元入金
元入金とは
元入金の定義・意味など
元入金(もといれきん)とは、個人事業主の事業の元手を処理するための資本勘定をいう。
法人・個人の別
個人
他の勘定科目との関係
資本金
元入金は法人の資本金に該当する。
ただし、個人事業主においても資本金勘定を用いて処理する場合もある。
参考:『日商簿記3級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、137~項。
元入金の目的・役割・意義・機能・作用など
開業初年度の元入金は個人事業主が開業のために用意した事業資金(開業時における出資金)になる。
そして、以降、元入金は追加の元入れ(追加出資)があれば増加するとともに、法人の資本金の場合とは異なり、資本の引き出しがあれば減少するので、元入金は毎期変動する。
法人の場合、資本金は登記事項であり、原則として出資の払戻しは禁止されている。
つまり、個人事業主の場合、売上から経費を除いた利益のすべてが個人の報酬=事業所得となる。
法人の場合、売上も利益も法人のものであって、社長の報酬は給料=給与所得というかたちで受取る。
この事業所得のうち、生活費等のための資本の引き出しである事業主貸を減らせば減らすほど(生活費等を減らせば減らすほど)元入金は増えるという仕組みになっている。
この間の事情をさらに詳細に述べると、以下のとおりである。
すなわち、個人事業主が青色申告のため会計ソフトを使用している場合、期が変わると貸借対照表の総資産額が変わる場合がある。
これは事業主借残高(負債。個人としての私から事業資金を調達した)と事業主貸残高(資産。事業資金を生活費等に使った)とが一致しないためで、この差額の分だけ総資産額が変わることになる。
そして、この差額が元入金に相当する。
つまり、決算日に事業主と個人としての私との間のお金の貸し借り(事業主借と事業主貸)が相殺されて、その差額が元入金に繰り入れられる。
よって、事業主貸が増えると元入金は減るということになる。
正確には次の計算式が成り立つ。
次期の元入金 = 今期の元入金 + 青色申告特別控除前の利益 + 事業主借 - 事業主貸
なお、元入金が増え続けるということは事業が成長しているということを意味する。
元入金の決算等における位置づけ等
元入金の財務諸表における区分表示と表示科目
元入金の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
期中の資本の増減については、通常は事業主借(負債)と事業主貸(資産)という事業主勘定で処理をし、決算が終わったら事業主勘定を相殺して元入金へ振替処理をして1年分を精算する。
岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、128項。
事業開始時
個人事業主が事業を始めるために事業資金などの元手を用意したときは、元入金勘定の借方に記帳して資本計上する。
期中
期中、資本の元入れ(資本の増加)をしたときは、事業主借勘定の貸方に記帳する。
直接、元入金(資本金)勘定の貸方に記帳して資本を増加させてもよい。
または資本の引き出し(資本の減少)をしたときは、事業主貸勘定(または資本金の評価勘定である引出金勘定)の借方に記帳する。
直接、元入金(資本金)勘定の借方に記帳して資本を減少させてもよいが、事業資金を頻繁に私的な目的に使用する場合は事業主勘定を用いるのが通常である。
期末(決算時)等
決算日には、事業主借と事業主貸を相殺して、元入金勘定に振替処理をする。
取引の具体例と仕訳の仕方
事業開始時
普通預金 | ✕✕✕✕ | 元入金 | ✕✕✕✕ |
期中
資本の元入れ
事業拡大のため、現金50万円と土地500万円を追加出資した。
現金 | 50万円 | 元入金(または事業主借) | 550万円 |
土地 | 500万円 |
資本の引き出し
事業主貸 | 1万 | 現金 | 1万 |
期末(決算時)等
決算にあたり、事業主借と事業主貸を相殺して元入金勘定に振り替えた。なお、事業主貸が事業主借を超過していた。
元入金 | ✕✕✕✕ | 事業主貸 | ✕✕✕✕ |
元入金の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
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