自動車
自動車の会計・簿記・経理上の取り扱い
期中①―購入・取得
取得原価主義の適用
自動車には、取得原価主義が適用されるので、その取得原価を計上する。
取得原価(取得価額)の決定方法
車両を購入した際は、車両本体価格のほか、付属品、販売諸費用や税金、リサイクル預託金、自賠責保険料、そして、登録関係の諸費用といった費用が発生する。
- カークラー(カーエアコン)、カーナビ、カーオーディオなど(いわゆる特別仕様やオプションの類)の付属品の費用
- その他販売店に支払う販売諸費用
- 自動車税、自動車取得税、自動車重量税といった税金(消費税対象外)
- リサイクル預託金
- 自賠責保険料(消費税非課税)
- 登録手続費用・車庫証明手続等登録関係の諸費用(法定費用)
上記のうち、付属品の費用、販売諸費用、自動車取得税、登録関係の諸費用(法定費用)については、付随費用として、自動車本体の取得価額に含めて、すべて車両運搬具として資産計上するのが原則である。
会計経理処理方法・簿記の記帳の仕方・使用する勘定科目等
自動車を購入したときは、上記取得原価を車両運搬具勘定の借方に計上する。
ただし、税務上、自動車取得税と登録関係諸費用(法定費用)については資産計上せずに、経費にすること(損金算入)が認められているので、経費扱いとしたほうが有利である。
実務上も、費用処理されることが多い。
取得価額に含めるもの(資産計上するもの) | ・カークラー(カーエアコン)、カーナビ、カーオーディオなどの付属品の費用 ・販売店に支払う販売諸費用 |
---|---|
取得価額に含めるか選択できるもの | ・自動車取得税 ・登録手続費用・車庫証明手続等登録関係の諸費用(法定費用) |
費用計上するもの | ・自動車税 ・自動車重量税 ・自賠責保険料 |
この場合、自動車取得税等税金関係と登録諸費用(法定費用)は租税公課勘定、リサイクル預託金は預託金勘定(ないしはリサイクル預託金勘定)、自賠責保険料は保険料勘定などを用いて処理をする。
取引の具体例と仕訳の仕方
自動車を購入した。車両本体価格は100万円。付随費用は以下のとおり。
- 付属品 20万円
- 販売諸費用 4万5千円
- 自動車税 1万5千円
- 自動車取得税 5万円
- 自動車重量税 2万2千5百円
- リサイクル預託金 1万円
- 自賠責保険 2万5千円
- 登録関係の諸費用(登録手続費用・車庫証明手続等) 5千円
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
車両運搬具 | 1,245,000 | 現金預金 | 1,372,500 |
租税公課 | 92,500 | ||
預託金 | 10,000 | ||
保険料 | 25,000 |
期中②
自動車の維持費
ガソリン代
自動車保険
下取り
自動車の税務・税法・税制上の取り扱い
必要経費算入(所得税法上)・損金算入(法人税法上)の可否
所得税法上の取り扱い―個人事業主(自営業・フリーランサー)の場合
個人事業主の場合であっても、家事按分(=事業専用割合)により、自動車(自家用車)に関する諸費用を経費に計上することはできる。
自動車を購入した場合
自動車を購入した場合は、減価償却資産として、耐用年数※に応じて、購入費を費用化していく。
※普通自動車は6年、軽自動車は4年
個人事業主の場合は、自動車をプライベートに使用することもあるので、個人事業主特有の「家事按分」により、さらにその割合(たとえば、60%を事業で使用していたとする場合には、60%)を乗じた額だけを費用計上することになる。
なお、減価償却の方法には定額法と定率法とがあり、定率法のほうが早く費用化することができるが、所定の届出をしない限り、定額法となる。
すでに所有している自動車を事業に使用した場合
以前から所有していた自動車を事業に使い始めた場合も、減価償却資産として、購入費を費用化していくことができる。
ただし、この場合は、事業で使用し始めるまでの期間の減価償却はすでに終わっているため、残りの耐用年数に応じて減価償却を実施する。
したがって、事業で使用し始めた時点ですでに法定耐用年数を過ぎている場合には、資産として費用化することはできない。
自動車の維持費
自動車には、ガソリン代や駐車場代のほか、車検費用や自動車税などの維持費がかかるが、当然これらも、車両費勘定などを使用して経費に計上することができる。
ただし、個人事業主の場合は、やはり「家事按分」することになる。
仕訳の具体例については、次のページを参照
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