減価償却費の計算―③減価償却の方法(償却方法)―普通償却―例外―少額減価償却資産の即時償却(一時償却)の特例
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少額減価償却資産の即時償却の特例とは
少額減価償却資産の即時償却の特例の定義・意味など
少額減価償却資産の即時償却の特例とは、一定の要件のもと、取得価額基準が30万円未満にまで引き上げられた少額減価償却資産についても、取得時に取得金額の全額を必要経費または損金に算入することができるとする租税特別措置法上の償却方法の特例をいう。
租税特別措置法
(中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例)
第二十八条の二 第十条第六項第四号に規定する中小事業者で青色申告書を提出するもの(以下この項において「中小事業者」という。)が、平成十八年四月一日から平成二十八年三月三十一日までの間に取得し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、当該中小事業者の不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の用に供した減価償却資産で、その取得価額が三十万円未満であるもの(その取得価額が十万円未満であるもの及び第十九条各号に掲げる規定その他政令で定める規定の適用を受けるものを除く。以下この条において「少額減価償却資産」という。)については、所得税法第四十九条第一項 の規定にかかわらず、当該少額減価償却資産の取得価額に相当する金額を、当該中小事業者のその業務の用に供した年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、当該中小事業者のその業務の用に供した年分における少額減価償却資産の取得価額の合計額が三百万円(当該業務の用に供した年がその業務を開始した日の属する年又はその業務を廃止した日の属する年である場合には、これらの年については、三百万円を十二で除し、これにこれらの年において業務を営んでいた期間の月数を乗じて計算した金額。以下この項において同じ。)を超えるときは、その取得価額の合計額のうち三百万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額を限度とする。
(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)
第六十七条の五 第四十二条の四第二項に規定する中小企業者又は農業協同組合等で、青色申告書を提出するもの(以下この項において「中小企業者等」という。)が、平成十八年四月一日から平成二十八年三月三十一日までの間に取得し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、当該中小企業者等の事業の用に供した減価償却資産で、その取得価額が三十万円未満であるもの(その取得価額が十万円未満であるもの及び第五十三条第一項各号に掲げる規定その他政令で定める規定の適用を受けるものを除く。以下この条において「少額減価償却資産」という。)を有する場合において、当該少額減価償却資産の取得価額に相当する金額につき当該中小企業者等の事業の用に供した日を含む事業年度において損金経理をしたときは、その損金経理をした金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。この場合において、当該中小企業者等の当該事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が三百万円(当該事業年度が一年に満たない場合には、三百万円を十二で除し、これに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額。以下この項において同じ。)を超えるときは、その取得価額の合計額のうち三百万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額を限度とする。
少額減価償却資産の即時償却の特例の別名・別称・通称など
少額減価償却資産の一時償却の特例
「即時償却」ではなく「一時償却」という用語が使用される場合もある。
また、税法上の正式名称は、所得税法の特例としては「中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例」、法人税法の特例としては「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」である。
少額減価償却資産の即時償却の特例の位置づけ・体系(上位概念等)
減価償却の方法の例外
減価償却資産については、原則として、取得時に資産計上したうえ、その後耐用年数にわたって毎決算期に定額法や定率法などの償却方法による減価償却により費用処理をする必要がある。
しかし、少額減価償却資産や一括償却資産については、例外的に即時償却(一時償却)や3年均等償却が認められている。
こうした例外は少額減価償却資産の即時償却も含めて、次の3つがある。
- 少額減価償却資産の即時償却
- 少額減価償却資産の即時償却の特例
- 一括償却資産の3年均等償却
少額減価償却資産の即時償却の特例の要件
適用対象
適用対象者
少額減価償却資産の即時償却の特例の適用があるのは、個人事業主(所得税法)の場合は青色申告書を提出した中小事業者、会社・法人(法人税法)の場合は、青色申告書を提出した中小企業者または農業協同組合等である。
適用対象資産
少額減価償却資産の即時償却の特例の適用があるのは、取得価額が30万円未満である減価償却資産である。
ただし、対象となる減価償却資産の取得価額の合計額が年間300万円を上限としており、その超える部分に係る減価償却資産については適用対象から除外される。
したがって、その部分については通常の減価償却、または、取得価額20万円未満であるならば一括償却資産の3年均等償却のどちらかを行う。
なお、通常の少額減価償却資産や一括償却資産の場合とは異なり、リース資産も適用対象となる。
手続要件
個人事業主(自営業)の場合
個人事業主が少額減価償却資産の即時償却の特例の適用を受けるには、所得税の確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付する必要がある(租税特別措置法28条の2第3項)。
ただし、所得税の青色申告決算書3ページにある項目「減価償却費の計算」の「摘要」欄に「措法28の2」と記載することをもって明細書の添付に代えることができる。
「中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の 特例制度」を適用する場合の明細書の添付について |申告所得税関係目次|国税庁 https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/0307/01.htm
会社・法人の場合
会社・法人が少額減価償却資産の即時償却の特例の適用を受けるには、事業の用に供した事業年度において、少額減価償却資産の取得価額に相当する金額につき損金経理するとともに、確定申告書等に「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」(別表十六(七))を添付して申告することが必要である。
No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|法人税|国税庁 https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5408.htm
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