リース資産
リース資産とは
リース資産の定義・意味など
リース資産(リースしさん)とは、ファイナンス・リース取引(所有権移転ファイナンスリース取引・所有権移転外ファイナンスリース取引)により購入したリース物件を処理する資産勘定をいう。
法人・個人の別
法人・個人
リース資産は法人・個人で使用される勘定科目である。
リース資産の目的・役割・意義・機能・作用など
2007年(平成19年)3月30日に改正された「リース取引に関する会計基準」(企業会計基準第13号)により、ファイナンス・リース取引については、所有権移転ファイナンス・リース取引のみならず所有権移転外ファイナンス・リース取引についても、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行うものとされた。
したがって、リース物件は自己所有の固定資産と同じ取り扱いとなる。
ただし、他の固定資産とは区別するためにリース資産勘定を用いて管理する。
リース資産と関係する概念
反対概念・対概念
リース債務
他の勘定科目との関係
リース料
所有権移転外ファイナンス・リース取引については、中小企業は、その負担軽減のため、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うこともできるとされている。
リース取引は、所有権移転外ファイナンス・リース取引が一般的である。
中小企業の会計に関する指針
所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る借手の会計処理
所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る借手は、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う。ただし、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる。
中小企業が「通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行う」場合は、リース資産(資産)・リース債務(負債)を計上せずに、毎月支払った使用料(リース料)をリース料(または賃借料・地代家賃)勘定(費用)などを用いて費用計上する。
リース資産の決算等における位置づけ等
リース資産の財務諸表における区分表示と表示科目
貸借対照表 > 資産 > 固定資産 > 有形固定資産 > リース資産
区分表示
有形固定資産
リース資産は有形固定資産に属するものとして表示する。
企業会計原則
(貸借対照表科目の分類)
…
(一)資 産
…
B 固定資産は、有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産に区分しなければならない。
建物、構築物、機械装置、船舶、車両運搬具、工具器具備品、土地、建設仮勘定等は、有形固定資産に属するものとする。
リース資産の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
ファイナンス・リース取引における借手の具体的な会計処理は以下の3つである。
①リース取引開始後
ファイナンス・リース取引は、原則として、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う。
つまり、リース契約により借手がリース物件を分割払いで購入したものとして取り扱う。
具体的には、リースしたときは、リース取引開始後に、リース料の総額をリース資産勘定の借方に記帳して資産計上するとともに、同額をリース債務勘定の貸方に記帳して負債計上する。
なお、従来、所有権移転外ファイナンス・リース取引については、(売買取引ではなく)賃貸借取引としてリース料(または賃借料)勘定などで費用計上すること(つまり、オフバランス取引)が認められていた。
しかし、リース会計基準の改正により、平成20年4月1日以降に契約した所有権移転外ファイナンス・リース取引に関しては、所有権移転ファイナンス・リース取引と同様、売買取引(つまり、オンバランス取引)として会計処理することとされた(つまり、ファイナンス・リース取引については会計処理が一本化された)。
ただし、前述したように、中小企業については、原則としては、上記の売買取引に係る方法に準じた会計処理によることとされているが、その負担軽減のため、例外的に、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うこともできるとされている。
②毎月のリース料の支払時
毎月のリース料の支払時はリース債務勘定の借方に記帳して減少させる。
③期末(決算時)
その際、所有権移転ファイナンス・リース取引に係るリース物件の減価償却費は、自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により算定する。
また、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース物件の減価償却費は、原則として、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定する。
取引の具体例と仕訳の仕方
①リース取引開始後
リース資産 | 60万 | リース債務 | 60万 |
②毎月のリース料の支払時
リース料1万円を支払った(リース料1万円が銀行口座から引き落とされた)。
リース債務 | 1万 | 普通預金 | 1万 |
③期末(決算時)
減価償却費 | 12万 | リース資産 | 12万 |
リース資産の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
課税取引
消費税法上、リース資産は課税取引に該当し、仕入税額控除の対象となる。
減価償却
所有権移転外ファイナンス・リース取引
前述したように、会計上、平成20年4月1日以降に契約した所有権移転外ファイナンス・リース取引に関しては、所有権移転ファイナンス・リース取引と同様、売買取引として会計処理することとされた。
そして、これにともない、税法上も、同取引を売買取引としてみなすことになり、所有権移転外ファイナンス・リース取引で取得した資産についても減価償却資産としてリース期間定額法により減価償却することになった。
その減価償却費の計算方法については次のページを参照。
リース(リース取引)―会計処理・税務処理―減価償却の方法(リース期間定額法とは)
ただし、前述したように、リース会計基準は中小企業に関しては任意適用で強制されない。
すなわち、会計上、中小企業は、所有権移転外ファイナンス・リース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行うこともできるとされている。
しかし、税法上は、中小企業であっても、すべての所有権移転外ファイナンス・リース取引は、例外なく売買として取り扱われる。
したがって、中小企業は、従来どおり、資産計上・負債計上せずにリース料(賃借料)として会計処理をした場合でも、税務上は、その金額は減価償却費として損金経理をしたものとされる。
よって、リース期間定額法によって計算される償却限度額までしか損金算入できない。
なお、この場合、リース料(賃借料)として損金経理をした金額が、リース期間定額法によって計算される償却限度額と同額であれば、法人税申告書別表一六(四)を添付する必要はない。
その他
少額の減価償却資産を取得したときの3つの特例のうち、次の2つの特例については、リース資産は適用対象外とされている。
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