有形固定資産の滅失
有形固定資産の滅失の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
①滅失時の有形固定資産の帳簿価額(=簿価)
火災等による有形固定資産の滅失の会計処理にあたっては、まず滅失時の有形固定資産の帳簿価額(=簿価)を明らかにしておく必要がある。
滅失時の有形固定資産の帳簿価額は当該有形固定資産の取得価額から滅失日までの減価償却費の合計額を控除した金額となる。
滅失時の有形固定資産の帳簿価額 = 取得価額 ー 減価償却費の合計額
したがって、期中または期末に有形固定資産を滅失したときには、期首から除却日までの減価償却費も月割計算※して計上する必要がある。
※1カ月未満の端数は1カ月とする(つまり、1カ月未満は切り上げる)。
ただし、その具体的な会計処理は直接法により記帳している場合と間接法により記帳している場合とで異なる。
直接法による記帳の場合
直接法の場合は、減価償却費は固定資産勘定から直接減少されているので、滅失時の帳簿価額をそのまま当該有形固定資産勘定の貸方に記帳する。
間接法による記帳の場合
間接法の場合は、滅失した有形固定資産の取得価額を当該有形固定資産勘定の貸方に記帳するとともに、滅失した有形固定資産に対する期首の減価償却累計額と月割計算した滅失時までの減価償却費をそれぞれ減価償却累計額勘定と減価償却費勘定の借方に記帳する。
②損失額の計上
次に、滅失による損失額を計上するが、火災等により滅失した有形固定資産に火災保険契約等を締結していない場合と締結していた場合とでその会計処理が異なる。
保険契約を締結していない場合
火災等により滅失した有形固定資産に火災保険契約等を締結していない場合、損失額は滅失時の有形固定資産の帳簿価額となるので、この金額を火災損失勘定などの借方に記帳して費用処理をする。
倉庫(取得原価100万円。減価償却費の合計額30万円(期首の減価償却累計額:20万円 期首から滅失時までの減価償却費10万円)。火災保険なし)が火災により全焼した。
(間接法の場合)
減価償却累計額 | 20万円 | 建物 | 100万円 |
減価償却費 | 10万円 | ||
火災損失 | 70万円 |
(直接法の場合)
火災損失 | 70万円 | 建物 | 70万円 |
保険契約を締結していた場合
[①滅失したとき]
火災等により滅失した有形固定資産に火災保険契約等を締結していた場合、滅失時点では保険金額は確定していないため、損失額もまだ確定していない。
そこで、滅失時の有形固定資産の帳簿価額を未決算勘定の借方に記帳して一時的に処理をする。
倉庫(取得原価100万円。減価償却費の合計額30万円(期首の減価償却累計額:20万円 期首から滅失時までの減価償却費10万円)。火災保険あり)が火災により全焼した。
(間接法の場合)
減価償却累計額 | 20万円 | 建物 | 100万円 |
減価償却費 | 10万円 | ||
未決算 | 70万円 |
(直接法の場合)
未決算 | 70万円 | 建物 | 70万円 |
[②保険金額が確定したとき]
保険金額が確定してその通知を受けたときは、確定した保険金額を未収金勘定(資産)の借方に記帳して資産計上するとともに、未決算勘定の貸方に記帳してその全額を減少させる。
そして、確定した保険金額と未決算の金額との差額については、確定した保険金額が未決算の金額より大きい場合は、損失額はなく、その差額を保険差益勘定(収益)の貸方に記帳して収益に計上する。
これに対して、確定した保険金額が未決算の金額より小さい場合は、損失額はその差額となるので、この金額を火災損失勘定などの借方に記帳して費用処理をする。
保険金額が確定した。
(確定保険金額が未決算の金額より大きい場合。保険金額80万円)
未収金 | 80万円 | 未決算 | 70万円 |
保険差益 | 10万円 |
(確定保険金額が未決算の金額より小さい場合。保険金額60万円)
未収金 | 60万円 | 未決算 | 70万円 |
火災損失 | 10万円 |
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