福利厚生費―具体例
福利厚生費の具体例
福利厚生費(狭義の福利厚生費。つまり法定外福利費)として一般的に認められているものには、具体的には次のようなものがある。
1.消耗品費用
制服(ユニフォーム)
制服は所得税法上、非課税所得とされている(つまり、給与としては課税されない)ので、福利厚生費で処理できる。
事務服・作業服
事務服・作業服等の支給は所得税法上(所得税基本通達)「制服」に準ずるものとして給与としては課税されないこととされているので、福利厚生費として処理できる。
ただし、背広(スーツ)などはこれに該当せず、給与等として課税される(したがって、源泉徴収をする必要がある)。
日用消耗品
ティッシュペーパー・トイレットペーパー・石鹸・洗剤・食器
ティッシュペーパー・トイレットペーパー・石鹸・洗剤・食器などは消耗品費などのほか福利厚生費勘定で処理してもよい。
お茶・コーヒー
従業員が飲むお茶やコーヒーを来客用にも使用している場合には、消耗品費、会議費または交際費(接待交際費)のほか、福利厚生費勘定で処理してもよい。
植物・花
会社に飾る植物や花も消耗品費のほか福利厚生費勘定で処理してもよい。
2.食事代
役員・従業員の食事代は、所定の要件を満たせば、経済的利益に該当せず、給与としては課税されない(非課税所得)。
なお、税務上、非課税所得とされている食事代には、次の2つがあるが、それぞれ非課税所得とされる要件が異なるので、詳細についてはリンク先を参照。
3.住宅費用
4.慶弔見舞金
従業員等(従業員等であった者を含む)とその親族等の慶弔・禍福に対して一定の基準にしたがって支出する次のような慶弔見舞金(慶弔費と見舞金)は給与として課税されない。
租税特別措置法関係通達(法人税編)
(福利厚生費と交際費等との区分)
61の4(1)-10 社内の行事に際して支出される金額等で次のようなものは交際費等に含まれないものとする。
(1) …
(2) 従業員等(従業員等であった者を含む。)又はその親族等の慶弔、禍福に際し一定の基準に従って支給される金品に要する費用
なお、賃金規定のなかで規定しておいたり、慶弔規定など独自の社内規程を作成しておくとよい(税務調査があった場合にも「説明」がしやすい)。
慶弔費
祝儀(祝い金)
従業員等とその親族等に支出する結婚祝・出産祝・誕生日祝などの祝儀は福利厚生費勘定で処理をするのが一般である。
また、下請け企業の従業員等に支出する祝儀は、課税実務上、交際費に該当しないものとされている。
したがって、この場合も、会社の従業員等に対して支出する場合に準じて、福利厚生費勘定で処理をする。
香典
従業員等とその親族等に支出する香典も福利厚生費勘定で処理する。
見舞金
5.医療・保健・衛生費用
6.親睦活動費用
社内の懇親会費
社内(従業員)の懇親会の費用は、一般的には従業員等への慰安として交際費勘定で処理する。
しかし、(特定の従業員ではなく)従業員等が全員参加するのであれば、福利厚生費勘定で処理できる。
また、会議(仕事の打ち合わせ)という名目があれば、(特定の従業員を対象とするものであっても)1次会の費用については会議費として経費で落とすことも可能である。
なお、福利厚生費や会議費で処理したほうがその全額を損金算入できるので有利である。
運動会・演芸会・社員旅行(慰安旅行)に要する費用
もっぱら従業員の慰安のために行われた運動会・演芸会・社員旅行に要した費用は福利厚生費勘定などで処理をする。
No.5261 交際費等と福利厚生費との区分|法人税|国税庁 https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5261.htm
社員旅行の詳細については、次のページを参照。
記念品
税務上、たとえば、永年勤続者の記念品等は社会通念上相当と認められ、かつ、おおむね10年以上の勤続年数の者を対象とし、2回以上表彰を受ける者については、おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであることなどの所定の条件を満たせば、給与手当勘定ではなく福利厚生費勘定で処理することが認められている。
また、創業記念品等も1万円以下のものであり、かつ、創業後相当な期間(おおむね5年以上の期間)ごとに支給するものであることなどの所定の条件を満たせば、福利厚生費勘定で処理する。
なお、所定の条件を満たさない記念品は福利厚生費とはならず、給与として源泉徴収の対象となる。
所得税基本通達
(課税しない経済的利益……永年勤続者の記念品等)
36-21 使用者が永年勤続した役員又は使用人の表彰に当たり、その記念として旅行、観劇等に招待し、又は記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない。)を支給することにより当該役員又は使用人が受ける利益で、次に掲げる要件のいずれにも該当するものについては、課税しなくて差し支えない。
(1) 当該利益の額が、当該役員又は使用人の勤続期間等に照らし、社会通念上相当と認められること。
(2) 当該表彰が、おおむね10年以上の勤続年数の者を対象とし、かつ、2回以上表彰を受ける者については、おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであること。
(課税しない経済的利益……創業記念品等)
36-22 使用者が役員又は使用人に対し創業記念、増資記念、工事完成記念又は合併記念等に際し、その記念として支給する記念品(現物に代えて支給する金銭は含まない。)で、次に掲げる要件のいずれにも該当するものについては、課税しなくて差し支えない。ただし、建築業者、造船業者等が請負工事又は造船の完成等に際し支給するものについては、この限りでない。
(1) その支給する記念品が社会通念上記念品としてふさわしいものであり、かつ、そのものの価額(処分見込価額により評価した価額)が1万円以下のものであること。
(2) 創業記念のように一定期間ごとに到来する記念に際し支給する記念品については、創業後相当な期間(おおむね5年以上の期間)ごとに支給するものであること。
創立記念日等の飲食費
創立記念日、国民の祝日、新社屋の落成式などに際し、従業員におおむね一律に、社内において供与される通常の飲食に要する費用は福利厚生費勘定で処理をする。
No.5261 交際費等と福利厚生費との区分|法人税|国税庁 https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5261.htm
租税特別措置法関係通達(法人税編)
(福利厚生費と交際費等との区分)
61の4(1)-10 社内の行事に際して支出される金額等で次のようなものは交際費等に含まれないものとする。
(1) 創立記念日、国民祝日、新社屋落成式等に際し従業員等におおむね一律に社内において供与される通常の飲食に要する費用
(2) …
カタログギフト
何かの記念に社員にカタログギフトを送った場合は、給与として扱うのが原則である。
この場合、現物給与として従業員に所得税がかかって源泉徴収される。
ただし、数種類の中から選択できる程度のものであれば、福利厚生費として計上できる。
7.厚生施設費用
- 社員食堂
- 社宅・寮(独身寮など)
- 保養所
- スポーツ・運動・体育などの厚生施設
- 娯楽室
レジャークラブ年会費(スポーツクラブ年会費など)
レジャークラブ年会費は、その使途に応じて福利厚生費となる場合がある。
法人税基本通達
(レジャークラブの入会金)
9-7-13の2 …
(注) 年会費その他の費用は、その使途に応じて交際費等又は福利厚生費若しくは給与となることに留意する。
8.生活援護費用
財形貯蓄制度・社内預金
持ち株援助
法定の育児・介護休業への上積み
退職金関係
中小企業退職金共済の掛金
次のページを参照。
退職一時金や企業年金などの退職給付
9.その他
資格取得・自己啓発の学資補助
社員への資格取得の学資補助は、会社業務に直接必要なものであれば、給与等として課税する必要はなく、福利厚生費勘定で処理する
駐車場費用
従業員用の雑誌購入費用
新聞や雑誌等の購入費用については、通常、新聞図書費勘定で処理をする。
しかし、従業員用に新聞・雑誌等を購入している場合には、福利厚生費勘定で処理することもできる。
クリーニング代
制服・ユニフォーム・事務服・作業服などのクリーニング代についても、福利厚生費で処理する場合がある。
現在のページが属するカテゴリ内のページ一覧[全 18 ページ]
- 発送費(発送運賃)
- 販売奨励金
- 販売促進費
- 販売手数料
- 販売手数料―範囲―販売手数料と交際費との区別
- 福利厚生費
- 福利厚生費―範囲
- 福利厚生費―具体例
- 福利厚生費―節税効果
- 福利厚生費―仕訳
- 不動産賃借料
- 不動産賃借料―会計処理
- 振替
- 報酬
- 法定福利費
- 保管料(保管費・倉敷料)
- 保険料(支払保険料)
- 保証修理費
現在のページが属するカテゴリのサイトにおける位置づけ
- ホーム
- 勘定科目一覧(一般)
- 資産―現金・預金
- 資産―売上債権
- 資産―有価証券
- 資産―棚卸資産
- 資産―他流動資産(五十音順)
- 資産―有形固定資産
- 資産―無形固定資産
- 資産―投資その他の資産―資本参加を目的とする投資
- 資産―投資その他の資産―長期利殖を目的とする投資
- 資産―投資その他の資産―その他の長期性資産(五十音順)
- 資産―繰延資産
- 負債―仕入債務
- 負債―他流動負債(五十音順)
- 負債―固定負債
- 負債―評価勘定
- 純資産―株主資本―資本金
- 純資産―株主資本―資本剰余金
- 純資産―株主資本―利益剰余金
- 純資産―株主資本―自己株式
- 純資産―評価・換算差額等
- 純資産―新株予約権
- 収益―営業収益―売上高
- 費用―売上原価
- 収益―営業収益―商品売買益
- 費用―販売管理費―あ行
- 費用―販売管理費―か行
- 費用―販売管理費―さ行(さ-じむ)
- 費用―販売管理費―さ行(しゃ-せき)
- 費用―販売管理費―さ行(接待交際費)
- 費用―販売管理費―さ行(せんーそ)
- 費用―販売管理費―た行
- 費用―販売管理費―な行
- 費用―販売管理費―は行
- 費用―販売管理費―ま行
- 費用―販売管理費―や行
- 費用―販売管理費―ら行
- 収益―営業外収益(五十音順)
- 費用―営業外費用(五十音順)
- 費用―営業外費用―繰延資産の償却費
- 収益―特別利益
- 費用―特別損失
- その他―事業主勘定
- その他―備忘勘定(対照勘定)
- 決算整理で用いる独自の勘定科目
- 差引損益計算で用いる独自の勘定科目
- 帳簿決算で用いる独自の勘定科目
- 勘定科目一覧(一般)