直接法(直接控除法)
直接法とは 【direct method】
直接法の定義・意味など
直接法(ちょくせつほう)とは、減価償却の記帳方法のひとつとして、減価償却費(償却額)を当該固定資産の勘定から直接減少させる方法をいう。
なお、キャッシュフロー計算書では、「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」という3つのブロックに分けて表示するが、このうち「営業活動」ブロックの表示の仕方のひとつとしても直接法と呼ばれる方法がある。
直接法の別名・別称・通称など
直接控除法
直接法は直接控除法(ちょくせつこうじょほう)ともいう。
直接法の位置づけ・体系(上位概念等)
減価償却資産の帳簿価額の表示方法
貸借対照表における減価償却資産の帳簿価額の表示方法には、次の2つの方法がある。
有形固定資産
日本の会計基準では、有形固定資産については間接法を原則としている。
企業会計原則注解
〔注17〕貸倒引当金又は減価償却累計額の控除形式について
貸倒引当金又は減価償却累計額は、その債権又は有形固定資産が属する科目ごとに控除する形式で表示することを原則とするが、次の方法によることも妨げない。
(1) 二以上の科目について、貸倒引当金又は減価償却累計額を一括して記載する方法
(2) 債権又は有形固定資産について、貸倒引当金又は減価償却累計額を控除した残額のみを記載し、当該貸倒引当金又は減価償却累計額を注記する方法
無形固定資産・繰延資産
無形固定資産と繰延資産については直接法しか認められていない。
つまり、帳簿価額だけを表示し、また、減価償却累計額の注記も不要である。
企業会計原則
(貸借対照表科目の分類)
…
(一)資 産
…
B …
無形固定資産については、減価償却額を控除した未償却残高を記載する。…
C 創立費、開業費、新株発行費、社債発行費、社債発行差金、開発費、試験研究費及び建設利息は、繰延資産に属するものとする。これらの資産については、償却額を控除した未償却残高を記載する。
会社計算規則
(無形固定資産の表示)
第八十一条 各無形固定資産に対する減価償却累計額及び減損損失累計額は、当該各無形固定資産の金額から直接控除し、その控除残高を当該各無形固定資産の金額として表示しなければならない。…
第三十八条 各繰延資産に対する償却累計額は、当該繰延資産の金額から直接控除し、その控除残高を各繰延資産の金額として表示しなければならない。
直接法の決算等における位置づけ等
財務諸表における区分表示と表示科目
直接法では、貸借対照表の固定資産の勘定残高がそのまま当該資産の帳簿価格となる。
このように貸借対照表では資産の帳簿価額が直接的に表示されることになることから、直接法という。
反面、直接法によると、その資産の当初の取得原価は、貸借対照表には表示されないこととなる。
したがって、情報不足となるため、減価償却累計額を注記することが求められている(上記企業会計原則注解17)。
直接法の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
直接法による場合は、減価償却費を減価償却費勘定の借方に記帳して費用計上するとともに、実施した減価償却費を固定資産勘定の貸方から直接減少させる。
取引の具体例と仕訳の仕方
減価償却費 | 100,000 | 工具器具備品などの有形固定資産 | 100,000 |
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