有形固定資産の除却
除却とは
除却の定義・意味など
除却(じょきゃく)とは、新しい有形固定資産を取得したために今まで使用していたものが不要となったり、耐用年数が到来したたことにより、有形固定資産を事業の用途から外して帳簿上から除外することをいう。
『日商簿記2級 商業簿記 スピード攻略テキスト』 DAI-X出版、2004年、100項。
除却の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
①除却時の有形固定資産の帳簿価額(=簿価)
除却の会計処理にあたっては、まず除却時の有形固定資産の帳簿価額(=簿価)を明らかにしておく必要がある。
除却時の有形固定資産の帳簿価額は当該有形固定資産の取得価額から除却日までの減価償却費の合計額を控除した金額となる。
除却時の有形固定資産の帳簿価額 = 取得価額 ー 減価償却費の合計額
したがって、期中または期末に有形固定資産を除却したときには、期首から除却日までの減価償却費も月割計算※して計上する必要がある。
※1カ月未満の端数は1カ月とする(つまり、1カ月未満は切り上げる)。
ただし、その具体的な会計処理は直接法により記帳している場合と間接法により記帳している場合とで異なる。
直接法による記帳の場合
直接法の場合は、減価償却費は固定資産勘定から直接減少されているので、除却時の帳簿価額をそのまま当該有形固定資産勘定の貸方に記帳する。
間接法による記帳の場合
間接法の場合は、除却した有形固定資産の取得価額を当該有形固定資産勘定の貸方に記帳するとともに、除却した有形固定資産に対する期首の減価償却累計額と月割計算した除却時までの減価償却費をそれぞれ減価償却累計額勘定と減価償却費勘定の借方に記帳する。
②損失額の計上
次に、除却による損失額を計上するが、除却した有形固定資産に評価があるかどうかによりその会計処理が異なる。
なお、総合償却資産の一部に除却等があった場合における損失額(除却損・除却価額)の計算方法については、次のページを参照。
除却した有形固定資産に評価額がある場合は、まず、除却時の有形固定資産の評価額を貯蔵品勘定(資産)※の借方に記帳して資産計上する。
※価値のあるモノではあるが使用してないので、貯蔵品勘定で処理をする。
そして、この場合、損失額は除却時の有形固定資産の帳簿価額(=簿価)と評価額との差額となるので、この金額を固定資産除却損勘定※の借方に記帳して費用処理をする。
損失額 = 除却時の有形固定資産の帳簿価額 - 評価額(処分見込み価額)
除却した有形固定資産に評価額がない場合、損失額は除却時の有形固定資産の帳簿価額となるので、この金額を固定資産除却損勘定の借方に記帳して費用処理をする。
除却損の管理
会計資料(証憑・証拠)
有形固定資産を除却した場合、解体費用がかかるものは除却したことの証明ができるが、費用がかからないものはその証明ができない。
したがって、固定資産台帳への記録や写真などの方法により、その証明ができるようにしておく。
岩崎恵利子 『パッと引いて仕訳がわかる 逆引き勘定科目事典』 シーアンドアール研究所、2009年、195項。
取引の具体例と仕訳の仕方
除却した有形固定資産に評価額がある場合
間接法で記帳している場合
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
貯蔵品 |
××××
|
車両運搬具 |
××××
|
減価償却累計額 |
××××
|
||
減価償却費 |
××××
|
||
固定資産除却損 |
××××
|
除却した有形固定資産に評価額がない場合
間接法で記帳している場合
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却累計額 |
××××
|
車両運搬具 |
××××
|
減価償却費 |
××××
|
||
固定資産除却損 |
××××
|
直説法で記帳している場合
簿価1万円のパソコンを廃棄処分にした。なお、当該パソコンに評価額はない。
固定資産除却損 | 10,000 | 工具器具備品 | 10,000 |
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