福利厚生費―範囲
福利厚生費の範囲
福利厚生費の一般的判断基準・判定基準・認定基準
福利厚生費とは、従業員と役員の福利厚生のために、給与、交際費以外に全員に平等に支出する費用をいうが、給与や交際費等との区分が必ずしも明確であるとはいえず、税法上の判断が必要となる。
特に、福利厚生費をはじめ、接待交際費、会議費等は微妙な勘定科目であり、税務署からも目をつけられやすい支出であるので、その認定基準が問題となる。
しかし、福利厚生費に限ったことではないが、必要経費算入(所得税法上)・損金算入(法人税法上)できるか否かの判断基準として、明確で客観的な基準があるわけではない。
この点、会社等の事業の規模、支出の内容等を総合的に考慮し(主観的事情を基礎にして)、社会通念※に照らして(客観的に)、個別認定する、というよりほかはない。
※「社会通念」は、税法にかぎらず、法律一般によく登場する概念である。社会的相当性などとも呼ばれる。ここでは、常識、説明可能性(平たく言えば、税務調査に訪れた調査官に合理的な説明をして納得してもらうことができるか、ということ)といったような意味である。
したがって、ある個人事業主・会社で福利厚生費として認められた支出が他の個人事業主・会社でも福利厚生費として認められるとは当然限らない。
極論すれば、同じ人・会社であっても、「説明」できなければ、福利厚生費として認められない場合がありうるし、また、税務署の職員によっても判断は異なる。
よって、税理士とよく相談したうえ、福利厚生費として計上するのが妥当かどうかを決定するのが無難という結論になる。
これは、確定申告書には税理士の署名押印欄があり、税理士の署名押印がある申告書のほうが信頼性が高く、経費として認められる可能性が高くなる、という意味合いも含んでいる。
ただし、税理士によっても、判断が異なる場合も当然あり、税理士がダメ、といった支出であっても、税務署で問題なく認められるという事態もありうる。
個人事業主(自営業・フリーランサー)の場合
従業員のための福利厚生費
個人事業主も、会社・法人と同様、従業員のために福利厚生費を使うことができる。
個人事業主本人と専従者のための福利厚生費
また、個人事業主本人と専従者のための福利厚生費も理論的には可能である。
ただし、現実問題としては、この場合、個人的支出や家事費(つまり、プライベートな支出)との区別が困難なので、税務調査が入ったときには一般的には経費否認される可能性が高いとはいえよう。
したがって、個人事業主本人と専従者のための福利厚生費は計上しないほうがいちおうは無難といえる。
しかし、これは100%不可能ということではない。
どこまで福利厚生費として認められるのかについては明確な基準がないからである。
そして、申告納税制度のもとでは、納税者が事業に必要な必要経費としての福利厚生費に該当するものと判断して計上し申告すれば、それは原則として認められる。
税務調査が入った場合に、事業に必要な経費であったことを調査官にきちんと説明できるのであれば、問題はない。
仮に否認されたとしても、それだけのことで脱税行為などではない。
その分の修正申告が必要になるというだけのことである。
ただし、この場合、延滞税は発生する。
会社・法人の場合
会社の場合、福利厚生費は少なくとも個人事業主の場合よりは経費として認められやすい。
さらに、あらかじめ就業規則で福利厚生費に関するルールを定めておいたり、あるいは、別途「慶弔見舞金規程」などの社内規程を整備しておくと、より経費性が高くなる(支出の経費性を客観的にアピールできる)といえる。
社内規程―就業規則―就業規則の使用・利用・活用方法 - 手続き・申請・届出・内容証明郵便など法律問題その他事務手順
なお、福利厚生費を利用しやすくなることは会社を設立するメリットの一つともされている。
会社設立(法人化・法人成り)のメリット - 手続き・申請・届出・内容証明郵便など法律問題その他事務手順
一人会社の場合
一人会社で、社長一人の会社であっても、社会通念上相当であれば、福利厚生費を計上することは可能である。
家族会社の場合
社長と同居の親族(役員あるいは従業員として)だけからなる、いわゆる家族会社の場合、役員だけだから、あるいは同居の親族だから、という理由で、福利厚生費が認められない、ということにはならない。
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