税効果会計
税効果会計とは
税効果会計の定義・意味など
税効果会計(ぜいこうかかいけい)とは、企業会計上の収益・費用と法人税法上の益金・損金の計上時期(認識時点)の違いから生じる、会計上の利益(当期純利益)と税法上の課税所得計算上の所得の一時的な差額(これを一時差異という)を適切に期間配分して調整するための会計手法をいう。
会社計算規則
(定義)
第二条
…
3 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
…
二十四 税効果会計 貸借対照表又は連結貸借対照表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得の計算の結果算定された資産及び負債の金額との間に差異がある場合において、当該差異に係る法人税等(法人税、住民税及び事業税(利益に関連する金額を課税標準として課される事業税をいう。)をいう。以下同じ。)の金額を適切に期間配分することにより、法人税等を控除する前の当期純利益の金額と法人税等の金額を合理的に対応させるための会計処理をいう。
中小企業の会計に関する指針
税効果会計は、一時差異がある場合、利益を課税標準とする法人税等の額を適切に期間配分することにより、税引前当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする手続である。
税効果会計の目的・役割・意義・機能・作用など
会計と税法では違う目的(考え方)からそれぞれ利益と所得を計算するため、両者はミスマッチを起こす。
ミスマッチのうち、解消されうるもの(一時差異)については、税効果会計を適用して法人税等調整額で調整を行うことで、会計の考え方にあわせて損益計算書の当期純利益を修正する。
税効果会計の適用対象
一時差異
前述した税効果会計の定義や趣旨のとおり、その適用対象は、一時差異がある場合に限られ、永久差異は対象とはならない。
重要性
「中小企業の会計に関する指針」では、税効果会計の適用につき、一時差異の金額に重要性がない場合には、税効果会計を適用しなくてもよいと規定している。
税効果会計の適用に当たり、一時差異(会計上の簿価と税務上の簿価との差額)の金額に重要性がない場合には、繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しないことができる。
税効果会計に関する決算等における位置づけ等
財務諸表の注記
税効果会計を適用したときは、次の事項を注記することとされている。
- 繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳
- 法定実効税率と税効果会計の適用後の法人税等の負担率との間に差異があるときは、当該差異の原因となった主な項目別の内訳
- 法人税等の税率の変更により繰延税金資産及び繰延税金負債の金額が修正されたときは、その旨及び修正額
- 決算日後に法人税等の税率の変更があった場合には、その内容及び影響
税効果会計に関する会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
税効果会計では、具体的には、将来その差額が解消するときに課税所得を減少させるもの(将来減算一時差異)に対する税額を税金の前払いと考え、この前払い部分を繰延税金資産として資産計上する。
反対に、将来その差額が解消するときに課税所得を増加させるもの(将来加算一時差異)に対する税額を税金の後払いと考え、この後払い部分を繰延税金負債として負債計上する。
これら繰延税金資産や繰延税金負債の前決算期末残高は、期首にすべて戻し入れ、期末にあらためて計上するが、その増減額(当期末残高と前期末残高の差額)を処理するための勘定が法人税等調整額であり、損益計算書に表示される。
(+)売上高 | |
(-)売上原価 | |
売上総利益 | |
(-)販売費及び一般管理費 | |
営業利益 | |
(+)営業外収益 | |
(-)営業外費用 | |
経常利益 | |
(+)特別利益 | |
(-)特別損失 | |
税引前当期純利益 | ←会計の考え方で計算 |
(-)法人税等(法人税、住民税、事業税) | ←税法の考え方で計算 |
(±)法人税等調整額 | ←会計の考え方に合わせて税金を修正 |
当期純利益 | ←会計の考え方に修正される |
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