その他有価証券評価差額金
その他有価証券評価差額金とは
その他有価証券評価差額金の定義・意味・意義
その他有価証券(投資有価証券)は、時価会計を適用した場合、期末に時価評価をし、貸借対照表の固定資産の部の「投資その他の資産」に時価で計上する。
その他有価証券評価差額金とは、この時価評価に伴う含み損益(=評価差額)を損益計算には計上せずに(当期の損益にしないで)、税効果会計を適用したうえ、純資産の部に計上するための勘定科目をいう。
その他有価証券評価差額金の趣旨・目的・機能
その他有価証券については、時価評価に伴う含み損益(=評価差額)があった場合でも、これを直ちに売買・換金を行うことには制約がある。
したがって、評価差額を直ちに当期の損益として処理することは適切ではない。
そこで、その他有価証券の評価差額を当期の損益として処理することなく、税効果を調整のうえ、純資産の部に記載する考え方が採用されている。
この場合に使用する勘定科目が、その他有価証券評価差額金である。
その他有価証券評価差額金に関する会計基準
金融商品に関する会計基準
Ⅳ.金融資産及び金融負債の貸借対照表価額等
…
(4)その他有価証券
18. 売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券(以 下「その他有価証券」という。)は、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は洗い替え方式に基づき、次のいずれかの方法により処理する。
(1) 評価差額の合計額を純資産の部に計上する。
(2) 時価が取得原価を上回る銘柄に係る評価差額は純資産の部に計上し、時価が取得原価 を下回る銘柄に係る評価差額は当期の損失として処理する。
なお、純資産の部に計上されるその他有価証券の評価差額については、税効果会計を適用 しなければならない。
結論の背景
…
(4)その他有価証券
評価差額の取扱い
(評価差額の取扱いに関する基本的考え方)
77. その他有価証券の時価は投資者にとって有用な投資情報であるが、その他有価証券については、事業遂行上等の必要性から直ちに売買・換金を行うことには制約を伴う要素もあり、 評価差額を直ちに当期の損益として処理することは適切ではないと考えられる。
78. また、国際的な動向を見ても、その他有価証券に類するものの評価差額については、当期 の損益として処理することなく、資産と負債の差額である「純資産の部」に直接計上する方法や包括利益を通じて「純資産の部」に計上する方法が採用されている。
79. これらの点を考慮して、本会計基準においては、原則として、その他有価証券の評価差額を当期の損益として処理することなく、税効果を調整の上、純資産の部に記載する考え方を採用した(第18 項参照)。なお、評価差額については、毎期末の時価と取得原価との比較 により算定することとした。したがって、期中に売却した場合には、取得原価と売却価額と の差額が売買損益として当期の損益に含まれることになる。
その他有価証券評価差額金の財務諸表における区分表示と表示科目
貸借対照表>純資産の部>評価・換算差額等>その他有価証券評価差額金
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