固定資産売却損
固定資産売却損とは
固定資産売却損の定義・意味など
固定資産売却損(こていしさんばいきゃくそん)とは、土地、建物、車両運搬具などの固定資産を売却したとき、売却価額が売却時の帳簿価格(=簿価・売却原価)を下回った場合、その差額(売却損)を処理するための費用勘定をいう。
法人・個人の別
法人
個人事業主については、固定資産の売却は譲渡所得して取り扱うため、固定資産売却損は法人特有の勘定科目である。
固定資産売却益と関係する概念
反対概念・対概念
固定資産売却益
固定資産売却損の決算等における位置づけ等
固定資産売却損の財務諸表における区分表示と表示科目
損益計算書 > 特別損益の部 > 特別損失 > 固定資産売却損
区分表示
特別損失
固定資産売却損は特別損失に属する。
企業会計原則
(特別損益)
六 特別損益は、前期損益修正益、固定資産売却益等の特別利益と前期損益修正損、固定資産売却損、災害による損失等の特別損失とに区分して表示する。
ただし、運送業などで毎期多くの車両運搬具の買換えが行われるなど固定資産の売却が経常的な(偶発的・臨時的なものではない)場合には、営業外費用に属するものとして表示することもできる。
損益計算書 > 経常損益の部 > 営業外損益の部 > 営業外費用 > 固定資産売却損
企業会計原則注解
〔注12〕特別損益項目について(損益計算書原則六)
…
なお、特別損益に属する項目であっても、金額の僅少なもの又は毎期経常的に発生するものは、経常損益計算に含めることができる。
固定資産売却損の会計・簿記・経理上の取り扱い
会計処理方法
使用する勘定科目・記帳の仕方等
固定資産を売却して売却損(売却時の帳簿価額ー売却価額)が出た場合は、固定資産売却損勘定(費用)で処理をする。
ただし、一括償却資産については、その資産を売却しようが、除却しようが関係なく、3年間で償却することになる。
売却時の帳簿価額(=簿価・売却原価)は、土地や建物などの個別的な償却資産の場合は、固定資産台帳などで明らかにすることができる。すなわち、売却時の帳簿価額は当該固定資産の取得価額から売却日までの減価償却費の合計額を控除した金額となる。
したがって、期中または期末に固定資産を売却したときには、期首から売却日までの減価償却費も月割計算※して計上する必要がある。
※1カ月未満の端数は1カ月とする(つまり、1カ月未満は切り上げる)。
ただし、その具体的な会計処理は直接法により記帳している場合と間接法により記帳している場合とで異なる。
なお、固定資産の売却の際に要した費用(売却手数料)は、売却損に含めて処理をする。
また、機械装置などの総合償却資産で、個別の帳簿価額が明らかでない場合は、取得価額に5%を乗じて売却原価を算出するか、または、売却時点での未償却残価率をもって算出する。
直接法により記帳している場合
直接法の場合は、減価償却費は固定資産勘定から直接減少されているので、売却日の帳簿価額をそのまま当該固定資産勘定の貸方に記帳するとともに、売却損を固定資産売却損勘定(費用)の借方に記帳する。
間接法により記帳している場合
間接法の場合は、売却した固定資産の取得価額を当該固定資産勘定の貸方に記帳するとともに、売却した資産に対する期首の減価償却累計額と月割計算した売却日までの減価償却費をそれぞれ減価償却累計額勘定と減価償却費勘定の借方に記帳したうえ、売却損を固定資産売却損勘定(費用)の借方に記帳する。
取引の具体例と仕訳の仕方
直接法により記帳している場合
売却時の帳簿価額30万円の自動車を20万円で売却し、代金は現金で受け取った。
現金 | 200,000 | 車両運搬具 | 300,000 |
固定資産売却損 | 100,000 |
間接法により記帳している場合
①取得原価100万円②期首の減価償却累計額60万円③期首から売却時までの減価償却費10万円の自動車を20万円で売却し、代金は現金で受け取った。
現金 | 200,000 | 車両運搬具 | 1,000,000 |
減価償却累計額 | 600,000 | ||
減価償却費 | 100,000 | ||
固定資産売却損 | 100,000 |
固定資産売却損の税務・税法・税制上の取り扱い
消費税の課税・非課税・免税・不課税(対象外)の区分
不課税取引(課税対象外)
消費税の対象となる金額は固定資産の売却価格なので※、固定資産売却損は消費税の課税対象外である。
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