固定資産の売却
固定資産の売却の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
①売却時の有形固定資産の帳簿価額(=簿価)
固定資産の売却の会計処理にあたっては、まず売却時の固定資産の帳簿価額(=簿価)を明らかにしておく必要がある。
売却時の固定資産の帳簿価額は当該固定資産の取得価額から滅失日までの減価償却費の合計額を控除した金額となる。
売却時の固定資産の帳簿価額 = 取得価額 ー 減価償却費の合計額
したがって、期中または期末に固定資産を売却したときには、期首から売却日までの減価償却費も月割計算※して計上する必要がある。
※1カ月未満の端数は1カ月とする(つまり、1カ月未満は切り上げる)。
ただし、その具体的な会計処理は直接法により記帳している場合と間接法により記帳している場合とで異なる。
直接法により記帳している場合
直接法の場合は、減価償却費は固定資産勘定から直接減少されているので、売却日の帳簿価額をそのまま当該固定資産勘定の貸方に記帳する。
間接法により記帳している場合
間接法の場合は、売却した固定資産の取得価額を当該固定資産勘定の貸方に記帳するとともに、売却した資産に対する期首の減価償却累計額と月割計算した売却日までの減価償却費をそれぞれ減価償却累計額勘定と減価償却費勘定の借方に記帳する。
②売却損益の計上
次に、売却による損益を計上する。
売却損益は売却価額と売却時の帳簿価額との差額で表され、この金額を固定資産売却益勘定(収益。貸方)または固定資産売却損勘定(費用。借方)で処理をする。
取引の具体例と仕訳の仕方
直接法により記帳している場合
売却益の場合
売却時の帳簿価額20万円の自動車を30万円で売却し、代金は現金で受け取った。
現金 | 300,000 | 車両運搬具 | 200,000 |
固定資産売却益 | 100,000 |
売却損の場合
売却時の帳簿価額30万円の自動車を20万円で売却し、代金は現金で受け取った。
現金 | 200,000 | 車両運搬具 | 300,000 |
固定資産売却損 | 100,000 |
間接法により記帳している場合
売却益の場合
①取得原価100万円②期首の減価償却累計額60万円③期首から売却時までの減価償却費10万円の自動車を40万円で売却し、代金は現金で受け取った。
現金 | 400,000 | 車両運搬具 | 1,000,000 |
減価償却累計額 | 600,000 | 固定資産売却益 | 100,000 |
減価償却費 | 100,000 |
売却損の場合
①取得原価100万円②期首の減価償却累計額60万円③期首から売却時までの減価償却費10万円の自動車を20万円で売却し、代金は現金で受け取った。
現金 | 200,000 | 車両運搬具 | 1,000,000 |
減価償却累計額 | 600,000 | ||
減価償却費 | 100,000 | ||
固定資産売却損 | 100,000 |
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