに導入されるにいたった理由につき、統計局のホームページに、もともと国民総生産という概念自体が生産面からではなく所得面からとらえるべき性格のものであった、との説明がある。
国民総生産は生産測度という性格のものではなく,所得測度としてとらえるべき性格のものであった。一方,93SNAでは,68SNAにおける国民総生産が所得測度である点を明確にするために,国民総所得(GNI)と定義し直し,国民総所得は各経済主体が(海外からも含めた)受け取った所得の総計としている。
引用元:「統計局ホームページ/日本統計年鑑-第3章 国民経済計算」 http://www.stat.go.jp/data/nenkan/03j.htm
「国民総生産は所得面からとらえるべき」とするのは、これが「国内」ではなく「国民」を対象にしているからと考えられるが、この点、「内閣府 経済社会総合研究所 国民経済計算部」に電話で問い合わせたところ、統計局ホームページの当該説明は適切ではないと思う、との回答だった。
国民総所得の統計
国民総所得と関係・関連する概念
国民純所得(NNI)・国民所得(NI)
国民総所得(GNI)から固定資本減耗分(減価償却費等)を差し引いたものが国民純所得(GNI)であり、さらに純間接税(生産・輸入品に課される税(旧 間接税)-補助金)を差し引いたものが国民所得(NI)である。
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