[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集)

勘定科目を体系的に分類し、仕訳の仕方等を解説した会計の実務的マニュアルです。


建物


建物とは

建物の定義・意味など

建物(たてもの)とは、事業目的で土地の上に立てられ、原則として屋根と壁を有する工作物を処理する資産勘定をいう。

法人・個人の別

法人・個人

建物は法人・個人で使用される勘定科目である。

建物の範囲・具体例

建物の範囲
建築設備造作

実務上は、建物に一体化されて(作り付けられて・設備化されて)機能する建築設備(→建物付属設備)も建物に含まれる。

また、造作も建物に含まれる。

リフォーム改修工事

リフォーム改修工事もこれが資本的支出であると判断されれば、その費用は、建物勘定を用いて固定資産取得原価に加算して資産計上する。

販売目的・投資目的

販売目的・投資目的で保有する建物は含まれない。

なお、一般に保有する不動産については、その保有目的によって使用する勘定科目会計処理が異なってくるので注意を要する。

棚卸資産

不動産業者などが販売目的で保有する建物は、棚卸資産として販売用不動産勘定などで処理する。

投資その他の資産

賃貸などの投資目的で保有する建物は、投資その他の資産として投資不動産勘定などで処理する。

建物の具体例
建物本体の具体例
  • 事務所・営業所
  • 店舗
  • 工場
  • 社宅
  • 倉庫

建築設備の具体例

建物の決算等における位置づけ等

建物の財務諸表における区分表示表示科目

貸借対照表資産固定資産有形固定資産 > 建物

通常、建物付属設備は建物本体と一体のものとして取り扱うので、貸借対照表上でも、建物勘定に含めて表示する。

区分表示
有形固定資産

建物は有形固定資産に属するものとして表示する。

企業会計原則
(貸借対照表科目の分類)

(一)資 産

B 固定資産は、有形固定資産無形固定資産及び投資その他の資産に区分しなければならない。
  建物、構築物機械装置船舶車両運搬具工具器具備品土地建設仮勘定等は、有形固定資産に属するものとする。

建物の会計簿記経理上の取り扱い

期中に建物を取得したときは取得原価を建物勘定借方に記帳して資産計上する。そして、その後毎決算期に減価償却により費用処理していく。

取得原価取得価額)の決定方法

取得原価には、建物の購入代のほか、購入に要したすべての付随費用を計上する。

取得原価 = 購入代付随費用

付随費用

建物取得の際の付随費用にはたとえば次のようなものがある。

仲介手数料

不動産会社への仲介手数料は、付随費用として建物に含める。

固定資産税精算金

固定資産税精算金は、付随費用として建物に含める。

不動産取得税登録免許税司法書士への手数料といった登記費用

不動産取得税登録免許税司法書士への手数料といった登記費用については、付随費用に含めて取得価額に算入するか、費用処理するかは任意である。

法人税基本通達
固定資産取得価額に算入しないことができる費用の例示)
7-3-3の2 次に掲げるような費用の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産取得価額に算入しないことができる。
(1) 次に掲げるような租税公課等の額
イ 不動産取得税又は自動車取得税
ロ 特別土地保有のうち土地の取得に対して課されるもの
ハ 新増設に係る事業所税
二 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用
(2) 建物の建設等のために行った調査、測量、設計、基礎工事等でその建設計画を変更したことにより不要となったものに係る費用の額
(3) いったん締結した固定資産の取得に関する契約を解除して他の固定資産を取得することとした場合に支出する違約の額

なお、別途、経費扱い(費用扱い)にする場合には、不動産取得税登録免許税租税公課勘定司法書士への手数料は支払手数料勘定で処理することになる。

立退料

建物の取得に際し、当該建物の使用者等に支払う立退料その他立退きのために要した額は、当該建物の取得価額に算入する。

法人税基本通達
土地、建物等の取得に際して支払う立退料等)
7-3-5 法人が土地、建物等の取得に際し、当該土地、建物等の使用者等に支払う立退料その他立退きのために要した額は、当該土地、建物等の取得価額に算入する。

地鎮祭上棟式

地鎮祭上棟式費用も建物の取得価額に含まれる。

ただし、建物は未完成なので、建設仮勘定で処理をする。

減価償却

建物は固定資産に該当し、原則として、建物勘定を用いて資産計上して減価償却をする必要がある。

耐用年数

減価償却費の計算基礎となる建物の耐用年数については、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」別表第一で規定されている。

減価償却資産の耐用年数等に関する省令 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40F03401000015.html

中古資産の場合

中古の建物を購入した場合については、次のページを参照

減価償却の計算―耐用年数―中古資産

建物と建物付属設備との区別

建物と建物附属設備とをまとめて建物として管理する場合でも、両者の耐用年数は異なるため、各々の取得価額を区別して管理しておく必要がある。

両者の取得価額をまとめてしまうと、適正・正確な減価償却ができず、節の面でも不利である。

また、適正な減価償却のため、別途建物付属設備勘定を設ける場合もある。

減価償却の方法
定額法

建物固有の取り扱いであるが、平成10年4月1日以降に取得した建物については、定額法しか認められていない。

取引の具体例と仕訳の仕方

取引

以下のとおり、建物を購入した。
建物売買価格200万円
費用仲介手数料7万円 固定資産税精算金1万円 司法書士への登記手数料6万円 登録免許税4万円)

仕訳

借方科目
貸方科目
建物 2,080,000 預金 2,180,000
支払手数料 60,000
租税公課 40,000

建物の務・法・制上の取り扱い

消費税の課・非課・免・不課(対象外)の区分

課税取引

消費税法上、建物は課税取引に該当し、仕入税額控除の対象となる。



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