仕入れ―会計処理―期中―購入・取得と払出
購入・取得
費用の認識基準(期間帰属・費用の計上時期)等
1.仕入に係る費用の認識基準(仕入計上基準・仕入計上時期)
会計・簿記・経理上の取り扱い
仕入に関しては、売上と同様、まず、これをいつの時点で計上するかという期間帰属の問題がある。
この計上基準には、通常次のようなものがある。
継続的に採用するのであれば、どちらの基準を採用してもよい。
本来は、商品の入荷こそが、商品の引渡しがあったものといえる。
ただし、商法では、商取引における売主保護の見地から、買主に検査責任を負わせている。
商法
(買主による目的物の検査及び通知)
第五百二十六条 商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。
そこで、仕入債務は、検品の完了をもって、確定することとなると考えることもできる。
なお、現金仕入れの場合には、代金を現金で支払ったときに計上することも認められている。
税務・税法・税制上の取り扱い
次のページを参照。
2.仕入計上金額―仕入控除項目の取扱い
仕入を計上する場合、仕入計上時期の問題に次いで問題となるのが、返品(仕入戻し)や値引(仕入値引)、仕入割戻し、仕入割引などの仕入高控除項目があったときに、仕入の計上金額をいくらにするかという問題である。
これには、次の2つの方式がある。
どちらの方法を採用するかは会社の実情に合わせて処理をすればよく、任意である。
ただし、仕入から控除して、純額によって仕入を計上する純額主義による表示が主流である。
しかし、仕入から控除せず、それぞれ独立の勘定科目を設けて、別建てで総額によって計上する総額主義のほうが、管理会計上は有用な情報となる。
取得原価主義の適用
取得原価(取得価額)の決定方法
そこで、その計上金額をいくらにするかということが問題となる。
この点、購入費用だけではなく、商品を仕入れる際に発生するすべての付随費用(たとえば運賃・運送料など。総称して仕入諸掛ともいう)も、商品の購入代価に加えて記帳することとされている。
付随費用(仕入諸掛)
付随費用には、たとえば、次のようなものがある。
会計経理処理方法・簿記の記帳の仕方・使用する勘定科目等
三分法による場合
商品を仕入れた場合は、「商品」という勘定科目は使用せずに(「商品」という棚卸資産が増えたとは考えない)、付随費用も含めて、「仕入」勘定の借方に記帳して費用処理をする(「仕入」という費用が発生したと考える)。
そして、現金購入であれば現金勘定、掛買いであれば買掛金勘定の貸方に記帳する。
ただし、付随費用については、仕入諸掛、輸入諸掛という勘定科目を設定して処理をすることもある。
仕入れ先が負担すべき費用を立替払いした場合
仕入(仕入高)勘定の取引と仕訳の具体例・事例
三分法による場合
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
仕入 |
××××
|
現金 |
××××
|
払出
棚卸資産の評価方法
仕入れた商品は棚卸資産でもあるので、仕入は資産としての性格も有している。
期中(・期末)の棚卸資産の評価方法としては、取得原価主義に基づく原価法が採用されている。
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