仕入れ―会計処理―期中―購入・取得と払出―②棚卸資産の評価方法―原価法―後入先出法(後入れ先出し法)
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後入先出法とは 【last-in first-out method】
後入先出法の定義・意味など
後入先出法(あといれさきだしほう)とは、棚卸資産の評価方法のうち原価法のひとつで、棚卸資産を種類の異なるごとに区別したうえ、後から仕入れた(受け入れた)棚卸資産から順に販売していく(売れていく)と仮定し、取得日が後のものから順次払い出したものとして、期中の棚卸資産の払出単価と期末棚卸資産の評価額を決定する方法をいう。
後入先出法の性格・性質
後入先出法をはじめとする棚卸資産の評価方法は、総平均法・単純平均法・売価還元法を除き、期中にあっては棚卸資産(商品等)の払出単価の決定方法として、期末にあっては期末棚卸資産の評価額の決定方法として、2つの性格を有していることに注意。
後入先出法の位置づけ・体系(上位概念等)
原価法
その売上原価等の算定のためには、費用収益対応の原則から、いつ(日付)、いくらで(単価)、どれだけ(数量)仕入れた棚卸資産(商品等)が、いつ、いくらで、どれだけ売れたのか(期中)、そして、その結果、いつ、いくらで仕入れた棚卸資産がどれだけ売れ残ったのか(期末)を確定しておく必要がある。
しかし、通常の大量生産品にあっては、同じ棚卸資産であっても仕入ごとに購入単価が異なることがあるため、費用と収益の関係が明確ではなく、この作業は簡単にはいかない。
そこで、期中・期末の棚卸資産の評価方法としては、取得原価主義に基づく原価法が採用されている。
法人税法上、原価法として、次の方法が認められている(法人税法施行令28条1項1号)。
※単純平均法と後入先出法は、2010年4月1日以後開始する事業年度から廃止され、使用できなくなった。
なお、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」では、棚卸資産の評価方法として、次の4つを規定している。
また、「中小企業の会計に関する指針」では、棚卸資産の評価方法につき、次のように規定している。
棚卸資産の評価方法は、個別法、先入先出法、後入先出法、総平均法、移動平均法、売価還元法等、一般に認められる方法によるものとしている。
なお、期間損益の計算上著しい弊害がない場合には、最終仕入原価法を用いることもできる。
後入先出法の特色・特徴
個別法以外の他のすべての原価法は、商品を個々に(単品)ではなく集合的にとらえて、そして、事実どおりにではなく一定の仮説(後入先出法にあっては「後から仕入れた商品から順番に売れていく」など)をたてることで棚卸資産の動きを仮定して計算する方法である。
後入先出法のメリットとデメリット
後入先出法のメリット
後入先出法は、先入先出法とは反対に、物価変動の影響を受けにくいため、損益計算の点では優れているという長所がある。
けだし、物価が高くなる現在に近い時期に仕入れた分から売れたものと仮定するからである。
そのため、後入先出法は、インフレ時には、利益が少なく計上される(インフレによる利益を排除できる)ことになり、節税には有利とされる。
後入先出法のデメリット
したがって、期末の棚卸資産はいつまでも古い価額のまま据え置かれることになり(もっとも古い在庫が期末の資産評価額となる)、資産評価の点では妥当性を欠くといえる。
後入先出法の歴史・沿革・由来・起源・経緯など
後入先出法は1950年(昭和25年)から2009年(平成21年)まで採用されていた。
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